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ソフィアの口笛

読みに来てくれてありがとうございます!

嬉しいなぁ~♪

(*ゝω・)ノ

 僕と憲二は道を下って行った。

 

 「竣、あそこに見えるのは看板だよね?」

 

 憲二はジーンズの穴が塞がって機嫌が戻り、笑顔で前方を指差していた。

 

 〈ヴェカサティスの村にようこそ! 誰でも大歓迎だよう!〉

 

 僕はピンクの文字で書かれた看板を目にして、久しぶりに青以外の色を見たので視界が正常な働きに戻った。

 

 僕の好きな色は青。大好きな色だけどもね、長いこと見ていたら眠くなってくるんだよね。

 青は精神を安定させたり、リラックスや安眠効果を引き出す力のある素晴らしい色だ。芸術の世界、アートの世界では崇高な色として青は特別な位置にあり、重宝されているんだ。青は綺麗な色で大好きさ!

 

 僕と憲二は一礼してからヴェカサティスの村に入った。

 

 入ってすぐ右側に鏡餅みたいな大きな石があって、石の上で日向ぼっこをしているピンクの服を着た妖精がいた。

 

 珍しい事に妖精はアイマスクのような物をしていた。よく見ると刻んだ青い木の葉を目に当てていた。

 丁寧に重ね合わせて作った綿のような柔らかな素材を枕の代わりにして頭の下に置いてあった。

 

 ピンクの服を着た妖精も美人だった。

 

 フェアリー・ブルーランド、ヴェカサティスの村近辺にいる妖精は、皆、美人さんが多くて、共通して品のある顔立ち、背丈が高かった。ピンクの妖精は37センチくらいはあった。体の半分が長い脚だ。肉付きの良い体型から優しさと母性を感じた。


 妖精はアイマスク?(木の葉だよ)を取って目を擦ると眩しそうに辺りを見た。

 

 僕と妖精の目があった。

 

 「こんにちは。良い天気ですよね? 青空いっぱいで爽やかです」僕は愛想笑いを浮かべてピンク色の妖精に言った。

 

 「こんにちわぁ~。人間なんて珍しい~っ♪ ようこそ!」ピンクの服を着た妖精は明るい性格のようだ。ニコニコしていて可愛らしい。

 

 「教えて欲しいんですけど、宿屋は何処にありますか? 確か…、『ルラル』だったかな?」僕は憲二の顔を見て反応を確認した。

 憲二は「それで合ってるよ」と言って頷いた。

 

 「宿屋の『ルラル』はね、そこを真っ直ぐ行ったら左に行く小道があってね、2分くらい歩いたら『フェアリー書店〈スィート〉』という本屋があってね、書店の隣が宿屋の『ルラル』だよう」ピンクの服を着た妖精は笑顔を絶やさずに道順を教えてくれた。

 

 「どうもありがとうございます」僕は頭を下げてお礼を言った。

 

 「私の名前はソフィアって言うの。はい! ちょっと質問~♪」ソフィアは手を挙げた。

 

 「僕は瀬川竣です。質問をどうぞ」

 

 「フェアリー・ブルーランド、ヴェカサティスの村に何しに来たの? ルラルに何の用があるの? 人間っていつになったら自由に空を飛べるの?」ソフィアは興奮気味に早口で話した。

 

 「ナイトさんという方に頼まれて人探しに来たんです。ルラルの店主に話を伺いたくて。人間はね、残念ながら空を飛べないんだ」

 

 「ふ~ん。探している人ってさぁ、たぶん、いや……、まぁ、いいや」ソフィアは顔を背けると口笛を吹いて誤魔化した。

 

 「ソフィアさん、何か知っているのかい?」僕は子供の頃から探偵に憧れていたので嬉しくて胸が高鳴った。今の自分は名探偵、瀬川竣だよ。立ち込めた深い霧が辺りに漂えばムードがあって完璧なんだけどね。まぁ、最高だよ、このシチュエーション。僕は後ろに腕を組んで、探偵の立ち振舞いを真似るように、ゆっくりと鏡餅みたいな石の周りを歩いた。

 

 

 「いや、なんにも知らなぁ~い」ソフィアは腕を組んで口笛を吹いた。

 

 凄く怪しい。

 

 「何か些細な事でも良いので教えてくれませんか?」僕はソフィアに睨みを効かせて言った。

 

 「えっ? 今さぁー、なんか言った?」ソフィアは頭を掻きながら口笛を強めに吹いた。

 

 なんか見たことのある光景だ。

 ソフィアのやつ、妹の夏奈子みたいな動揺の仕方だよな。

 

 「何でも良いので知っている事があれば、是非、教えてくださいと言ったんです」僕は粘り強く穏やかに言った。

 

 「本当に知らないよ~う。♪ ピ~ィ、ピィ、ピ~ィ、ピィ、ピ~~ィッ♪」ソフィアは後ろに背を向けて口笛を吹き鳴らした。

 

 これってさ、体全体で『私は知っています』と告白しているようなもんだよね。

 

 「ソフィアさん、小さな事でも構わないのです。思い出した事を教えてくださいよ」僕は諦めずに言った。僕は怒ったり苛立ったりする気持ちにはなっていなかった。

 

 「知らないよっ。知らないけどね。知らないなぁ。じゃあね、帰るね。バイバイ」ソフィアは口笛を激しく吹いてから空を飛んだ。

 

 逃がしてなるものか。

 

 「ソフィアさん、これ食べる?」僕は疲れたら無添加の黒蜜のアメちゃんを舐めるのだ。常にポケットには20個のアメちゃんがあるのだ。多い時では30個もある。

 

 黒蜜の他には、ハッカ、ミルク、ココア、イチゴ、ブルーベリー味のアメちゃんがあるのさ。どれも全部、無添加だよ。凄いだろう? あはははは。アメちゃんの力をナメるなよ。アメちゃんは舐めなきゃ始まらないけどさ。

 

 このまま逃げ去ろうとする妖精のソフィアに舐められてたまるかい。ソフィアが舐めるのは黒蜜のアメちゃんだ。

 

 「えっ!? なになに、それって、なあ~に?」ソフィアは嬉しそうに笑いながら降りてきた。

 

 僕はソフィアに黒蜜のアメちゃんを渡した。

 

 「黒蜜の飴だよ。人間の食べ物でね、美味いよ。召し上がれ」

 

 「やったぁ~! 嬉しいなぁ~! ありがとう」ソフィアはアメちゃんを口に放り投げた。

 

 「なにこれ!? 凄くない? 本当に美味いんだけど!!」ソフィアは、アメちゃんを舐めたのは最初だけで、すぐに「ガリゴリガリガリ」と音を出して噛み砕いた。

 

 僕はポケットから自分と憲二の分の美味しい黒蜜アメちゃんを出した。

 

 「はい、憲二」

 

 「わ~い、わ~い。嬉しいよ。ありがとう」憲二は子供のようにハシャいだ。

 

 僕と憲二とソフィアはアメちゃんを食べながら地面に座った。

 

 

 

 

つづく

また、読みに来てくださいね!

待っています!

ありがとうございました♪

(´・ω・)(´_ _)♪

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