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青春のスパート

妖精の国、フェアリー・ブルーランドにあるヴェカサティスの村を目指す瀬川竣と高瀬憲二。

 

2人とも、半分くらいはアトラクションかもしれないと思いたがっていますが、間違いなく妖精の国にいます。

 「憲二、パカタニチュリオカ・ペペピンポンってどんな食べ物なんだろうね?」僕は未知の食べ物に興味津々だった。

 

 「竣、後でナイトさんに見せてもらおうぜ」

 

 「憲二、初めてだ。見たことも味わった事もない食べ物を、頭の中で壮大にイメージして期待するのはさ。お腹が鳴っているし。食べてみたいな。ヨダレが出そうだよ。よし、残り500メートルを行くぞ」僕は空腹を押さえて憲二に言うと先頭を歩いた。

 

 僕の心の中で思いや言葉が生まれる。

 

 『考え事をしてみる。色々と分析もしよう。10メートルの青い草むらは密生とは違って隙間がある林に似ていて十分に歩けるんだ。正確な草の高さは15メートルはあるんじゃないのかと思う。

 

 見上げると薄い水色の陽射しが柔らかく降り注いでいる。僕は色彩のある陽射しにとても驚いている。

 

 フェアリー・ブルーランドの空は、例えるなら朝靄の青い空が昼時の時間帯にもあるとイメージしたら分かりやすいと思う。

 

 僕や憲二が水色の陽射しを浴びていても全身が青み掛かっていない不思議な現象については全く説明も言葉にも出来ない。(青にもたくさんの種類がある。今、僕が見ているフェアリー・ブルーランドの風景には、7、8種類くらいの青色が存在すると思う)

 

 たぶん環境による違い、人間が分かる色の範囲、認識が越えた物が妖精の世界にはあるのだろうね。

 人間が持つ色の認識能力が未熟で不十分な状態にあるのかもしれない。

 確かに太陽や木や土が青いんだ。青い世界にいる。

 

 僕はフェアリー・ブルーランドにあるヴェカサティスの村を楽しみにしている。きっと懐かしさを感じるはずだ。幼い頃に見た絵本の世界に入り込んだように思えるだろうし、ファンタジー映画の世界に迷い混んだようにも感じられるはずだ。

 

 異質な世界に恐怖心や嫌悪を抱くのではなくて視野を広げたり世界を知るために学びたいんだ。

 

 10代とは感受性が豊かな時代だ。多様性が大事だと理解出来る年齢にいるんだ。文化や芸術から影響を受けたい世代だ。良い物を求めて常に吸収したがっている。

 好きなことを見つけたら貪欲であるべきだ。学ぶ努力をするべきなんだ。

 

 ティーンエンジャーのハイライトは間違いなく『17歳』だ。この時期に全てを注がないとね。

 もう少しで僕は17歳になる。スパートを掛けたいんだ。まだまだ恐れ知らずでいたい。行けるところまで行ってみたいんだ。感性を研ぎ澄ませたいんだよ。情熱がなければ始まらない。燃やせ。燃やせ。燃やせ。情熱の炎を天高く燃やすんだ。

 

 僕は自分自身に賭けているんだ。何か出来ると証明したい。やれるところまでやってみせるさ。やってやるぜ!

 

 早めに信念を強化しないと世間の荒波に揉まれて翼を切り取られてしまう。

 僕は自分を信じている。それしか道はない』と僕は体にエネルギーを蓄えながら考えを巡らせて歩き続けていた。

 

 

  ◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 「痛い!」突然、憲二が叫んだ。

 

 「憲二、どうした?」僕は立ち止まって後ろを振り返った。

 

 「痛てててててっ」憲二はお尻を強く擦ると、顔をしかめて苦痛に悶えながら歩き回っていた。

 

 「なになに。一体どうしたの?」僕はいつになく痛がる憲二に驚きながら言った。

 

  「いや、急にお尻に激痛が走ったんだわ」憲二はお尻を擦りながら辺りを見回した。

 

 「お尻の筋肉でもつったのか?」僕は憲二のお尻に違和感がないかを確認するために見てみた。

 ジーンズのポケットに小指の指先ほどの穴が開いていて白いブリーフが見えた。

 

 「憲二、ブリーフ派だったのかい?」

 

 「たまたま、トランクスのパンツが洗濯中でさ、親父のパンツを借りただけ。竣、何でブリーフだって分かったの?」

 

 「ジーンズに穴が開いているよ」

 

 「にゃ、にゃ、にゃんだってぇー! なんだってよぉー! このジーンズは高いのに……」憲二は慌ててジーンズを脱ぐと後ろのポケットを確認した。


 「あ~っ。いやぁー。……。ちょっとこれはね、マジでヘコむわ……」憲二は何故かお気に入りのジーンズを丁寧に畳むと地面に置いて不安げにジーンズを見つめた。

 

 憲二はブリーフ一丁でジーンズの周りをウロツキ出した。

 

 「竣、今ちょっと前によ、お尻を刺されたような痛みが出たのよ」

 

 「虫に刺されたのかもしれないな」僕は辺りを見回しながら言った。

 

 「竣、だったら、今後、妖精の国の虫は無視出来ないよ。デニムを破るなんてさ破壊力ありすぎだからね」憲二はジーンズを穿き直した。

 

 「憲二、警戒しながら歩こう。今度は僕がチラシを持つよ」僕は憲二からチラシを受け取ると右手に確りと持って先に歩き出した。

 

 「竣、後どれくらいでヴェカサティスの村に着くんだ?」憲二はお尻を擦りながら歩いていた。

 

 「たぶん、後300メートル位だろう。憲二、頑張ろうぜ!」

 

 「おう! 分かったぜ」憲二は少し気が楽になったようだ。


 「それにしても青い草むらは良い匂いがするよな」僕は深呼吸をして言った。

 

 「本当だよな~。バニラみたいな、ミルクセーキみたいな、甘くて優しい匂いだよな~」憲二はお尻を擦りながら深呼吸を繰り返した。

 

 「どちらかと言えばさ、青い草よりも青い土の方から匂いがするよな?」僕はしゃがみこんで鼻を土に近付けた。バニラだ。強めのバニラの匂いだ。リラックスができる匂い。僕はうつ伏せになって青い土のうえに寝てみた。

 

 「う~ん。居心地が良いねぇ」僕はうっとりとしていた。気持ちが落ち着く。

 

 憲二もうつ伏せになって青い土に顔を近付けた。

 

 気が緩んだ一瞬の隙だった。

 

 「痛てぇ!!」僕はお尻に激痛がきて勢いよく立ち上がった。

 かなり痛くて痺れるので、僕はその場をグルグル回り続けて痛みを流そうとした。涙が出そうだ。

 

 「竣! どうしたの?」憲二も慌てて飛び起きると、何らかの異変を察して身構えた。

 

 「憲二、ちょっと悪いんだけども、見てくれないかなぁ? 僕のお尻が2つから4つくらいに割れたかもしれない……」僕は自分に置かれたお尻の激痛と古典的なギャグがあまりにも一致するので、真面目な気持ちで今の現状を言った。僕は心配になって憲二にお尻を突き出した。

 

 「竣、その気持ちがよく分かるよ。俺も、さっきさぁ、自分のケツが破裂したと思ったもん」

 

 「憲二、お前がイタズラしたんじゃないだろうな?」

 

 「何で俺がそんなことしなきゃならないの?」

 

 「ジーンズに穴が開いた八つ当たり」

 

 「アホらしい。疑うのかよ。竣、お前のジーンズにも穴が空いているぞ」憲二は指を差しながら言った。

 

 「な、な、な、なんだって?」僕は唇を震わせながら急いでジーンズを脱いだ。

 

 後ろの左ポケットに、憲二と同じく、小指の指先ほどの穴が空いていた。

 

 僕は頭に血が上ってきたので『落ち着け』と念じたが効果はなかった。苛立ちから青い土を蹴りあげた。青い土埃が舞っている。

 『綺麗だな』と3秒ほど思ったが、やはり、イラつきが止まらない。

 

 「どうも様子が変だな」僕は憲二に座れと合図をした。 

 

 「竣、お前のパンツはトランクスだけどもよ、ゴムヒモが伸びきっていないか? ヨレ気味なパンツは珍しいな」憲二は笑いながら言った。

 

 「中学1年から使っているパンツなんだ。年期があるだろう? 僕は物を大事にするタイプだからさ、直しては使うので物持ちが良いんだよ。偉いだろ」僕はゴムヒモを指で弾いて鳴らそうとしたが音は出なかった。

 

 1964年のビートルズのモノクロ写真がプリントされたカッコいい味わいのあるパンツなので愛着があるんだよね。今度、お母さんに頼んでゴムヒモを直しても~らおうっ。

 

 「竣、なんか、あそこの草に光が見えるけどよ、何だろう? 少し動いているよな?」憲二は体勢を低くして言った。

 

 「本当だ。あれは一体何だ? 近付いてみようか?」僕は5メートル先にある青い草むらの下辺りに、光が上下に激しく揺れているを目撃した。

 僕はジーンズを穿き直してチラシを憲二に渡すと、光に向かってゆっくりとほふく前進をした。

 

 

 

 

つづく

どうもありがとうございました!

また読みに来てくださいね!

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