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第30回楠見オールナイト祭り16

久しぶりの更新です!大変長らくお待たせ致しました!宜しくお願い致します!

 美絵ちゃんはスマホで憲二と話終えた後、スマホを切って僕に手渡した。


 「竣くん、私、ちょっとトイレに行ってくるから先に行っててよ」美絵ちゃんは僕の耳元で小声で話した。


 「大丈夫。待つよ」僕も美絵ちゃんの耳元で小声で話した。

 

 「どうもありがとう。皆の分のソフトクリームを買っていくからさ、先に行っててよ。四季ちゃんの『ファンタジー』の割引券があるからさ。四季ちゃんも来ているんでしょう? お店は開いているかな? 開いているよね?」

 

 「四季ちゃんなら喜んで開店前に売ってくれるさ。頼んでごらんよ」僕は自転車で全力疾走をする四季ちゃんの姿を思い出したので、美絵ちゃんにその事を話した。

 

 「ウフフフフ。四季ちゃんお茶目ね。ウフフフフ」美絵ちゃんは嬉しそうに笑った。

 

 「お昼ご飯も『ファンタジー』で食べようね。じゃあね、竣くん。あっ、憲二くんが来たよーっ!」美絵ちゃんは憲二に手を振りながらそのままトイレに向かって走っていった。

  

 憲二は走ってきた。

 

 「おう、憲二。すまん。悪いな。悪い」僕は照れながら言った。 

   

 「大丈夫、大丈夫。それよりも美絵ちゃんは?」

 

 「ソフトクリームを買いに行ったよ。先に行っててくれってさ」

  

 「そうか。じゃあ、先にフォークシンガーの曽羽佳子(そばよしこ)の最後のライヴに行こうぜ。あと15分か20分で始まるぞ」憲二は話ながら早足に行こうとした。

  

 「おーい、おい。そこの坊主たち」坊主と言われる歳ではないので僕は反感を込めて誰の声だか知らないが無視をした。


 「待てよ、坊主ども。ちょっつぃ(ちょっと)、ちょっつぃ(ちょっと)、坊主どもよ、待てってよ。待てって言ってるのがわからんのかい?」

 

 僕と憲二は急いでいるので無視をして足早にその場を去ろうとしたら、再び、しゃがれ声が飛んできた。

 

 「坊主たち、『ギャリコメチチポレショ』をしないかい? 今しか出来ないよ。期間限定の3日間だけなんだよ」僕は聞きなれない言葉が耳に入り足を止めた。


 僕は振り返って声の主を確認した。

 

 男の年齢は50代くらいで、身長は約170センチ。赤ら顔、べっこう色のフレームをしたサングラスを掛けて口の端に火の点いていない煙草をくわえていた。ヘアスタイルは緩く掛けた無造作なパーマ。男の後ろには大きめの緑色のテントがあった。

 

 男は暑い夏だというのに安物の青いスーツを着ていた。

 『太陽がいっぱい』のリプリーか『プリティー・ウーマン』のエドワードを気取っているのかもしれない。

 

 白いワイシャツのボタンを4つも開けているので薄い胸毛が見えた。 

 たぶんメッキだとは思うが、ネックレスが煩わしく揺れていた。

 

 男はアレルギーなのだろう、首回りの肌がミミズ腫れをしていて盛り上がっていた。男は僕たちにゴマをするように愛想笑いを浮かべて血が滲むほど首から胸に掛けて掻いていた。左手に30枚程のチラシの束があった。

 

 「『ギャリコメチチポレショ』ってなんですか?」僕は男から1メートルほど離れた距離から声を掛けた。

 

 「坊主、嘘だろう? 冗談だろう? 『ギャリコメチチポレショ』を知らないのかい?」男は大袈裟に驚いた顔を作って言った。

 

 「知らないです。初めて聴きました。憲二、知ってる?」

 

 「俺も知らない」憲二は悩んだ顔をして首をひねった。

 

 「坊主ども、マジで言ってるの?」男は僕らを心配そうに見ていた。

 

 「僕らは坊主じゃないですよ。本当に『ギャリコメチチポレショ』を知らないんです」僕は正直に知らないことは知らないと恥ずかしがらずに男に伝えた。


 「マジか。それは困ったなぁ。この地球上で知らないのは坊主たちだけかもしれないよ」男はおでこを押さえながら僕らを悲しそうに見つめていた。

 

 「スマホで調べても良いですか?」憲二はスマホで検索をした。

 

 「出ないな。『ギャリコメチチポレショ』なんて無いんじゃないの?」憲二は怪訝な目をして男を見た。

 

 「そりゃそうだよ。スマホで調べても無駄だ。『ギャリコメチチポレショ』はね。そう簡単にはいくまいよ。お年寄りから子供まで楽しんでいるのにさ、水を指すような馬鹿な真似はしたくないし、出来ないだろうがよ。相手に失礼な話にもなるだろう?」男は答えを濁すようにして言った。

 

 「納得いかない」僕は困ったなと思った。

 

 「おじさん、『ギャリコメチチポレショ』について教えてください」憲二は我慢出来ないみたいだった。


 「そうか。そうだよな。物事を知らないとさ、やっぱり恥だからな。『ギャリコメチチポレショ』を教えて欲しいかい?」男は優越感に浸っていた。

 

 「はい」僕は早く知りたくてすぐに返事を返した。

 

 「坊主たちも『ギャリコメチチポレショ』で遊んだりしたいかーい?」男の声に力が入っていた。

 

 「したいか、したくないかは分からないけど、一体何なのかを知りたいです」僕は知らないことに対して夢中になれる訳がないし、知らない遊びに無邪気に飛び付く気持ちにはなれないから、興味本意を抱いて危険な火遊びはしたくない。

 

 「なるほど、坊主の言いたい事は分かった。これを確認してからじゃないと、先には進めんのよ。『ギャリコメチチポレショ』で遊びたいかーい?」男は頑固に言い通した。

 

 「知りたいだけです。遊びかどうかは聞いてからでないと判断が出来ないよ」僕も負けずに言い張った。 

 

 「なるほど。それさっきも聞いたよ。良いかい坊主たち、『ギャリコメチチポレショ』で遊びたいのか、どうかだけを、形式だけで良いから言ってくれ。形式だけで中身は全然無くても良いからさ」男はあやふやな事を優しい声音を使って言い返した。

 

 「憲二、この場合はどうしたらいい? 謎な『ギャリコメチチポレショ』で遊んでみたいかい?」

 

 「わからん。わからんけど凄い興味がある」僕は憲二の気持ちを優先することにした。

 

 「おじさん、分かりました。僕たち『ギャリコメチチポレショ』で遊びたいです」僕は仕方なく言った。

 

 「お客様、ありがとうございます。了解しました」男は上着のポケットからブルースハープを取り出すと、ファンファーレを真似て吹いた。

 

 「チラシにさぁ、色々と詳しく『ギャリコメチチポレショ』について書かれているんだけどもね、欲しい? 1枚500円なんだけどさ」男は僕たちにチラシを差し出した。

 

 高い。

 

 チラシに500円はかなり高いよ。友達のイラストレーターの瑠花(るか)ちゃんは、展覧会や個展、グループ展で自分の絵のポストカードを販売するけども、1枚100円なんだよ。

 

 僕は何だか雲行きが怪しくなってきたのを感じた。

 

 

 

 

つづく

この続きは、すぐに更新します!

読んでくれてどうもありがとうございました!

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