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素敵な週末

やっとあの娘に会えるなんて!僕は嬉しさで空に舞い上がりそうだよ!会うべきかどうしようか迷ったんだけどね、心の親友のサポートのお陰で一歩前に踏み出せたんだ。本当にどうもありがとう!でも、彼女に会ったら、どうしたらいいんだろう?とオロオロしてしまうんだよ。結局、悩んでもしょうがない!緊張しないで、普段通りに自分らしくするしかない。あとは、あの娘に出逢えた喜びに感謝と、素敵で大好きな友達に心から感謝の気持ちを持っていくんだ!それしかないのさ!

 午後5時5分。少し暑さが和らいできた。僕は窓を全開にしてデッサンをしていた。イーゼルにカルトンを置いて木炭紙サイズのデッサンだ。


 デッサンは大事だ。基本中の基本。描写力を身に付けるためには、デッサンを追求して描き続けるしかないのだ。結局は自分自身で手繰り寄せて学んでいくしか道はない。技術を得るための努力は惜しむな! だ。

 

 僕は扇風機を回しながら汗だくで短パン姿で描いている。顔や体に木炭やパステルが付着している。机の上にはカフェイン抜きのお茶が置いてある。

 

 一息着く時にはお茶を飲む。僕はデッサンをしている時、頭が熱を帯びて集中力が増し、感覚が研ぎ澄まされていくのを感じる。 それにより、エネルギーや体力の消耗が著しく激しいのだ。

 

 僕は絵を描き終えた後、強い虚脱感に見舞われる。息をつくのもやっとな状態になるのだ。

 

 糖分を少し口に含み疲れを解すようにする。

 何事も労りと柔軟性が大切なんだ。

 

 スマホにラインがきた。

 『竣、美華ちゃんが家に来てるよ〜っ』と亜美から届いた。

 

 僕はスマホを2度見ではなく5度見した。

 

 目と鼻の先に愛しいあの娘がいるのか? 僕は窓を開けて亜美の部屋の窓を見てみた。

 カーテン越しに2人の影が揺れ動いているのが分かった。楽しそうだ。


 『もうすっかり二人は友達なんだね! 良かったね』と返信する。 

 

 『美華ちゃんは本当に良い娘だよ〜!』

 

 『誰とでもすぐ仲良くなれるね! 亜美の特技だね』

 

 『そうかも。峻、今から家に来る?』


 ど、どうしょう?


 ど、どうしょうかな?


 ど、どうしたらいい?


と僕は机の横に貼ってあるジェームス・ディーンのポスターに向かって心の中で相談をした。

 

 ジェームス・ディーンは『ぐずぐずするなよ! 早く行っちまえよ!』と言ったような気がしないでもなかったので、僕は勇気を出して行くことにしてみた。

 

 『わかったよ。何か持っていくものはあるかい?』

 

 『お菓子とジュースがあれば嬉しいですよっ! えへへへ。竣、よろしくね!』

 

 『わかったよーっ! 持っていくよ!』

 

 『蟻蛾10〜!』

 

 僕はリーヴァイスの505を履いて、黒いポロシャツを着た。

 

 お菓子とジュース(夏奈子の物)を冷蔵庫から取り出したあと、洗面所に行って歯を磨き、急いで家を出た。亜美の家はすぐ隣にある。

 

 僕の両親と亜美の両親は仲がとても良かった。家族ぐるみで良いお付き合いをしている。

 

 ピンポーン♪

 

 「は〜い! 竣、いらっしゃい。どうぞ〜」と玄関の扉を開けて亜美は言った。

 

 亜美はバスキアのTシャツと下は『ジョージ・R』というブランドのジャージのズボンを履いていた。

 

 「亜美、今晩は。お誘いをありがとうございます」はい、亜美の好きなポテトとメロンソーダだよ」

 

 「ありがとぉ〜う!」

 

 「おじゃましまぁす!」

 

 「こんばんは〜っ」と美絵がひょこっと亜美の背後から顔を出して言った。

 

 「あっ! これはこれは、どどどど、か、か、か、か、柏木さん! こ、こんばんわ」と僕は慌てて言った。柏木美華の突然の登場に僕はめまいが出そうだった。

 

 柏木美華との距離は50センチほど。至近距離で見る柏木美華は声が出させないほど綺麗で美しかった。

 

 僕はまったくどうしていいのか分からなくなっていた。足が震えていた。手も震えてきた。

 

 横隔膜と声帯が引っくり返って、ひゃっくりが出そうだった。ふくらはぎが、こむら返りをする一歩手前だった。緊張で鼻水が出そうだった。いや、すでに出ていたと思う。お腹が急激に張り出したので本当に屁が出る5秒前になっていた。

 

 今は耐えるしかない。柏木美華は青いシンプルなTシャツとジーンズを履いていた。美華の全身からは、夢の世界から直接贈り届けられたようなエレガントな香りがしていた。香りに色彩が見えるような気がした。

 

 「私、ちょっとコップを持ってくるね。美華ちゃん、竣と一緒に部屋に行って待っててねっ」

 

 僕は頭の中でビートルズの『シー・ラヴズ・ユー』が流れていた。

 

 僕は舞い上がりすぎて頭に血が上ってきたので酸素が不足しているようだ。

 頭がクラクラしてきた。

 僕はもう恋に落ちていた。

 

 「竣くん、亜美ちゃんの部屋で待っていようよ」と柏木美華は優しい顔をして言った。

 

 「わかりました」と僕はカチコチになっていた。

 僕は柏木美華の後を続いて歩いていく。

 柏木美華の髪からバラの良い香りがしていた。

 

 『う〜ん、ファンタスティックだ!』と香りに感心しながら階段を上っていった。

 

 2階の亜美の部屋の扉の前で僕らは立ち止まった。

 

 「柏木さん、おさ、お先にどうぞ」

 

 「竣くん、どうぞ」先に部屋に入るのをお互いに促し合った。

 

 「レディーファーストです」と僕はまたしてもカチコチになりながら言って、柏木美華を先に部屋に上げた。

 

 「ありがとう」と柏木美華は笑顔で頷いて笑った。

 

 「いやぁ、あはははは」と僕は照れながら部屋に入ろうとした。

 

 ビシッ!

 

 電気が身体中を駆け巡ったあと鋭い痛みが一瞬にして現れた。

 

 右足の小指を扉に思いっきり力一杯ぶつけたのだ。

 

 「ぐってぇ!(痛え!)」涙が出るほど、もの凄く痛かった。僕は片足でジャンプをしながら涙を堪えた。

 

 普段なら、こんなおっちょこちょいはしないのに。僕はどうしたんだろう? 心が宙に浮かんでいるんだよね。

 

 「大丈夫!?」と美華は僕の右足を擦ってくれた。

 

 「ええ。痛みは消え去りましたよ。すみませんでした」と僕はあたふたしながら言った。

 

 ありがたい。

 

 ありがたい。

 

 感無量だ。

  

 『柏木美華さんが右足を擦ってくれていますので、なんとなく、痛くないような痛さを感じてはいますが、痛みが「痛いよぉぅ…」となんとなく痛さを堪えて痛みを感じております』と僕は思いながら、柏木美華の優しさがたまらなく嬉しくて心の中で泣きそうだった。

 

 柏木美華の手は凄く暖かかった。僕は彼女に心も体も、すべてを委ねていた。




つづく

夏は素晴らしいですね!すべてが輝いています。読んでくれてどうもありがとうございました!また、次回も楽しみに待っていてくださいね!

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