回らない地球で僕らは明日を見つける
頭上に佇む雲はもう何日も僕らの街を覆っている
誰も気づかないだろうけど この雲は少しずつ大きくなっている
やがで雲は自分の重さに耐えきれず僕らの街に雨を降らすだろう
遠くに見える藍色の無限の空に霹靂が現れる
迸る光が藍色の空を闇へと誘うけれど
僕がまばたきをするころには元のあとかたのない無限の空が広がっていた
後ろを振り返る
燦々とした太陽が胸を張っている
太陽が降り注げるものは太陽より真っ白なまばゆい雪だ
それは陽の光の結晶のようで 触れると柔らかくも暖かい赤ちゃんの手のようで
でも僕は知っている
あれはすぐに溶けてしまう儚く冷たいものだってこと
傍らにある泉に目を向ける
水面に映る半月の月はどこを見渡しても原型となるものが見当たらない
揺れる月はまさに朧だけれど
僕の知る限りこの月は地球が生まれたその日から消えたことなどない
また雲が大きくなる
僕には聞こえる
「ずん」と一回り大きくなる音が聞こえる
誰も気づかないだろうけど この街にはもうすぐ雨が降る
誰にも見えない大粒の雨が屋根を濡らす 土を濡らす 野良ネコを濡らす
誰も気づかないだろうけど 僕らにも確かな明日が訪れる
回らない地球で明日を迎える僕らは……
おわり