妄想の説明
統合失調症として、
「嗚呼、統合が失調している」
と病名を実感することがある。
最初に病名を知ったときはピンとこなかったし、今でも所謂統合失調症の代表的症例として挙げられる幻聴や妄想はないと思っているのだが。
統合失調症は神経が過敏になることもある。細かいことを気にすると言ってもいい。読者の皆さんが想像がつくかどうかは分からない。
例えば自分が見張られているという妄想があるとする。これはテレビから、宇宙から毒電波で自分が操られているとかと同様、割とスタンダードな妄想である。
私の話をすると、以前午前二時まで起きていた時、ピッキングの音で慌てて夫に二重ロックを掛けさせ(自分はすくんで動けなかった)、すぐに警察に通報するという頭も働かず結局通報したのは一時間半後、そして犯人は捕まらず、ということがあった。
これは神経を苛む。それは皆さんも想像がつくと思う。
しかし誰も、それは怖かったね、となだめてくれはしなかったのだ。少なくとも私の記憶と脳内ではそうだ。相手には相手の都合がある。それは常識だ。しかし私の心に残ったのは、
「興奮した自分に誰もが手を焼き匙を投げ、父に怒鳴られた」
それだけなのだ。
私は見晴らしの良いところに住んでいる。ずっと、自分は外から見えないと思っていた。しかし、望遠鏡でも使えばきっと見えるのだ。
着替えるときはカーテンを閉めよう、と考えるのは普通でも、見られているかもしれないと恐怖するのは辛い。
あなたにとって推理小説のような妄想でも、その人にとっては、筋道を立てて考えた末での妄想なのだ。