その さん
「カラダガオボエテルカラー……ラー…ラー…」
へええ、衝撃波って言葉にも有るんだ〜、エコーかかって聴こえるよね〜。
あ、なんか身体が遠く感じる…このまま抜けたら、自分の身体に戻れるんじゃね?なんて思ってたら、がしっと両肩を掴まれました…【お母さん】に…。
「大丈夫!アナタは死なないわ【赤ずきん】が守るもの!」
セルフサービスだよ⁉
【お母さん】に【赤ずきん】に身体で教えてるんなら、ワタシ要らないんじゃ?と、質問という不満をぶつけたら懇切丁寧に教えてくれた。
【赤ずきん】の身体は、基本的には『赤頭巾』という『物語』の行動をなぞる。
今までは、それでよかったのだが、少し前からあちこちの物語世界に『不正介入者』と呼称される、『物語の通常とは異なる』行動をするモノが入り込むようになったらしい。
原因はまだ究明中ではっきりとしないが、放置しすぎると物語世界が崩壊し、隣接する世界にもドミノ倒し的に影響がでてしまう、ということで『童話健全維持機構』が、監視・維持・調査などを行っているのだという。
【お母さん】が最初に言ってた、『ちょっとばかり』おかしくなった『赤頭巾』世界は、【オオカミ】と【猟師】がおかしくなってしまったんだそうだ。
基本通りなら、【お母さん】と【お婆ちゃん】は、起点と終点から『動けない』。
そこを動かしてしまうと、物語として収集がつけるのがもっと大変になってしまう。
そして変化は『自由に動く中盤のキャラクター』なだけにやっかいらしい。
【赤ずきん】を助ける筈の【猟師】が助けなかったり、襲いかかってきたり。
(ロリか⁉)
草食系男子になった【オオカミ】がでてこなかったり。
(いや、おそわないんだったらいいんじゃ?)
【お婆ちゃん】に目もくれず、ひたすら【赤ずきん】を、ハアハアいいながらストーカーしたり。
(オオカミっぽいけど、何かチガウ感じ…?)
機構の分析によると、ワタシや【お母さん】は、こうして機構のシステムで正式介入しているが、何らかの要因か方法で【オオカミ】や【猟師】に『不正介入者』が入り込んでいる可能性が有るとのこと。
介入できないようにするには、一端、『不正介入者』達を自分の『オリジナル世界』に戻して、『赤頭巾』世界にガードをかける、もしくはこの世界は登場人物が少ないので個々にアンチ介入の処理をするとか…。
ワタシは、不思議になった。
何時の間にそんなに科学が発達したんだろう?
アレか?パンピーには知らされない、『@@の陰謀』とか、そーゆーやつなんだろうか?
疑問を口にしたら【お母さん】が、ふふっとまた微笑んだ。
「うん【赤ずきん】のオリジナル世界とはまたちょっとばかり違うの♬」
アレだよね、【お母さん】の『ちょっとばかり』って、いわゆる『未開発地域の人のすぐそこ』みたいな、『実は先進地域の車移動で3日』みたいなとこあるよネ…。
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【お母さん】の教えてくれた事を思い返しながら歩いていたら、ようやく中間地点【お花畑】に差し掛かってきた。
物語通りなら、ここで【オオカミ】とファーストコンタクトが有るはず。
【赤ずきん】は、【お婆ちゃん】のためにまっすぐ行くのに、【オオカミ】が誘う。
「 おう、おチビちゃん、どこいくんだい?」
振り返ると【猟師】がいた。
【猟師】と初期に出会っているケースもあるので、即断はできない。
ワタシは【赤ずきん】の口で話した。
「『森の奥に住む、お婆ちゃんにお使いにいくの』」
どうとでも対象できる様に、身体ごと【猟師】に向き直る。
「『そうかいそいつは大変だ、森の中には怖いオオカミが居るから気をつけるんだよ』」
「『ありがとう、猟師のおじさん』」
答える替わりに【猟師】は、猟銃の銃口をこちらに向けて、ニヤリと笑った。
「荷物を置いてきな、【赤ずきん】」
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続きます( ´ ▽ ` )ノ