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幕
ただ真白い空間。
そこには浮いているかのように自分だけが存在している。
「……時間だ」
高くもなく、低くもなく、ただ遠く響く澄んだ声。
過去の自分が、最初の自分だけが聞いたことのある声。
「……神」
「ゲームはこれで終了になる」
これで終わりなのか。
約束も果たせずに。
会えずに、この……まま。
「悔しいか?」
淡々と問いかけてくる神。
「……悔しいよ」
心から感じるのはただその一言だけ。
「ならば、最後のチャンスをやろう。お前が全てを賭けるのなら」
「何だって構わない。だから、チャンスをくれ。もう一度過去を、未来を、今日という時間を」
縋ることの出来るものなら、何だって縋りたい。
例えそれが、藁だろうが。
一本の蜘蛛の糸だろうが。
悪魔の囁きや神の気まぐれだろうが。
今はただ……。
「彼女を助けるために」
ゲームを始めよう。
思い出は心に力を与え、心は思い出に光を与える。
最後にして本当のゲーム。
過去を、未来を、今を賭けたメモリーゲーム。
求めたからこそ、これは始まった。
だから必ず掴み捕れ……人間。




