結末
暗くて遠くからだが、あの丘の上にある桜の木の下に人影が見える。
彼女だろうか?
そんな期待を胸に走り出した。
けど、そこに居たのは約束の彼女ではないよく似た別の女性だった。
「お久しぶりです」
……誰だ?
あれ?
あぁ、そうだ思い出した。
この女性は彼女のお姉さんだ。
ここで俺と遊んでいた彼女をよく迎えに来ていたから何回か見た覚えがある。
「お久しぶりです。えぇと……」
それにしても何で彼女ではなくお姉さんなんだろう?
「……あの子のために、来てくれたんですね。本当にありがとうございます」
どういうことなのだろうか。
なんだか嫌な予感がする。
「お話があります」
そう言うお姉さんの顔は暗く重いものだった。
嫌だ、聞きたくない。
まだ何も話されてないのに心の底から拒絶している。
何かが痛む。
それに恐い……、何か怖いよ。
「今日、本来来るはずだったあの子は、もう……ここには来れません。今日のお昼頃に駅前で事故に……、事故に巻き込まれて死んでしまったんです。ここに来る途中で」
痛い、痛いよ。
心が痛いよ。
何で……何で、嫌な予感だけが当たるんだよ。
こんな形で……、こんな形で終ってしまうのか?
「なんで? なんで? ……どうして? こんな形で……、約束が果たせずに終わってしまうのかよ。ちく……しょう、畜生っ」
悲しいよ。寂しいよ。……会いたいよ、君に。
「あの子も、あなたと再会できるのをずっと楽しみにしていたんです。なのに、こんなことになるなんて」
ゲームなんて関係ない。
俺はただ彼女に会いたかっただけなのに。
あぁ、涙が止まらないよ。
そして、時間は午前零時を迎える。




