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メモリーゲーム  作者: 空中庭園
7/12

タイムカプセル

「もしもし」

「おぅ、どうした? 久しぶりだなあ。元気か?」

「元気、元気。ところでさ、今お前こっちに帰ってきてる?」

「あぁ、帰ってきてるよ。それがどうした? 飲みの誘いか?」

「そういうわけじゃないんだ。実は少し頼みたいことがあるんだがいいか?」

「……? まぁ、構わんが内容次第だな」

「実は……」

「実は……?」

「タイムカプセル掘り返すの手伝ってくれないか?」

「……はい?」




ふぅ、それにしてもこんな電話を二十人、クラス全員分掛けるのは面倒だ。

まぁ、全員からタイムカプセルを掘りかえす許可も取れたし、何人かは手伝ってくれるって言ってくれただけよしとするか。

そういえば、まだ先生に……。

いいや別に、気にしない気にしない。

居ても居なくても同じだし。




「ほぉ、なるほど。だから、あの頃あんなに草野球や遊びにも誘ったってのに付き合いが悪かったのか。それにしても、お前がそんな奴だったとはなぁ。ホント、びっくりだ。うん、びっくりだ」

 真夜中の学校の校庭。

俺はプライドを捨てて全てを集まってくれた人に話した。

 彼女に会うことを優先したら、皆に協力を頼むしかないからな。

 けど、……やっぱり恥ずかしい。

 自分でも分かるくらい顔が真っ赤になってるよ。

「そういうことなら手伝ってやらんとな」

「確かに、そうね」

「だな……」

「しゃーない。やってやるか」

「ふむ、一肌脱ぐとしよう」

涙が出てくる。

「ありがとう」

感謝で心が一杯なのにこれしか言葉が出ないよ。

「本当にありがとう」

「「……」」

皆が俺を微笑ましいものを見るかのように見てくる。

たっ、頼むからそんな顔で見ないでくれ。

……恥ずかしいだろ。

俺は涙を拭う。

約束を果たすためにも

「それじゃ、皆。よろ……」

『よろしく頼む』と言うつもりだったのが謎の重低音によって遮られる。

そして、その音に続いて『おーい』って声が聞こえてきた。

その音と声の方向を向いてみると、眩しすぎるほど強烈なライトで俺たちを照らす中型のトラック。

それに乗った、かつてのクラスメイトで一番仲の良かった友達が居た。

「すまん皆。遅れた。親父に頼んで、許可とってコイツを持ってくんのに時間が掛かったんだ」

そう言って指差したトラックの後ろには一台の小型の重機……俗にいうユンボが乗っていた。

「必要だろ、コイツ。もうそんなに時間がないだろうし? さて、急いで掘り起こそうぜ」

電話越しにコイツにだけは既に話してあった。

いろいろと察してこれを持ってきてくれたんだろう。

それに土木屋の親父さんから借りだすのはすごく苦労したと思う、本当にありがとう。

 そう俺は心の中で呟く。

 俺とコイツの仲じゃ、お礼なんて無粋以外の何ものでもないからな。

 だから、俺から言うのはたった一言でいい。

「ああ、頼む」

 あとは時間との勝負。

 今は十時半。

 残り時間は一時間半。

 だけど、もう負ける気がしない。




「あった。あったぞ」

ついに見つかったタイムカプセル。

ユンボを使っても一時間は掛かった。

まったく誰だ?

五メートルも地下に埋めたのは。

って、昔の俺たちか。

そういえば、皆やけになって一日中掘ってたっけ?

 手紙と指輪をタイムカプセルの中から回収し、皆から送り出されて走り出す。

 残り時間は三十分。

 急ごう。





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