Two person,one HERO
もともと、友達を題材に書いた作品です。
そのため、多少の内輪ネタが混じっていたりしますが、基本的には全く知らなくても楽しめるはずです。
後半、少々厨二が強い部分がでてきますので、耐性がない方はご注意を。
あれは、夢だったのだろうか。
いや、夢でありたいと願っているだけかもしれない。
いや、現実であったら・・・と考えると。
だめだだめだ。話の流れがおかしくなっている。俺は混乱しているのか?
話を整理しよう。
まず、あれは現実に起こったこと。
俺が起こしてしまった現実の事故。
しかし、お陰で一つのものを失い、一つのものを得た。
それは、共にプラスに成るものであり、得たものは今の俺にはもったいないものかもしれない。
けれど、手に入れてしまった。もう失うことはないと信じている。
さぁ、記していこうではないか。
俺の最後にして最大の黒歴史を。
(ある加害者の日記より引用)
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「やっと終わった~。」
今は、六時を少し過ぎたところ。本来5時半に終わるこの部活がなぜ6時までやっているのか。
それは、単純にサーバーのメンテナンス・・・というか調整に時間がかかったからだ。
サーバーメンテナンスと言ってもサーバーとして使っているコンピュータの調子が悪かったから、設定をしなおしていただけであるが。
「お疲れ。栗矢。」
今話しかけてきた部員は、千早草。
俺こと栗矢が部長を務めるコンピュータ部の部員の一人だ。
今回、俺が残ると言ったら終わるまで待ってると入ってくれた友達である。
やはり、一人で残るよりは、誰かがいてくれたほうが良い。
「ありがとう。それで・・・鹿藤は復活した?」
俺の言葉に対してあまり良い顔をしない千早草。やっぱりか。
俺と千早草の目線の先にいるのは、今部室にいる3人目の部員である鹿藤という友達だ。
いつもは、ノリも軽く、いじられながらコミュニケーションをとっているような面白いやつだ。
ただ、今日は少々やりすぎてしまったようだ。
鹿藤は、意識がないかのように机に塞ぎこんでしまっていた。
俺が作業をしている間、千早草もいろいろと話しかけてくれたみたいだが、全くといっていいほど反応がないようだ。
「おーい、鹿藤。今日はすまんかった。
次から気をつけるから今日はもう帰ろうぜ。
お詫びになんかおごるからよ。」
俺はそう話しかけたものの、鹿藤からは返事どころかあらゆる反応すらなかった。
「もう6時を超えて真っ暗だぞ。帰ろうぜ。」
反応すらなかったことに、驚きながらももう一度話しかけてみる。
また、無反応かと思われたが、意外にも返事が帰ってきた。
「ん・・・そうだね。もう真っ暗か。」
「お!気がついたか。それじゃあ、一緒に・・・」
帰ろうという言葉は紡げなかった。
それよりも、早く鹿藤のほうが発言したからだった。
「いや、帰るのは僕一人だよ。」
その言葉の意味を考える暇もなく、コンピュータ室の照明が落ちる。たまに起こる停電だった。このコンピュータ室は照明部分とコンピュータの電源が別になっており、今回の停電でもさっきまで操作していたコンピュータは煌々と光っていた。
一見、冷静に判断できているようだが、実際はそんなに冷静になれていなかった。というより、こんなことを考える暇すらなかったといってもいい。
なぜなら、僕は、鹿藤に首をしめられていたからだ。
「僕を馬鹿にしやがって!何が、おごってやるだ!そんなもので許されるとおもっているのか!・・・安心していいよ。全員学校に来れなくなるから。まずは、栗・・・ぐはっ。」
鹿藤は、僕の首を締めながらそんなことを言っていた。
僕は、その言葉の意味など考えることもできずに無我夢中で暴れた。
その結果、鹿藤のみぞおちに僕の蹴りが入ったらしく彼の言葉は中断され、僕も解放される。
「げほっげほっ・・・。はぁはぁ、おまえ・・・急に何をするんだよ。」
俺は、息を整えてから問いかける。
その時、落ちていた照明がついた。
どうも、千早草が消えていた照明をつけていってくれたらしい。ということは、停電じゃないのか?
「栗矢!大丈夫か?」
「おう、少々危なかったけどな。」
千早草の言葉に俺は軽い口調で返した。
「ふふふ・・・。いいね、いいねぇ。」
俺にみぞおちを蹴られて尻餅をついていた鹿藤からとても不気味なつぶやきがもれる。
「おい、こいつ大丈夫か?」
俺の隣でつぶやく千早草。手には・・・シャープペン?
ああ、そういやこいつはダーツが得意とか言っていたな。
俺が鹿藤から首をしめられたから、身の危険があると思って持ってるのか。
こいつは、これで不審者を撃退したこともあるらしいから、安心といえば安心か。
そんなことを考えているうちに鹿藤はゆっくりと立ち上がっていたらしく、俺が作業をしていたコンピュータに近づく。
そして、鹿藤がそのコンピュータに触れた途端、彼の表情が変わり、人が変わったように口調すら変えて話し始めた。
「はじめまして、御二方。我が名は、紫電一暗。我が主人格である鹿藤様の裏人格の一つです。
出会ったばかりで失礼かとおもいますが、我が主の意思に従い2人を始末させてもらいます。」
あまりにも突拍子な言動に理解が及ばず、俺も千早草も返事が返せなかった。
実際、返事など期待していなかったのか、(本人曰く)鹿藤の裏人格である彼は話し終わるとこのコンピュータ室で唯一電源が入っているコンピュータの画面に触れる。
すると、このコンピュータ室のコンピュータが一台の例外もなく起動した。
「我は、コンピュータを介して攻撃を行います。そして、この部屋には数十台のコンピュータ。
逃げられるとは思わないほうが良いですよ。すでに、出入り口もすべて封鎖してあります。」
その言葉に、反応してすぐに確かめに行く、千早草。
既に、これまでの現象から非常事態であることは飲み込めているらしい。
だが、扉が開く音は聞こえなかった。
「どういうことだ?お前は、鹿藤じゃないのか?」
俺は、無我夢中で問いかける。
俺たちが対峙している彼は、問いかけられて無視するような人ではなかったらしく、律儀にも返事を返してくれた。
「先程も申し上げたとおり、主の裏人格でございます。こちらの言葉では、多重人格といったほうがわかりやすいのでしょうか。
主は、どうも一般の人よりも想像力が豊かであったようで、そのおかげで私共は生まれました。
さて、そろそろ準備も整いましたし、終わりにしてしまいましょうか。」
そう言った途端、後ろを何か鋭いものが通る。
速度的には音速にも遠く及ばず、紫電の名は偽りかと思える。
だが今回の場合、速度は問題ではなく、飛んできたものが問題だった。
「ナイフ・・・だと。いったいどこから?」
だが、その驚きによる静止が狙いだったのだろう。
コンピュータの画面から実体化したナイフが腹部めがけて飛んでくる。
だが、驚きから戻ってこれていない俺は反応出来なかった。
「危ねぇ!」
幸い、千早草が気づいてくれて高速で飛んできたシャープペンに弾かれてナイフは俺の体から逸れた。
そして、奇妙なことにそのナイフは地面に刺さった途端、粒子となって消えてしまった。
「ほう、千早草殿は素晴らしい身体能力を持っていらっしゃるみたいだ。
しかし、いつまで持ちますかね?」
そう言って、画面に触れて新たなナイフを飛ばす鹿藤(厳密には紫電一暗)。
それによって、四方八方から弾幕のように飛んでくるナイフ。
どうも、千早草のほうも同じような状態みたいだった。
(ディスプレイからナイフを飛ばす?明らかに現実の出来事じゃないな。
いや、そんなことは今はどうでもいい。それよりも、あのナイフの殺傷能力だ。
さっきの地面に刺さっていた傷から考えてあたったら刺さることは確実。
そして、この本数。本気で埒があかないな。)
ナイフの嵐が始まってからもう5分もたつだろうか。
最初のころは、来る方向を予測して避けていたものの、
何回か避けているうちにそのナイフに貫通能力が殆ど無いことに気づいた。
速度的には貫通してもおかしくないのだが、先端が触れた途端に粒子に分解されていくため、
深くまで刺さらないのだ。
それに、気づいて今は、一つのコンピュータからキーボードを抜き取り(端子は無理やり引っこ抜いた)盾として、使っていた。
しかし、もともと文化部である俺に体力があるはずもなく、今では数回に一回制服をかすってしまうため、制服はボロボロになっている。一部は、皮膚をかすっているものもあるため、腕と上半身を中心に、血が滲んでいた。
今まで、全く反撃しなかったわけではない。
一応、隙を見ては、手元にあるものを投げて反撃をしているつもりだ。
しかし、すべて紫電一暗の半径30cmあたりで見えない壁にぶつかってしまって届かない。
千早草の投擲も全て一緒だった。もっとも、あっちは、僕みたいに無反応で防がれるのではなく、届く前に対処していると言う感じだが。
どちらにせよ、使っている力が異常すぎると思う。明らかに普通の人間じゃ対抗できない。
コンピュータの下に隠れればいいのでは?と思いそうだが、そうはいかない。
残念ながら、このコンピュータ室では、壁側にすべてコンピュータがあるため、隠れても止まっているだけで致命傷になるのだ。
かといって、ディスプレイが壊せればいいものの、近づくだけでナイフが飛んでくるため、そんなこともできない。
正直、八方塞がりだった。
しかし、その状況を変えてくれたのは皮肉にも紫電一暗だった。
「これでは、埒があきませんね。そろそろ、主から不満が出てしまう。」
そう言って、ナイフの嵐をとめる紫電一暗。
ただ、この手の物は、一気に物事を収めるために行うものだ。そして、今回もその例にもれない。
紫電一暗は左手を画面においたまま(彼は、ナイフで攻撃してる間もずっとそうしていた)右手を、息絶え絶えで今にも倒れてしまいそうな僕に向ける。
すると、彼の右手には、膨大な量の光が集まる。感覚的なものでしかないが、きっとあれは致死量に至る程度の攻撃なんだろう。
というか、そうでなければ、今までの攻撃から入れ替える必要はない。あのままでもそのうちやられてしまうのだから。
(もう、あれを避けるのは無理だな。あいつのことだ、どうせ秒速一00mとか避けられないレベルで攻撃をしかけるのだろう。
範囲的に、今から走っても回避はできないだろう。そんなことで避けられたら意味が無いからな。どっちにせよ、手詰まりか。)
千早草がどうにか抵抗しようとしているが、光の部分にあたっても消されるし、それ以外を狙っても弾かれてしまうようであまり効率はよくないようだ。僕の余命は、長くなっているが。
「それでは、おやすみなさい。栗矢殿。」
鹿藤の体をした別人は、そう言って光線を打った。
俺は、その時神頼みに近いようなことを考えていた。
(もし、あれが鹿藤の別人格なら、あれは彼が作り出したかった人格じゃないな。
彼は、復讐のためとはいえ、あんな悪人みたいなことは望まない思想をしていた。
むしろ、ヒーローとかそっちのほうが彼がなりたかったものなんじゃないか。
だとしたら、ここでヒーローとして出てきたら面白いな。)
この時の俺を褒めたいと思う。
形は違うとはいえ、未来を予測したのだから。
「紫電一暗。その攻撃をやめろ。主はそんなことは望んでいない。」
俺の耳には、光線の代わりに聞き覚えのない口調、だが聞き覚えのある声がした。
「我の名前は、疾風迅雷のナイトハルト。主の希望で負の心の一部だけを読み取ったお前を止めろと言われた。
すぐに、体を主に戻せ。」
俺は、驚いて声の方を向く。そこには、鹿藤が2人いた。
否、それは正しい表現じゃないだろう。厳密には、同じ体格をした2人が向かい合っていたというほうが正しいだろう。
なぜなら、俺らを守ってくれている疾風迅雷のナイトハルトは、仮面をしていたからだ。
「あなたが、裏人格の2人目、いや、本人ですか。もし、そうだとしてもお断りです。
私も主の本心の一部であることは事実でありますし、それにここで止めたら別の意味で主の意思に逆らうことになりそうですし。」
ナイトハルトの言葉に、否定の言葉を返す紫電一暗。
俺と千早草は、謎の人物の登場に言葉が発せなかった。
「そこまでわかっているとは・・・さすが、主の人格の一つではあるね。
それでは、疾風迅雷のナイトハルト。正義の名の下、友人を守るためにおまえを始末させてもらう。」
そこから、疾風迅雷と紫電一暗の名を冠したような戦いが始まった。
やはり、同じ人格からうまれているだけあって力は互角。
ただ、その攻撃で若干ナイトハルトの攻撃が派手なのはご愛嬌といったところか。
ただし、5分もしてくるとその力の差は、だんだん頭角を現してきた。
なぜかはわからないが、紫電一暗の攻撃が強力になっている。
最初の頃こそ、防御に回っていた紫電一暗だったが、今では逆転していた。
「この程度か?ナイトハルトよ。これでは、主も泣いてしまうぞ?」
「くっ・・・。」
ところどころに、紫電一暗が挑発をするものの、それに乗る余裕すらなかった。
「栗矢!千早草!」
急に、観戦に回っていた僕達をナイトハルトが呼んだ。
(観戦に回っていたのはサボっていたのではなく、単純にレベルが高すぎて手がだせなかったからだ。)
「こいつの力のもとは、このコンピュータだ。同一ネットワークにつないでいるコンピュータを並列処理の要領でつないで思考能力をカバーしてる。つまり、こいつは、コンピュータの電源が落とされればほとんど使えなくなる!」
「ちっ・・・。余計なことを。」
ナイトハルトの言葉に悪態をついて追撃をかける紫電一暗。
俺たちはそれぞれ、コンピュータの電源を切ろうと一番近くのコンピュータの電源を押した。
しかし、電源は落ちなかった。さらに、画面からナイフが飛んでくる。
「危なっ・・・。」
ぎりぎりでよけるものの、もうコンピュータには近づけない。
「非常に残念ですが、それらのPCの強制終了は、受け付けないように設定をしてあります。
これで、万事休すですかね?」
僕達の表情を見て紫電一暗は、軽い口調で言った。
(どこかに、抜け穴があるはずだ。
あいつの手を離すことが出来れば、アクセスできなくなる。いや、それができないから苦労してるんだ。
本体についてる電源ボタンが使えない。じゃあ、どうやって切る?OS側のシャットダウンなら効くはずだ。
だが、時間がない上にナイフが飛んでくる。どうすればいい?一斉に消せれば理想だが・・・。
一斉・・・そうだ!あそこならできるはず!)
対策を思いついた俺は、すぐにその場所に向かう。それは、先生用のコンピュータだった。
(このコンピュータなら、一斉にシャットダウンができる。その上、このコンピュータにはネットワークからでも
管理権限の関係で入り込めない。これなら・・・。)
だが、その希望は叶わなかった。
決して、俺の考えがまちがっていたわけじゃない。ただ単にログインができなかったという話だ。
「ちっ・・・その方法がありましたか。」
紫電一暗は、完全に予想外だったようで、一部の攻撃をこちらに向けてきた。
「邪魔はさせないぞ。」
だが、その攻撃を荷物で防いでくれる千早草。
「千早草!ログインパスワードしってるか?!」
「いや、知らねぇ。手詰まりかよ・・・。」
俺の質問だけで千早草は意味するところを理解したようだ。
その時、予想外のところから声が上がった。
「千早草!5秒でいい。紫電一暗を止めてくれ!その間にログインは僕が何とかしよう。」
「わかった!ナイトハルト、まかしたぞ!」
ナイトハルトは、先生用のコンピュータの前に来てUSB端子に手をかざす。
すると、ログインが実行された。
「!?」
俺は、何が起こっているか理解できなかった。
しかし、そんなことを考えるよりも強い衝撃が伝わってきた。
どうも、千早草が体をはって、守った結果吹き飛ばされて壁にぶつかったみたいだ。
「大丈夫か!千早草!」
俺は、駆け寄ろうとするが、千早草は血まみれのまま叫ぶ。
「栗矢!僕はいい。まずは、コンピュータを止めてくれ!
これでとめられなかったら、僕が報われないだろ?」
俺は、その言葉で今やるべきことに気づく。
「わかった!」
すぐに、コンピュータに向かい、管理システムを立ち上げる。
ナイトハルトも、ほとんど準備せずに飛び込んだせいでぎりぎりのところを守っていた。
僕は、一刻も早くという気持ちで一斉シャットダウンのボタンを押した。
その効果は、劇的だった。
あれだけ、追い詰めていた紫電一暗の攻撃がだんだんと弱くなり、最終的にはほとんど技がつかえない状態になった。
「ちっ・・・。カラクリに気づき、力を消しましたか。
しかし、3人の強力、見事でしたよ。HERO一人が目立つのではなく、全員が協力する。
これが、主のやりたかったことですか・・・。私もそちらにいたら面白かったでしょうね。」
最後に、そう言って倒れる紫電一暗・・・いや、鹿藤だろうか。
鹿藤の表情が元に戻っていた。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「終わったのか・・・。」
俺は、つぶやく。
「ああ、2人のおかげだ。ありがとう。」
ナイトハルトはそう言って、俺らを見る。
「全く・・・一時は死ぬかと思ったな。」
俺の肩を借りた千早草がつぶやく。俺も同じ気分だった。
「で、鹿藤の意識はもどるのか?」
俺は、ナイトハルトに聞く。
「ああ。多分、元人格の一部である僕が戻ってないからまだ意識がもどってないんだ。
ただ、その前にやらなきゃいけないことがある。」
そう言って、自分の胸に手を当てるナイトハルト。
「この部屋、そして君たちを傷つけすぎた。
幸い、僕の体は主から離れている。この体を媒介にここの修復を行う。」
そういった途端、修復されていくものたち。
その中には、俺たちの制服も含まれていた。
「ああ、最後にいわなきゃいけないことがあったね。」
体が、半透明になったナイトハルトは俺らの方を向いてそういった。
「今回のことは、主・・・はわかりにくいね。鹿藤が心のなかにずっと持っていた希望。
それが、怒りというトリガーを得て、現実となってしまったんだ。
ただ、それはみんなを傷つけたかったんじゃなくて、こうやって協力して戦うという楽しみを味わいたかったんだと思う。
だから、許してやってほしい。」
その告白は、俺らにとっても予想外のものだった。
だが、なんとなくわかるような気もした。命をかけたが、あの緊迫感は、実際にやらなければ得られないだろう。
「ああ。そういう事情なら、鹿藤を攻めたりしないさ。もともと俺らが原因だしな。なぁ、千早草?」
千早草も笑って頷く。
「そうか。ならよかった。
それじゃあ、もう合うことはないかもしれないけど、もしかしたら暴走したらまたでてくるかもしれないな。」
「命をかけない暴走なら歓迎だな。」
「それもそうだな。」
ナイトハルトの言葉に俺たちは軽い冗談を返す。
「じゃあ、またね。」
そう言って、ナイトハルトは消えていった。
それをきっかけにコンピュータ室の中のあらゆる痕跡がなくなる。
俺たち3人の立ち位置が違うことと、コンピュータが消えていること以外は、騒動の前と全く同じだった。
「う・・・。」
「お、鹿藤。気がついたか?」
「うん。なんか記憶がごちゃごちゃしてて把握がし辛いけど。
なんか、夢でも見てたかなぁ。」
鹿藤のその言葉に笑う俺ら2人。
「ん?2人ともどうして笑うのさ?」
「いやいや、なんでもないって。
それより、帰ろうぜ。疲れた。」
「だな。そろそろ帰らないと本気ででれなくなりそうだ。
いくぞ、栗矢、鹿藤。」
こうして、あの時の騒動は幕を閉じた。
その後、特別に何かがおこったということもない。
あえていうなら、鹿藤にあの時の記憶がそれぞれの視点であるらしく、
その整理をしながら、あの時の喧騒を説明するのに苦労したぐらいだ。
あれから、暴走したということもない。
それは、あの経験を通して得たものがあったからかなと思うが、真相は未だに不明である。
読んでいただいてありがとうございます。
まえがきの通り、もともとはネタの1つとして書いていたものでした。
しかし、ついつい書いていっているうちに形になってしまい、
最終的に多少の感動(感じなかった方が殆どかもしれませんが。)が混ぜれたのは個人的によかったです。
ただ、戦闘描写が果てしなく下手なので、緊迫感も何も伝わらないというのは、
今すごく反省しています。
余裕がありましたら、他の視点で書きなおすなどの方法をとりながら、練習をしていきたいと思っています。
よかったら、感想、アドバイスなどをくれるとありがたいです。