表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/11

Var.Ⅶ:Andante cantabile~Allegro

「そうか・・・つらいのか。」

「私、どう生きればいいのかわからない・・・」

マリーはさめざめと泣き、ジョンは慰めていた。

「まあでも、現実にどう認識が変わろうと受け入れるしかないよ。」

「でも、私は怖い・・・。」

「例えば突然自分に不治の病があると宣告されて、でもどうあがいても無理で、でも考える内に受け入れてそれに応じた人生を送るみたいな感じにさ。」

「身近に感じて、それに合わせるのね。」

「うん。」

「でも、あれこれ変わったり繰り返したりするのが怖い。私ってどこにあるの。」

「それはわからないね。」

「今だってそう。」

「まあ現実なんて合理的と思う連中が多いから合理的であって、実際はそうではないんじゃないの。」

「そうなのかなあ…でも分からない。」

「何が?」

「ここは変奏曲なんでしょう?」

「あぁぁぁそうだね。でも、音は使わない、世界そのものが変容する変奏曲だ。ストーリーは確かにないが、ストーリーなんてものは語り手のエゴに即してるわけで、そもそも物事に明確なストーリーなんてないのだ。」

「つまり器楽的ですらないのね。」

「まあそこまで言うとそうだね。」

「じゃあここってなんなの。なんのためにこうなってるの。」

「それは答えられない。」

「さっきから何度も、パッサカリアって話をよく聞くけど、ひょっとして・・・・」

「そのとおりだ。」




その時、誰かが後ろから背中を二回叩いたので、何だろうとマリーは振り返った。つられてジョンも振り返った。それは鎌田であった。鎌田は叫んだ。

「真田を元にもどせええええええ!!!」

ジョンは言った。

「いやだね。君はロマンを破壊しに来たんだね。そうはさせない。」

「なんだと!?」

危機を察して、マリーは逃げ出した。

「あ、マリーが逃げた!」

ジョンはマリーの後を追った。

「まてじじい!」

鎌田はジョンの後を追った。

マリー=真田は逃げているうちに一本道を走ってる事に気付いた。他の道には行けない。それはただの道ではなかった。走るうちにさまざまな回想が駆け巡っていくのである。後に続く二人もその道へと入っていった。追いかける。

そうこれからフーガが始まるのである。

作者注:Fugaとはもともと「追いかける」意味。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ