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枕草子 -現代風-  作者: 葉山乃
第5章 帝の夜、月の宴 ― 栄華と孤独 ―
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宮中の夜、灯の波 / 定子様の微笑み

夜の宮中は、まるで別の国のようだった。

日中の喧騒がすっかり消え、廊の先には灯が波のように揺れている。


香が焚かれ、絹が擦れる音が遠くで響く。

蝋燭の光が金襖(きんぶすま)を照らし、

薄紅の衣が風にたなびいた。


「この光景、言葉にしなければ消えてしまう……」


筆を持たずにはいられない。

私はそういう生き物なのだ。


やがて奥から鈴の音が響く。

帝の御座が整えられ、月の宴が始まる合図だった。


——————————————————————


中宮定子様——この宮廷で最も美しく、最も聡明な方。

夜の灯に照らされるその姿は、

まるで月そのものが人の形をとったよう。


「少納言、今宵は月が美しいわね。」


「はい。まるで、殿下の御心を映しているようでございます。」


そう言うと、定子様は柔らかく笑った。

あの笑みを見るたび、私は胸の奥が温かくなる。


この方のそばにいられること、

それだけで生きている意味を感じた。


だが、同時に——私は知っていた。

月が満ちるほど、影も濃くなることを。

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