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毒舌という芸術
けれど、正直に言おう。
宮中は“理想郷”ではない。
面白くもなく、
心も鈍く、
言葉の機微をわかろうとしない人も多かった。
そういう人々を見ていると、筆が勝手に動いた。
「頭の中が空っぽな人ほど、髪だけは丁寧に結うのね。」
「言葉を知らない人ほど、声だけはやたらと大きい。」
「まあまあ、少納言様、それは……!」
「ふふ。記録よ、記録。未来の誰かに読ませてあげるの。」
私の毒舌は、笑いの仮面をかぶった刃だった。
けれど、その刃は誰かを傷つけるためではなく、
真実を切り取るためのものだった。
「美しいことしか書かない記録なんて、退屈でしょう?」




