4.遭遇
修正します。
「ごめん!」
たははーと笑いながら謝罪する有里。
そして、仁王立ちで憤慨する少女。
無月だ。
大変ご立腹らしく、彼女の顔は赤くなっていた。
「ごめんじゃないよ!
私の初めて散らされる所だったんだよ!?」
「未遂だったからいいじゃん。
ヤル気も、、、なかったし」
「何その間は!?」
それを見てもまったく動じない有里。
更に、チラチラと撮影した無月の写真を見てニヤニヤしている。
反省をしていないようだった。
無月は、反省の色がまったく見えない様子に、視線を落とす。
「ーーそう、反省してないのね」
無月の声が一段下がった。
有里も、異変を感じたのか無月を見る。
無月は静かにポケットからとある物を取り出した。
それは、長方形の物体だった。
黒色で少し湾曲している。
有里はそれを見て察知した。
何を出されるかを
有里は、声を出そうした....
ーー遅かった。
「ーー復元開始」
「あっ」
唱えると、物体からオーラが出現する。
魔法が発動したのだ。
オーラが、型となり、少しずつ形成されていく。
ーー現れたのは、L字型の鉄塊
片方の先端に穴があり、真ん中に、レバーがあった。
この世界の人なら誰でも知っている物だ。
名称はピストル。
人を一瞬で無力化できる武器を復元したのだ。
それを、有里の額に向けた。
冷淡な声だったが、始終笑顔な無月。
「....遺言はそれでいいかな?」
笑顔だったが、目が据わっている。
有里の頬に一粒の汗が流れた。
しかし、一つ聞かなければいけない事が有里にはあった。
「た、弾も?」
笑顔で答える無月。
「復元できないと思う?弾倉の型さえあれば十分だよ。有里の額で試す?」
そう放った直後、レバーを少し押し始める無月。
有里は、無月の逆鱗に触れてしまった事を気づき汗が大量流れ始める。
有里は、知っている。
彼女が激怒した惨劇を。
普段は穏やかで優しい彼女。
しかし、過去に一度だけ本気で怒らせてしまったことがある。
ーー出されたのは、手榴弾とナイフ。
当時は、「指詰めるか死ぬか」と選択を迫られた。
本当にナイフで小指を切り落とされかけた。
有里はその時、2週間も機嫌取りに勤しみ、事なきを得た。
無月は、希少な魔法を保有している。
その為、彼女にもしもの事がないよう対策がされている。
それが、一部武器部品の所持を許可されていたのだ。
彼女であれば、部品一つでもあれば復元可能だからである。
それを悪用し、無月は有里に使用していた。
怒らせたのは有里であり、自業自得であるが....
最大ピンチの有里は行なったことは、
「申し訳ありませんでしたーーーー!!」
ーー土下座だった。
「もう2度と致しません!!無月様に誓います!」
「前も同じ事言ってたよね?」
「....い、いやいや、状況も違いますから!
怒りを鎮めて頂きませんでしょうか!?」
数秒の間があき、
「....バームクーヘンを所望」
即座に返答する有里。
「はっ!有名な菓子店の物を取り寄せます!」
「....私服」
「私服も何点か購入させて頂きます!」
無月の要求に、有里は即決した。
痛手ではあるが、この窮地を脱するには拒否権なんてない。
有里の回答により、無月はピストルを下げた。
「なら許す」
そう言った無月は、神社の賽銭箱に戻っていく。
有里は、許されたことに安堵し深く息を吐いた。
どっと疲れたのか、少し老いたように見える。
「遅いよ!有里!」
無月は、有里を呼んだ。
既に賽銭箱へついたようだ。
有里は、無月の方へ歩いて行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「もう。有里のせいで夕方になってきたじゃん!」
無月は、先ほどの件で時間が掛かった事を有里を咎めた。
本来なら、山を降りていた時間だからだ。
「ごめんごめん、けど爆弾は処理できたでしょ?」
「....核爆弾だったよ、それも後処理付き」
「ははは....それよりもさ、無月のタイムカプセル見せてよ。それが本来の目的でしょ?」
話を逸らす有里。
勝てないと察したのだ。
無月に、ジトーッとゆう視線が見えるが有里は無視を決めた。
無月も、溜め息を吐き、その後、諦めて有里の話に乗った。
「....そうだね、早いとこ終わらせよう」
無月は、賽銭箱の横に置いていたタイムカプセルを手に持った。
そして、有里に「はい」と手渡す。
「これが目的の品だよ。」
有里は、そのタイムカプセルを慎重に受けて取った。
「....開けるね?」
手のひらを有里に向ける無月。
有里は喉を鳴らす。
何が入ってるのか遂に分かるのだ。
有里に緊張が走る。
有里が、タイムカプセルを開けようと手を掛けた瞬間。
「取り込み中ごめんね〜」
男性の声が鳥居の方から聞こえた。
2人は鳥居側に視線を向けた。
2人に緊張が走る。
「いや〜、おじさん感動するよ〜」
そこには、髪がボサボサな白髭を生やした男がいた。
男は、2人に近づきながら話す。
常に笑顔だか異様な雰囲気。
「2人の友情?親愛?、見てたよ〜青春だね〜」
「ーーけど、おじさんも仕事やんなきゃいけないんだわ」
普通の男性だったら、変な人で片付けていた。
しかし、この男は、決定的に違いがある。
私服とは違う鉄の鎧に、剣。
そして何より、胸のマーク。
この世界に存在しないそのマークはーー
「ごめんね。運が悪かったと思って?」
侵略国家のシンボルマーク
2人は異世界人と遭遇してしまった。