姉ちゃんのランドセル
これは、『なろうラジオ大賞4』参加作品です!
☆テーマ:ランドセル
俺は弟だからな。仕方ないけど、お下がりが多い。問題は姉ちゃんのお下がりってことだ。
少しボーイッシュな俺の姉ちゃん。服や帽子はそれなりに着こなせた。
──でも……!
「なぁ、リョウ。お前のランドセルが赤いの、なにか理由があるのか?」
ついに、気付いてしまったか、村田。俺が今背負ってるランドセルの色は赤い。赤は女の子の色って、そんなイメージがまだあるだろ。
一年の頃は良かった。周囲のおばちゃんからは、「かわいい!」って評判だったんだ。
でもやっぱり、三年になるとキツい。周囲の男子は茶色や黒が多い。俺と同じ赤いランドセルを背負ってる男子なんて居ない。
俺は少し俯いて、
「やっぱ変だよな。女子みたいでキモいよな」
と笑って見せた。そうしたら村田は、
「赤って特撮ヒーローの真ん中じゃん。カッケー」
と言ってくれた。
その後ろでスクール鞄を持ってる姉ちゃんと目が合った。どうやらこっちに来るみたいだ。
姉ちゃんは村田に、
「こんにちは!」
と挨拶をした。また、俺のランドセル姿を見て、「本当に似合ってるねー男の子なのに」と笑いながら言った。
いつもこんな感じだから、慣れた。きっと悪気はないんだ。俺の姉ちゃんはこういう奴。
若干諦めた顔をしていたら村田が一言、
「赤はヒーローの色ですよ。カッコいいです!」
と言ってくれた。
姉ちゃんは、「あー、そういう見方も出来るねー!」と返した。純粋にそう受け取ったのだろう。
ありがとう村田。お前のおかげで姉ちゃんの物の見方が変わった。こういうのは他人が言ってくれないと効果がないんだ。
俺は村田に向かって、
「ありがとう」
と言った。
村田はニカッと笑って俺に、
「わかってないなぁリョウ。俺の親友の持ってるアイテムは、何でも格好良いんだよ」
そう言ってくれた。姉ちゃんはその言葉を聞いて、「よ、男前!」と囃し立てた。
バカ野郎。格好良いのはお前だよ、村田!
※スマホで空き時間にポチポチした作品なので、評価は非表示にしておきます!
最後まで見てくれてありがとうございます!