表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
すったんぱったん  作者: ha
5/10

慈しみと雪山に住むもの

「命あるものは、みな、幸福でありますように。安楽でありますように。

 上も下も関係なく、慈しみなさい…」

神様は、慈愛に満ちた顔をして、語り始めた。

「慈悲の心ですか。難しいものですね」

「大切なものよ。慈しみの心は。路傍にいる小さな虫にも命はあるわ。

 そして全て終わりゆく。だからこそ戒めを保って、みなの幸福を祈りなさいね」

「現代社会。そんなに出来た人間はいませんよ」

愚痴るように言ったが、私は何とも言えない気持ちになった。

「そうね…前向きに、率直に、足ることを知り、悪口を言わず、驕らないこと。

 難しいから、少しづつで良いのよ。日頃の心掛けが、いつか貴方を変えてくれるわ」

そう神様は言った。私は部屋に入ってきた蛾を外に逃がして、そのまま寝た。


ー------------


「人間が持つ六つの執着を知っているかしら?」

神様は、欲望を見透かす眼差しをしてから、語り始めた。

「食欲とか性欲とか物欲とかですかね」

欲望を口にしたが、私は何ともいえない気持ちになった。

「そうね。その根幹にあるものよ。視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚。そして心。

 この六つによって様々な欲望に縛られてしまうの」

神様は、クスリと寂しそうに笑った。

「無常。美しいものも、美味しいものも、全て儚く…朽ちてなくなるわ。

 智慧を持ち、生がもたらす欲望に囚われないようにね。

 願わくば、貴方があらゆるものから解放されますように」

そう神様は言った。私はピザのデリバリーをしたい気持ちを堪えて、そのまま寝た。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ