破滅と卑しさ
「貴方はお酒、女の子、お金は好きかしら?」
神様は、破滅を誘う者の顔をして、語り始めた。
「好きですよ。はい」
「ふふっ、俗物ね。破滅の道は数えきれない程存在するの。
それを理解したうえで、人間はどう行動すべきか考える必要があるわね」
神様は、私に対して優しく微笑んだ。
そんな笑顔を見て、私は少し悲しい気持ちになった。
「恥の多い人生ですよ、ええ」
「人間、そんなものよ。ただ、一番大切なものだけは疎かにしないようにね」
そう神様は言った。私は久しぶりに家族にメールを送り、そのまま寝た。
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「卑しさというものは、行為によって決まるものよ」
神様は、私にデコピンしてから、語り始めた。
「地味に痛いです」
「卑劣な行為と思ったかしら。ふふっ」
卑劣ではないが、あまり良い気持ちはしなかった。
「行為が人の価値を決めるの。生まれは決して関係ないわ。
マータンガ君、貴方のご両親はどんな仕事をしているの?」
マータンガではないが、私は何とも言えない気持ちになった。
「別に。普通のサラリーマンとパートですよ。
職業は言いたくないですね。それが何か悪いことですか?」
「いえ。それは全く悪いことじゃないわ。人の価値は生まれでは決まらないの」
とても優しい顔をして、神様は私を撫でた。
「人は行為によって、尊くも卑しくもなるものよ。
そして死後を語るのは良くないけど…
悪いことをしたら、来世はきっと良くないものになるわ」
そう神様は言った。私は喧嘩していた友人に電話で謝罪して、そのまま寝た。