009:クズとワル
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―足立区・足立西高校―
圭吾はデビュー戦を勝利したので、次の日の学校はルンルン気分で登校していると、格闘技好きの同級生に声をかけられたのである。
「総合格闘技やってたんだな!! 昨日の試合見て驚いたよ!!」
「そうかな!! いゃ〜。危ないと思ったねぇ」
圭吾はクラスメイトの人間にチヤホヤされて、少し天狗になっていると、クラスメイトの友達からある人間の名前が出されて、それは誰なのかと圭吾は思った。
「総合格闘技やるって事は、《西郷 和馬》先輩とも試合をするのか?」
「え? その西郷ってのは、誰なんだ?」
「お前知らないのか!? 総合格闘技やってるから知ってると思ってたよ…………2年の蓮先輩だよ」
上げられた名前は〈西郷 和馬〉という3年生である、その西郷とは2年前にプロ入りをしてから、今では〈GJF〉で10位という成績を残している人間である。
「嘘でしょ。2個上の先輩が、日本ランカー…………面白いじゃないか!! その人の順位をもらおうじゃないか!!」
「その前に、まずは東日本新人王トーナメントじゃないのか?」
圭吾は新人王戦を勝って直ぐにでも〈GJF〉に殴り込んでやると考えているのである。
「それは難しいんじゃねぇのか? 西郷といえば、近代格闘技の最高傑作って言われてるくらいだからな…………テメェがGJFに行く頃には世界に出てるだろうよ」
「そうなんですか!? それは残念です…………それはそうと、黒羽さんが真面目にトレーニングしてるの珍しくはないですか?」
「それが今年の終わりの試合がなくなって…………1ヶ月後に試合が決まったからだよ!! その前座で、お前らのトーナメントもやるらしいからな!!」
「それは身に余る光栄ですね!! 黒羽さんにつなげられる様に、頑張らせてもらいますよ!!」
ジムに行って圭吾は西郷とやり合うと決めたと、黒羽に言うのであるが黒羽は戦えないと言うのである。
それは西郷が日本チャンプになると、直ぐに世界戦に向かうと言うからである、それを聞いてガッカリしていると倉知会長がやって来て、1回戦の為に練習をすると言う。
「ボンバー大谷っていうのは、典型的なヒール選手で有名だからな…………ペースを握られない様にしないといかんぞ」
「ボンバー大谷っていう奴の試合を見たんですか? 後で俺にも見せてくださいよ!!」
「そうじゃな。練習終わりに見る気があれば、試合を見せてやっで良いぞ…………」
試合のビデオを見たいと言った圭吾だったが、ここからのトレーニングが酷いせいで終わってから見る気が起きない。
しかし見ずには始まらない思って、ビデオを借りて家で横になりながら見ていると、禁止行為を行いまくるというヒールにはふさわしいファイトスタイルだった。
「おいおい。こんなの喧嘩と変わりないぞ…………確かにペースに持っていかれると面倒な事になるか」
圭吾は倉知会長の言ったペースを握られて試合を壊しかねない事を懸念していたのである。
その発言に対して圭吾は納得して、自分だけでも格闘技をやってやろうと心に決めながらシャドーを行うのである。
―八王子ジム―
ボンバー大谷のジムは八王子にあって、このジムでは数人の日本チャンプを輩出している名門ジムであった。
「1回戦から骨のある人間とやりあう様だけど、君としては勝つ自信は何%くらいあるのかな?」
「それを俺に聞くのか? そんなの100%だよ…………アイツも喧嘩をやってるたちなんだろ? それなら同じ土俵に立たせて勝ってやるよ…………けちょんけちょんにしてやる」
(これは本心から出てる言葉だな…………会長さんは悪い人間ではないが、この門下生だけは話が違うな)
ボンバー大谷のところに服部がやって来て、圭吾との試合の意気込みを聞くのであるがヒール節が出ている。
「今回の試合は観客も騒然になるだろうなぁ…………今回の試合は、格闘技じゃなくて喧嘩だからな!!」
「それでも面白い試合にする気はあるんだよね? そうじゃないとトーナメントなんかには出ないかい…………」
「俺が楽しかったら良いんだよ。この世界は俺を中心に回ってんだ…………ぶち殺してやるからよぉ」
ボンバー大谷は圭吾との試合を格闘技ではなくて、喧嘩にしてやると堂々と発言してトレーナーを困らせるのである。
―試合前日・大田区総合体育館―
圭吾たちは試合前日の計量にやって来たのである、圭吾たちは時間通りに来て計量をパスする。
しかしボンバー大谷たちは遅刻して来た上に、少しオーバーしてしまい時間を食う事になるのである。
「両者握手をしてもらっても良いですかね?」
「は、はい…………痛!?」
「これで痛いのか? それじゃあ、明日の試合には母ちゃんの膝枕で寝てるんだな!! ハッハッハッ!!」
遅刻した上に計量をオーバーしているのに、圭吾を侮辱する様な発言をしてから大笑いして計量を後にするのである。
倉知会長は圭吾を止めようと正面に入ると、背筋に寒気が走る様な顔を圭吾かしていたが冷静に帰りましょうと言って着替えを終わらせて会場を後にするのである。