008:渾身の一撃
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―東京都・新宿FACE―
圭吾は上手くフェイント入れ込んで、工藤を出し抜き左腕のエルボーを顔面に入れて吹き飛ばすのである。
倒れ込むのを見て圭吾はトドメを刺そうと動き出すのであるが、倒れ込んだ工藤の目は死んでいなかったのである。
(これは突っ込めば、前蹴りで顎を抜かれる…………これは回り込んで様子を見るか!!)
圭吾は普通に突進すれば殺されると察知して、右側に回ってからパウンドパンチを入れるのであるが、工藤のガードが硬く壊す事が出来ずに駆動に立たられてしまった。
今度は逆に工藤にチャンスがやって来て、間合いを詰めながら圭吾の脛をローキックで狙っていく、圭吾は脛を嫌がって後ろに下がってしまうのである。
(しまった!! 脛を鍛え損ねてる…………これじゃあ、ここを攻めてくださいって言ってるようなもんだ!!)
工藤が足を上げた瞬間に圭吾は脛を意識して固める、しかし工藤は二段蹴りの様にして左足をガードの上から顔面を蹴り伏せて来たのである。
(うぉ!? こんな蹴りを、プロってのはしてくるってのかよ…………仕方ない。アレを使うしかないな!!)
圭吾は攻撃を受けて〈獣スタイル〉を封印したままでは勝てないと思って、熊の構えを解放するのである。
ドッシリとしたガードに変えた圭吾に対して、工藤はガードを固めてカウンターを入れる様な作戦に変えたと思った、そこでカウンターを入れる隙間のない攻撃をしようとする。
(こんなガードを固めて、何になるってんだよ!! このまま攻め込んで、ノックアウトにしてやる!!)
圭吾はひたすらに工藤が疲れて休憩するのを待つ、そして工藤が休憩する為に1歩後ろに下がったのを見逃さない。
後ろに体重移動してしまったせいで、工藤はただガードを目の前に置くしか出来ずに、圭吾の渾身の右ストレートをガードの上から振り下ろして2回転させる。
『うぉおおおおお!!!!!』
(これで終わりだ!!)
圭吾は転がったところで顔面を殴り飛ばそうと、走っていくのであるがレフェリーに停められてしまうのである。
何かと思っているとレフェリーは腕を交差させると、圭吾の〈TKO〉勝利になった、そしてゴングと同時に歓声が上がって圭吾に拍手と歓声が降り注ぐのである。
「良くやったぞい!! 相手を2回転させるなんて、小僧のパンチにはゾッとさせられるわい!!」
「倉知会長の指導があったからですよ…………これからもお願いいたします!!」
倉知会長は走っていき圭吾に抱きつくのである、そして圭吾は引き続き指導をしてもらおうと頭を下げるのである。
観客に挨拶をしながらリングを降りるのであるが、観客たちは〈また見に来る〉とか〈楽しみにしてる〉とか声をかけてくれて気分良くリングを降りていく。
―東京都・新宿FACE・工藤控え室―
工藤は控え室に運ばれてから数分後に目を覚まして起き上がるのである、そこには父親と彼女がいた。
「そうか。俺は新人に負けたのか…………これで、潔く引退する事が出来るな」
「そうだな。あの新人は素晴らしいモノを持っていた………それに対して、お前も引を取っては居なかったぞ」
「お疲れ様って言えるのね…………貴方が無事で帰って来てくれて、本当に良かったわ!!」
工藤は2人に対して自分は引退すると頭を下げて、2人に今までの感謝を伝えて涙笑顔で引退するのである。
―東京都・新宿FACE・会場外―
圭吾はデビュー戦を勝利する事ができて、会場の外で大声を出しすぎない様にガッツポーズをしていると、圭吾のところに工藤がやって来て握手を求めた。
「君のおかげで、潔く引退する事が出来る…………本当に、感謝しているよ!! ありがとう!!」
「こちらこそ、プロの凄さというの実感しました…………これからも精進したいと思っています!!」
「喧嘩上がりだと聞いていたから、どんな子だと思っていたけど…………思ってたよりも真面目そうで安心したよ」
圭吾はヤンキー上がりでありながらも、丁寧な言葉遣いで工藤に対して感謝を伝えるのである、ヤンキー上がりだと聞いていた工藤は拍子抜けだと思っていた。
「これから、俺が奢るから寿司屋でも行かないかい? 君のヤンキー時代の話を聞きたいんだけど?」
「良いんですか!? 全然、自分の話で良かったら、いくらでも話しますけど…………」
自分を最後に負かした人間のことを知りたいと、工藤は思っていたので圭吾を寿司屋に誘うのである、圭吾は倉知会長に了解を得てから寿司屋に向かう。