078:めざめの1発
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―両国国技館―
敦也の3階級制覇をかけた試合が始まった、相手はOPCでは負けなしのウェルター級チャンピオンである、そのチャンプのヘイソンは軍隊経験があって人を見抜く才能がある。
(コイツの目は、戦場で見て来た奴らと同じ目だ…………と言うことは、俺を本気で殺そうとして来てるのか!!)
(この男は、古典的なインファイターだ…………中に入れさせずに、カウンターを打ち込んで勝ち切るまでだ)
(インファイター殺しの異名を持つ男だ…………馬鹿正直にインファイトをすれば、確実にカウンターを貰って負ける)
ヘイソンはインファイターではあるが、敦也のカウンターを恐れて中に踏み込めずに睨み合っている、会場から殴り合えと言うコールが響き渡り始めるのである。
(ならば、お前たちが向かってみれば良い!! こんな奴を目の前にして、突っ込めるほど天才じゃねぇ…………コイツは時間をかけないと、瞬殺が目に見えてやがる!!)
(そんなに俺が怖いのか。OPCのチャンプなのに、どうも頼りないな…………ならば、面白くしてやろうじゃないか)
(な、なんだと!? アウトスタイルの男が、ガードを構えてインファイトの体勢だと…………ありえん!! これは、何かを誘い込もうとしているんだ!!)
(好きなんだろ、インファイト? それなら俺も受けてたってやるよ…………お前よりも強い人間を知ってるからな)
なんとアウトスタイルが主体の敦也が、ガードを固めてインファイトを行う姿勢を見せた、それを見てヘイソンは罠だと思って警戒するが観客たちは盛り上がるのである。
敦也はヘイソンに近寄ると顎を抉り取る勢いで、アッパーを打ち込むがヘイソンは察知して掠る程度で済んだ、間近でアッパーを見たヘイソンは冷や汗を流しているのである。
(こ、コイツは本気でインファイトをしに来てる…………今のパンチは、明らかに潰す勢いのパンチだったぞ!?)
(どうしたんだ? そんな表情を浮かべるなんて、プロ選手として失格なんじゃないか…………)
(こんなに真っ向から来られちゃあ。俺が、怖がって逃げるわけにはいかねぇよな…………相手になってやる!!)
ヘイソンが自分の得意分野で、逃げるわけにはいかないと思って真っ向から立ち向かう事を決めた、そしてヘイソンは敦也に対して近くからボディフックを打った。
しかし敦也は肘でガードをして防ぐ、ヘイソンがインファイトをする様になったのをみて、敦也はニコッと笑ってアウトファイタースタイルに戻したのである。
(自分たちの得意分野で勝負するのが、この世界の鉄則だろう…………お前の強い部分を叩き壊さなきゃ、俺の強さを証明する事なんてできやしない!!)
(そう言う事だったのか。お前は、俺の本気を出させたくてインファイトをしたのか…………その期待に応えてやろうじゃねぇか!!)
ヘイソンは自分の本気を引き出そうとした、敦也に対して敬意を表すべく覚悟を決めて前に出ていく、ヘイソンは敦也が離れたら着いて行きボディや膝打ちを繰り出す。
本気になったヘイソンに対して、敦也は身体を動かしまくって避ける事に徹している、しかし次第にパンチが当たる様になって来て、ヘイソンのパンチが顔面にヒットした。
(遂に、俺の拳が届いたぞ!! それに、ダウンまで取れるとは思っても居なかった…………)
敦也はクリーンヒットした事でマットに尻餅を着く、ヘイソンがテイクダウンを取ろうとした瞬間にゴングが鳴った、第1ラウンドでダウンを取れた事により自信に変わる。
「まさか、お前がダウンを取られるなんてな…………ダメージの蓄積は、どうなっているんだ?」
「別に大した事はありませんよ…………まぁ。これで、残りの2ラウンドが面白くなりそうじゃないですか」
敦也がテイクダウン以外にダウンを取られたのは、圭吾との全日本戦だけだったがヘイソンに2度目を取られる、しかし相手が強くなければ面白くないと不敵に笑っている。
敦也は負けるわけにはいかないと言って、椅子から立ち上がるとリングの中央に向かう、ヘイソンも絶好調だと思っているので軽い足取りで第2ラウンドに向かうのである。
(俺なりのインファイトで、ジャパニーズをマットに沈めてやるよ…………それこそが、俺の存在意義の証明だ!!)
(さすがは、韓国最強の異名を持つ男だ…………しかし。お前には、まだまだ世界進出は早いよ!!)
ヘイソンがボディフックを打った瞬間に、敦也は脛を狙ったカーフキックを繰り出して足元を崩そうとする、カーフキックを喰らったヘイソンは距離を取る為に後ろに下がる。
(さすがは、カウンターの使い手だ。俺が舞い上がったところを、確実に撃ち落とそうとしてくる…………油断できん)
ヘイソンが距離を取ったのを見て、敦也はガードを下げてヘイソンに近寄ってくる様にアピールするのである。




