077:弱肉強食
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―両国国技館―
この日は建のGJFの入れ替え戦が行われて、そのメインには敦也のOPCの3階級制覇の試合が行われる、その前に建がリングを温める為に試合に向かっていくのである。
『これよりGJF入れ替え戦を行いたいと思います…………選手入場!!』
『青コーナー!! 体重〈135ポンド〉戦績〈6戦4勝2敗〉…………SJL第1位。倉知ジム所属〈那須岳 建〉』
『赤コーナー!! 体重〈135ポンド〉戦績〈15戦11勝4敗〉………GJF第5位。大友会所属〈遠藤 光一〉』
建は憧れている圭吾に近づく為に、このGJFの入れ替え戦は重要な戦いになっている、その為に建は燃えていて圭吾の方を見て挨拶を行う程なのである。
(この一戦で、GJFに上がって圭吾さんが世界挑戦のタイミングでチャンピオンになる…………完璧なシナリオだ!! それならば圭吾さんにも近づく事ができる!!)
(なんだ? あんなに、ガチガチで試合なんてなれるのかってもんだ…………それに高2だろ? ガキが舐めんなよ)
両者は舐め合う様に見合ってからゴングが鳴らされる、建は前に出ていくタイプではなくて、相手が向かって来たのに対して華麗に避けてカウンターを入れる敦也タイプだ。
それを知らない光一は、距離を積めると右の大振りからローキックを繰り出すが機敏なステップで避けられ、ガラ空きの顔面に対して2発のパンチを入れ込んだのである。
(ど、どうなってんだ!? こんなガキに、こんな手慣れた事が出来んのかよ…………あのチャンプも気に入らないが、コイツを先に潰しておいた方が良いな!!)
光一は建にタックルを行って、地面に倒すとテイクダウンと取りグラウンドパンチを行っていく、建は顔の前にガードを固めて顔を殴られない様にしているのである。
光一は仕留めきれずにイライラし始めた、建は光一がイライラしやすく攻撃が雑になるのを待っていた、右腕を大きく振り上げた瞬間に建は肘を上に向けて振るった。
(クソ!? この体勢から肘を打てるのかよ…………コイツは、ガキにしては鍛えられてやがる!!)
(ふぅ〜。テイクダウンは課題だったからなぁ…………圭吾さんに教えてもらっておいて、良かったよ!!)
(こんなガキに、テイクダウンから逃げられるとは考えていなかった…………ぶち殺す気がやらねぇとダメだ!!)
2人は立って仕切り直す事になるが、光一は建が思ったよりも手強いので殺す気でやろうと覚悟を決める、それに対して建は自分の戦い方を突き詰めようと考えていた。
(俺がやりたいのは、圭吾さんの〈カンガルースタイル亜種〉をやりたいんだ…………もっと足を動かさなきゃ!!)
建は圭吾のアウトボクシングの様な戦い方をしたいと思っているので、足を高速で動かして光一の周りをサークリングして隙を見つけようとしているのである。
そしてヒット&アウェイを行ってポイントを的確に取りに行く、その中で光一がキレやすいのでイライラし始めて無理に距離を詰めて来た瞬間に顎にフックを入れた。
(ぶは!? どうなっているんだ…………頭の中がフワフワして、拳に力が伝わらねぇぞ!?)
(確実に効いてる!! このまま押し切って試合を終わらせるぞ…………絶対に勝つ!!)
建は光一に近寄ると拳のワンツーを打ち込んでから、2段蹴りを行なって光一の側頭部にクリーンヒットして、光一は白目を剥きながらマットの上に力なく倒れる。
「どんなもんじゃい!!」
『うぉおおおお!!!!!』
建は劇的な幕切れにガッツポーズをして、観客たちは興奮を隠しきれずに歓声を上げるのである、建はバックヤードに下がるまで観客たちに手を振って退場していく。
それと入り違いにローブのフードを深く被った、敦也がアジアの最高峰ベルトOPCで、3階級を制覇する為に長い廊下を歩いて自分の名前を呼ばれるのを待つのである。
『これより〈OPCウェルター級タイトルマッチ〉を執り行いたい思います…………選手入場!!』
『青コーナー!! 体重〈147ポンド〉戦績〈14戦13勝1敗〉…………OPCライト級、OPCスーパーライト級王者。京都ジム〈西郷 敦也〉!!』
『赤コーナー!! 体重〈146ポンド〉戦績〈21戦19勝2敗〉…………OPCウェルター級王者。ソウルジム〈キム=ヘイソン〉!!』
敦也は3階級制覇のチャンスなので、真顔でリングの上に立つと対戦相手のヘイソンを睨む、ヘイソンは敦也の事を見て仕上がりは格別なんだと思ったのである。
「こんなに、上手く仕上がっているとはね…………この格闘技の世界は、弱肉強食の世界だ。それ故に、お前が強者なのかを確かめて来い」
「あのジャパニーズを倒して、世界に進出するのは…………俺だって事を証明して来てやる!!」
ヘイソンの背中をトレーナーが叩いて、敦也を倒して自分自身が強者である事を証明して来いと送り出す。




