074:静かに鋭く研ぐ
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―東京都・倉知ジム―
圭吾は祖母に自分の勇姿を自慢できる様に、日本タイトルを守り世界チャンプを目指す事になった、その為に来年の2月にある初防衛戦の為にトレーニングを行なっていた。
「圭吾さん、知っていますか? 俺のSJL入れ替え戦のメイン試合って、敦也さんの3階級制覇がかかった試合をやるらしいですよ!!」
「そういえば、ウェルター級まで上げているんだっけ………敦也なら問題なく勝つんじゃ無いのか?」
「それが対戦相手っていうのが、OPCで最強って言われてるらしいんですよ…………大丈夫ですかね?」
「お前は敦也の心配じゃなくて、自分の試合の準備を完璧にしておけ…………そうすれば、直ぐにGJFに上がれるぞ」
圭吾は建から敦也の試合があると聞いて、自分の試合にも活かしたいので楽しみだと思っている、そう思いながら圭吾はトレーニングを続けているのである。
そんなところに倉知会長がやって来て、圭吾が休んでいる間に鈍っているのでは無いかとミットを持った、そして圭吾の全力のパンチを受ける事になる。
(鈍っていると思っていたが、このパンチは真理戦の時よりも重さが上がっている…………奴の中で、今回の事が重くなっているという事なんだろうな!!)
「どうですか!! 俺のパンチは鈍ってますか?」
「こ、このパンチでは世界は取れんぞ!! もっと腰の力を拳と足に伝えろ…………世界は遥かに高いところにあるぞ」
圭吾のパンチが重たくなっていると感じたが、ここがゴールでは無いので圭吾に強く当たる、それを聞いた圭吾は真剣に向き合ってくれていると感じてやる気になる。
そして圭吾はロードワークに向かう、河川敷のところを走っていると私服の敦也が芝生の上に座っていた、圭吾は珍しいなと思って敦也に声をかけて隣に座った。
「なんで、試合会場を大阪にしなかったんだ? それに、俺に何か用があって来たんじゃ無いのか?」
「少し話をしようと思ってな。俺の兄貴は、来年の1月に世界最強の栄光〈WFC〉のタイトルマッチがある…………そんな事を聞いたら、居ても立っても居られなくてな」
「それで試合会場を見ようと、東京に来たってわけ? 学校を休んでまで、行動力は凄いなぁ…………3階級制覇が、かかっていると聞いたが調子は良いのか?」
「勝つイメージしか持っちゃいないなぁ…………そんな事よりも俺は、ウェルター級を取ったら世界に出るぞ。そして、世界前哨戦に名前を上げるのは〈南野 蓮夜〉だ!!」
敦也は和馬のタイトルマッチが決まった瞬間に、自分の試合が気になって会場にやって来たという、そして圭吾にウェルター級まで上がった場合は世界に出て行くと宣言した。
そして世界前哨戦の相手には、日本のウェルター級王者の南野を選ぶ事にしたと圭吾に言う、それを聞いて見てみたいカードだと興奮して立ち上がっているのである。
―北海道・雪国ジム―
雪国ジムに夜の6時になると、スーツを着た人が入って来て少し仕事で遅れたとトレーナーに挨拶する、トレーナーは何も怒る様子はなく着替えて来てと言うのである。
「仕事をしながらはキツイだろうなぁ。しかし、次の試合はタイトルマッチだからな…………負けるわけにはいかん」
この男は〈三芳 卓郎〉と言う名前で、圭吾の初防衛戦を行うランキング2位の男である、本当ならば卓郎こそが圭吾よりも先にタイトルマッチを行うはずだった。
そんな卓郎は格闘技をやりながら収入を得る為に、サラリーマンとして働きながら格闘技をしている、その為に練習時間は限られてしまっていて大変である。
「お前さんも大変だな。大変な仕事をしてから、このジムにやって来てトレーニングなんてな…………それでも日本ランキングで2位になっているとは」
「俺が好きでやってる事なんで、文句なんて言えばバチが当たってしまいますよ…………それに息子に、父ちゃんは凄いんだって自慢をしたいところなんですよ」
「既に自慢ができると思うが、このタイトルマッチを手に入れる事ができれば…………最高だと思わないか!!」
「俺がベルトを取るのには、もっとトレーニングを積まないとダメです…………彼は高校生ですけど、和馬くんとの試合も見ても格上だと思っているんです」
トレーナーは卓郎ならば圭吾に勝って、自分の息子にベルトを見せる事が出来るだろうと言うのであるが、卓郎は圭吾の試合を研究して格上だと判断していると報告した。
それを聞いてトレーナーは、社会人である事もあって真面目に格闘技と向き合っていると思うのである、そして2人のミット打ちが始まるが鋭いパンチが卓郎の売りという。
(卓郎の鋭いパンチは、正確でありながら速度も十分すぎるパンチだ…………このパンチがあれば、高校生チャンピオンなんかは敵にならないぞ!!)
トレーナーは卓郎のパンチを受けてみて、確実に圭吾に勝てるとニヤッと笑いながらミット打ちを続けるのである。




