071:晴天の霹靂
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―さいたまスーパーアリーナ・控え室―
圭吾の控え室に黒羽たちがやって来て、圭吾の腰に巻かれているベルトを加藤や深澤たちが拝んでいる、圭吾は18歳にして日本のチャンピオンになる快挙を行った。
「あ、あれ? 身体がフラフラする…………」
「怪我が回って来たんじゃよ!! 今日のところは帰って、明日には病院で検査して来い!!」
圭吾は喜んでいるのであるが、突然にフラフラッと地面に尻餅を着いてしまった、倉知会長はダメージの蓄積が限界になったのだと言って変える様に圭吾に言うのである。
しかし圭吾を1人で返すには危ないという事で、後輩の建が付き添いで家に帰る事になったのである、圭吾は帰り道を歩いていると婆ちゃんに早く伝えたいとスマホを取り出す。
「お婆さまは聞いたら、喜ぶんじゃないんですか!! 自慢の孫だって嬉しくなると思いますよ!!」
「それだと良いんだけどねぇ…………あれ? 知らない番号から電話がかかって来てるなぁ」
圭吾が婆ちゃんにスマホで連絡しようとした時に、スマホの電話アプリに8回の電話が鳴らされていた、圭吾は何かと思って電話を折り返しかけてみた。
『東さんですか!! 何度も電話をしたんですが、お出にならなかったので困ってたんです…………』
「す、すみません!! ちょっと格闘技の試合がありまして出られませんでした…………何かありましたか?」
『落ち着いて下さいね。2時間ほど前に、お婆さまが交通事故に遭いまして…………お亡くなりになりました』
「え……」
圭吾に電話をかけて来ていたのは、私立の病院からだったのである、そしてナースの人から告げられた事は圭吾の祖母が交通事故で亡くなったという事だった。
それを聞いた瞬間に圭吾はスマホを落として放心状態になった、そして我に帰った瞬間に圭吾はスマホを取らないまま走って私立の病院に向かうのである。
「どうなってんだよ!! どうなってんだよ!!」
圭吾は動揺したまま病院に着くと、緊急外来の受付に連絡があった事を話すと遺体のある部屋に通される、そこには傷だらけで息もしていない祖母の遺体があった。
圭吾は膝から崩れ落ちてボロボロッと大粒の涙が流れる、それを部屋の外から見ていた建は見ている事しか出来ない、圭吾のところに医者がやって来て経緯を話す。
「お婆さまは、めまいを起こして道路に倒れたと報告がありました………病院に着く頃には、息を引き取っていました」
「そうだったんですか。直ぐに電話に出られずに、迷惑をかけてしまい…………申し訳ありません」
圭吾は医者からの説明を受けて、自分の為に働いていて疲労が溜まっていたのだろうと罪悪感を感じている、圭吾の目から光が消えたのを見て建は心配する。
しかし圭吾は大丈夫だからといって、明日の朝に遺体を火葬する事になった、圭吾や祖母は孤立していたので葬式を上げるのに人が来ないと圭吾が判断したのである。
―ロシア連邦・モスクワ―
ロシアの首都モスクワで、ライト級タイトルマッチが行われる事になった、そのタイトルマッチのカードは王者《ウルザ=ピュードル》対《ノース=クリエス》である。
『このタイトルマッチで、チャレンジャーが勝った場合は最年少王者が誕生します!!』
ノースが勝った場合はロシア国内で最年少でのチャンピオンが誕生するので、観客たちは新しい快挙を楽しみにしてモスクワに集まって来ているのである。
ノースは人生がかかったタイトルマッチである、その為にノースの顔つきは真剣で余裕が無い様にも見える、しかしノースの身体は絞られていて鬼が宿っている様にも見える。
「向こうは、やる気になってるみたいだが…………お前ならば、1ラウンドで決着をつけられるよな?」
「人生がかかっているんだろうからな…………俺が負けるには、時期が早いところだな」
チャンピオン陣営は第1ラウンドで、勝ってやると余裕を見せているとゴングが鳴った、両者は焦ることなく中心に向かって速度を抑えながら近づいていくのである。
(ほぉ。チャレンジャーにしては、焦ってない様で素晴らしい立ち上がりじゃないか…………逆に静か過ぎて、こっちからしたらやりづらいところがあるなぁ)
ノースが落ち着いているのを見て、王者のウルザはダンスを踊って観客とノースを煽っている、その煽りに対してノースは両手のガードを下げて顔をウルザの前に持っていく。
(こ、コイツ!! 王者の前に、ノーガードで顔を出して来やがった…………良いだろうよ!! 俺の恐ろしさを身体を持って教え込んでやるよ!!)
ウルザはノースの挑発を乗る様にダンスを踊って、ノースの注意を引いてからワンツーを打ち込むが、華麗に避けられて逆にクロスカウンターがウルザに命中した。




