070:日本最高の栄光
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―さいたまスーパーアリーナ―
圭吾は腫れの引かない瞼を切ってもらう事にした、少しの痛みから顔に血が流れてくる、その後に敬語の目の前の視界が広がって瞼が開く事が出来たのである。
「これで問題はないんじゃろ!! しかし瞼を狙われたら、傷が開いておじゃんになるからの!!」
「ここまでしてもらって負けるわけにはいきません…………この腰にベルトを巻いて見せますよ!!」
圭吾は椅子を立ち上がってリングの中央に向かおうとするのであるが倉知会長に背中を叩かれた、圭吾は不意を振り返ってみると倉知会長の他に両親と祖母の姿が見えた。
(3人も応援してくれてるって事だな…………あとは、穂花を見て元気になるとするかな)
圭吾はやる気になると最後に穂花の顔を見ようと、観客席を見ると薄ら涙を浮かべている穂花がいた、圭吾は傷だらけの顔でニコッと笑ってリングに向かっていく。
真理も気合が入っているのであるが、完全に前に出過ぎて気持ちが空回りしている状況だった、圭吾の様に軽くなった気持ちとは真反対の感情に真理は囚われている。
(こんな奴に負けるわけにはいかない!! 俺の名誉と尊厳がかかってるんだ…………負けられるわけがねぇ!!)
(この人もベルトを取る為に、全力を出して前に出て来ているんだろうな…………負けるわけにはいかないよな!!)
ゴングと同時に2人は飛び出していく、そして互いの顔面を殴って相打ちになるのであるが、圭吾は体幹を活かして姿勢を治すと体勢を保てていない真理を見た。
その瞬間に閃光を真理の顔面に入れてロープまで殴り飛ばした、真理は力なくロープに手を巻いて立とうとしているが圭吾が追い打ちをかけようと前に出て来ていた。
(これだと負けちまう!! 手を出さなきゃダメだ!!)
圭吾が向かってくるのに対して、真理はワンツーを打つと圭吾は顔の前にガードを集めた、それを見て回し蹴りを圭吾の腹に入れて圭吾の突進を止めるのである。
圭吾は数歩後ろに下がるのであるが、直ぐに立ち直して真理に向かって歩き始めるが、今度はガードを顔の前に集めて身体を丸めジリジリと近寄っていくのである。
(戦闘スタイルが変わった!? ここまで来て、戦闘スタイルを変えるのか…………これが、コイツの本領か!!)
(この人の一撃は、俺を壊しかねない…………それなら無理に突撃する必要は無い!! 的確に当てていくんだ!!)
今まではアウトスタイルで試合が回って来たが、この試合で初めてのインファイトがリング中央で行われる、圭吾がボディを打てば真理が顔面を殴り返した。
リング中央では子供の喧嘩の様な殴り合いが起きている、しかし観客からは男同士の真っ向からのぶつかり合いという事で歓声が上がって盛り上がっているのである。
(肋を4、5本持って行かれた!? こんなのを何回も続けてたら、俺の肺に骨が刺さっちまう!!)
(ん!! やっと、このチャンスが舞い降りて来た!!)
真理の脇腹の骨は既に何本も折れていた、その痛みに耐えきれなくなった真理は距離を取ろうと、後ろにバックステップをした、その瞬間に圭吾はチャンスだと目を見開いた。
(ここから立て直せば良いんだ。まだまだ時間は、たっぷり残っ…………あれ? なんで視界が斜めになってるんだ?)
圭吾はノースのハイキックからヒントを受けて、ハイキックに閃光を織り交ぜた特殊なハイキックを、この土壇場のリングで放つと真理は気がつかないまま喰らった。
『こ、ここに《新GJFライト級チャンピオン》が誕生いたしました!!』
『うぉおおおおお!!!!!!』
真理は糸が切れた操り人形の様に倒れ込み、レフェリーは続行不可能だと判断してゴングを鳴らさせた、そして圭吾はマットに両膝をつけて天高く両腕を突き上げている。
この瞬間を持ってGJFライト級の、新チャンピオンの名前に《東 圭吾》が刻まれる事になった、観客たちが騒ぐと同時に倉知会長たちもやって来て圭吾を持ち上げる。
「良くやったわい!! この土壇場で、あの新必殺技を出すとは…………小僧は良いファイターだわい!!」
「これも倉知会長たちのおかげですよ!! ここまで、俺は格闘技を続けて良かった…………最高の瞬間ですよ!!」
圭吾は倉知会長たちに挨拶をすると、倉知会長は照れ臭そうにそっぽを向いてしまうのである、するとリングアナが圭吾に黄金のベルトを腰に巻いてくれた。
圭吾はあまりの光景に涙が溢れてきた、そんなところに記者たちがやって来て写真を撮らせて欲しいという、そこで圭吾は穂花をリングに呼んで撮ってもらう事にした。
「私は良いよ!! 写真とか恥ずかしいし…………圭吾くんだけの方が、写真として映えるんじゃない?」
「俺がチャンピオンになった祝いとして、穂花ちゃんと写真を撮りたいんだよ…………ダメかな?」
恥ずかしがる穂花に圭吾は祝いに頼むと拝んだ、すると穂花は記念として残すのも良いかもと撮る事にしたのである。




