067:スポットライトの中心
こちらのTwitterの、フォローもよろしくお願いします。
↓
https://mobile.twitter.com/yusaki_noa
―さいたまスーパーアリーナ―
南野のタイトルマッチは第1ラウンドを終える、チャンピが南野なのでは無いかと言う程に調子が良い、逆にチャンピオンはゴングに救われてトレーナーと打ち合わせをする。
「お前の方が上手なんだ、焦る必要はねぇぞ!! とにかく足を使って、相手に捕まらない様にするんだ!!」
「分かってるよ!! それが足を止められるんだ…………アイツがチャレンジャーに見えねぇんだよ!!」
「とにかく足を使っていけ!! 攻撃を当てる時は前に出てガードは離れて防いでいけ!!」
中山は納得が行かないままリングに戻って行く、南野は楽な気持ちでリングに戻っていき第2ラウンドが始まる、中山は構えてからローキックを当ててボディを狙う。
南野は中山が攻め込んで来たのを察知して、後ろに下がってからボディをガードしようとするが、ボディ攻撃の時に中山のガードが下がる事を見抜いていたのである。
(うお!? 今のを喰らっていたら、完全に負けていたのかも知れねぇ…………やっぱり足を動かせねぇとダメか)
中山は華麗なステップで体を動かしていく、南野は作戦を変えて来たのかと思って両腕を上げて警戒した、それを見た中山は少し離れたところから中段蹴りを行うのである。
その蹴りは南野の鳩尾に入って肝にダメージがいく、腹を丸めて後ろに下がると中山がチャンスだと前に出た、南野がコーナーに追い込まれると身体を固めてラッシュを耐える。
「コーナーから逃げるんだ!! このままでは、チャンピオンに押し切られてしまうぞ!!」
「悠太郎!! ここが押し切るチャンスだ、このままチャレンジャーをマットに沈めてやれ!!」
両トレーナーはターニングポイントだと思って、必死に各選手に声をかけていくのである、中山は倒し切る事しか頭になくて攻撃の手を緩めずに打ち込んでいく。
明らかに誰の目から見ても南野が追い込まれているのは分かるところではあるが、南野自身は比較的冷静な方で打ち込まれてはいるが急所は守り切れているのである。
(ここから、どうするのが良いか…………チャンプは焦りすぎて、急所を突くのを忘れているからなぁ)
南野は中山が体力の限界に近づいているのに気がついて、ペロッと下で唇を舐めると頭を極端に下げる、それによって攻撃の意識が下に向いた瞬間に頭を顎に入れた。
それによって中山が後ろに蹌踉めいて、南野はコーナーを脱出するのと同時に攻撃を返しして、逆に中山をコーナーに追い込んで急所を的確に撃ち抜いていくのである。
(コーナーを抜けられたら、当分はチャンスが来る事は無いだろうな…………ここで確実に、倒し切ってやる!!)
南野はひたすらに急所を狙って攻撃をしていくと、レフェリーが割って入って試合を止めるのである、中山は審判が止めた瞬間に地面に力なく尻餅を着いた。
それと同時に南野は両手を握りしめて天高くに、ガッツポーズをして自分がチャンピオンである事を表した、それに釣られる様に観客たちも新チャンピオンに歓声を上げる。
―さいたまスーパーアリーナ・控え室―
圭吾がフードを深く被って集中している時に、アリーナの方から歓声が聞こえたので、これは南野が中山を倒して新チャンピオンになったんだろうと察知していた。
「良い前座をしてくれたもんじゃないか? 今度は小僧が観客を楽しませる番じゃ…………準備は良いな?」
「準備なんて昨日から出来ていますよ。こんなに興奮しているのは、和馬さんとの試合以来です…………早く試合が始まって欲しいとも思ってますよ」
「そんなに殺気を抑えられているのならば、試合でも飲まれる事は無いじゃろうな…………さてと、向かうぞい!!」
圭吾は立ち上がってシャドーをしてから控え室の外に出ると建が待っていた、そして建とハイタッチをしてからアリーナの方に向かっていく、すると南野が待っていたのである。
「俺はチャンプになったぞ!! お前の実力っていうのを見せてもらおうじゃねぇか…………ショボい試合はするなよ」
「分かってますとも納得のいく試合をしますよ…………控え室で休みながら試合を見ていて下さいよ!!」
圭吾は南野と捻くれた激励をしてから、圭吾は真剣な顔をしてアリーナの袖に待っているのである、するとアリーナの電灯が消えてリングにスポットライトが当たる。
『これより、メイン試合〈GJFライト級王座決定戦〉を行いたいと思います…………選手入場!!』
『青コーナー!! 体重〈134ポンド〉戦績〈9戦8勝0敗〉…………GJFライト級3位。倉知ジム所属〈東 圭吾〉!!』
『赤コーナー!! 体重〈134ポンド〉戦績〈18戦17勝1敗〉…………GJFライト級1位。鎌倉ジム所属〈田嶋 真理〉!!』
圭吾は険しい顔をしながらリングの上に上がると、穂花のいる方の席を見てニコッと笑い緊張をほぐした、そして対戦相手の真理は普段通りの裏のある様な笑顔を浮かべている。




