063:新たなヒーロー
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―ロシア連邦・モスクワ―
ノースは格上のエンドリューと試合を行っているが、観客たちの期待とは裏腹にノースはエンドリューからテイクダウンを取る事が出来た、それには観客たちも絶句した。
(ど、どうなっているんだ? アイツは、今何をしたって言うんだよ…………こんな事は認めないぞ!!)
(パウンドパンチは、好きじゃ無いから早く立って欲しいんだよなぁ…………おっ。立ったね)
エンドリューは完全にスイッチが入って、格下に負けるわけにはいかないと本気になっている、ノースは身体をスルスルッと動かしてエンドリューの攻撃を避けて行く。
あまりにも避けられるので、こっちばかり攻撃していてはダメだと思ってエンドリューは追うのを辞めた、すると逆にノースが近寄っていきワンツーからのハイキックを入れる。
(どうなってんだ!? コイツのワンツーの速度が、人間業なんかじゃねぇぞ…………俺はチャンプになる男だぞ!!)
(僕はライバルに、ガッカリして欲しく無いんだ…………こんな奴に負けるなんて、僕のプライドが許さない!!)
ノースは両手を下げて真上に、ポーンポーンッと2回飛ぶと目の色が変わって構えるのである、その姿勢にエンドリューは格上のはずだったが震え上がっている。
ノースはエンドリューを観察する様に、ジロジロとガードの隙間から見ているのであるが、エンドリュー的には不気味な雰囲気が上乗せされて恐怖心が跳ね上がって行く。
(どうなってんだよ!? コイツは、ジャパンなんかに遠征に行ってたレベルだろ…………こんなのはあり得ない!!)
(このまま、焦らずに相手のペースを握るんだ…………蛇になるんだ。相手を観察し尽くす蛇になるんだ!!)
ノースの天性的な才能〈スネーク・アイ〉を持っている、これは蛇が獲物を緊張させて動きを鈍らせる様な目の事を指して言う、まさしく蛇に睨まれたカエルである。
ノースは鋭いローキックを脛に打ち込んでから、二段蹴りの要領で左のハイキックをガードの上から打ち込む、エンドリューはガードの上からでも脳が揺れる。
(クソ!? この流れを打ち切らないと、このまま意識が持っていかれちまう………ここで順位を落とすわけには!!)
ノースに向かってエンドリューは攻撃して行く、しかしカウンターを貰ったりと上手く攻撃が行かない、そして遂にノースの視野外からの蹴りがクリーンヒットしてKOした。
観客は目の前の試合に対して、驚きが大きすぎて沈黙していると1人の観客がスタンディングオベーションをした、それに続いて観客たちは立ち上がって行く。
―東京都・新宿―
圭吾は灰谷との試合が終わってから3日後に、穂花と新宿に遊びに来ているのであるが3年生の8月は、とても進路に苦労する時期で穂花も苦労する1人である。
「何処の学校に行こうか、迷ってるんだよねぇ…………圭吾くんは、プロの格闘家だもんね?」
「進路的には、なんとも言えないけどね…………穂花ちゃんも自分の人生だからね」
「そうだよねぇ。昨日なんて進路の事で、両親と喧嘩しちゃってさぁ…………私は圭吾くんと居れれば良いんだけどね」
圭吾と穂花は進路について話しているのであるが、途中から惚気の様になって2人は恥ずかしくなっている、すると後ろから街の中でイチャイチャするなと注意をされる。
「すみませ…………南野さんじゃないですか!? どうして新宿に居るんですか?」
「いちゃ悪いのか? 俺のジムは新宿にあんだよ…………それよりも、お前のタイトルマッチと俺のタイトルマッチが同じ日に行われる事になったぞ!!」
「そうなんですか!? そうか、南野さんはウェルター級のタイトルマッチがあるんですよね…………」
声をかけて来たのは南野で、圭吾のタイトルマッチがある日の前座を自分のタイトルマッチが務めると言う、それを聞いて圭吾は互いに頑張ろうと握手をして別れる。
そして圭吾と穂花は色々なスポーツを行える施設に向かっていき、ボーリングやダーツなどのスポーツを楽しんでからレストランに行って圭吾が賞金から奢るのである。
「兄ちゃんさぁ、可愛い子を連れてんじゃん…………俺たち男しかいないから、その子貸してくれない?」
「何を言ってんすか? そんな事を許すと本気で思ってるんですか…………それじゃあ、急ぎますので失礼します」
「そんな連れない事を言うなよ…………話を聞けよ!!」
店の外に出ると2人は5人組の男に絡まれる、圭吾は穂花の手を引っ張って立ち去ろうとするが、2人の間に割って入って来て圭吾は殴り飛ばされてしまうのである。
圭吾は格闘家として素人を殴りたく無いと思っているが、穂花に何かがあったとしたら自分を恨む事になると思って圭吾は鬼の形相で立ち上がって構えるのである。
「な、なんだ!! こっちは5人なんだぞ!!」
「そんなの関係ねぇよ。テメェらが汚い手で穂花に、触ってんのが虫唾が走るんだよ…………やるならかかって来いや」
圭吾が構えた瞬間に空気が変わったので、5人の男たちは焦って戦おうとするが危険だと判断したのか、穂花を話してダサい感じで立ち去って行くのである。




