060:北の国から
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―倉知ジム―
圭吾と建はロードワークに出て行くと、昨日の世界タイトルマッチの感想を建が圭吾に聞く、興奮して居ても立っても居られななったと言い走る速度を上げる。
「俺の再起戦だって、見ていた人間が総合格闘技をやりたくなる様な試合をしなければ…………プレッシャーと共に、興奮が止められないんだよ!!」
「東さんは、そういう人ですからね…………とにかく、生で初めて見る試合なので素晴らしい試合を期待してます!!」
「そんなの言われなくたって、試合は確実に興奮できる様な試合にしてやる…………それに対戦相手が、総合格闘技を舐めている様だから教えてやるんだよ」
圭吾は走る速度を上げてトレーニングの負荷を上げる、それに建は素晴らしいやる気だとついて行く、そして倉知ジムに戻ると倉知会長がスパーリング相手を連れて来ていた。
そのスパーリングの相手は圭吾くらいの背丈に、垂れ目ではあるが整った顔をしており、髪の毛は綺麗な白髪をしている様なイケメンだったのである。
「今回来て貰ったのは、日本に遠征に来ておる〈ノース=クリエス〉じゃ!! ノースの実力は本物じゃ!!」
「よろしくお願いします。日本に出稼ぎに来ていますが、自分の実力は本物だと思っています」
圭吾のスパーリング相手は、ロシアから出稼ぎにやって来ているという〈ノース=クリエス〉だった、圭吾はノースから溢れ出るオーラに本物なんだと気付かされた。
圭吾は汗を拭いてからマウスピースなどを準備して、リングの上に上がってからシャドーを行う、そしてノースとグラブタッチをする瞬間に互いに挨拶をした。
(体格はライト級で間違いは無さそうだ…………しかし、この溢れ出るオーラは何なんだ?)
圭吾はノースの溢れ出る様なオーラに驚く、下手に突っ込んでいけば確実に仕留められるとアウトスタイルで始める、ノースは笑顔で構えると圭吾の事を観察する様に見る。
そして手を出したのは圭吾の方で、左のジャブを繰り出してから右ストレートを打ち込むが綺麗にガードされる、しかし腕を引き戻す瞬間にカウンターのハイキックが決まる。
(あれ? なんで、俺は尻餅を着いてんだ…………何が起きてるっていうんだ?)
「小僧よ。お主はダウンされておるぞ、これが試合ならば間違いなく負けておるな…………さっさと立つんじゃ!!」
圭吾はクリーンヒットしたせいで、マットに尻餅を着いて理解できていないと倉知会長に声をかけられる、そして意識を戻ると立ち上がって試合が再開される。
(確実に、ノースの得意技は〈蹴り〉だな…………あんなにも綺麗に決まるとは思って無かった)
(パンチの威力も本物だけど、蹴りに対しては練習が出来ていないのかな? それなら蹴りで押してみるのも良いか)
圭吾が蹴りで対応できていない事から蹴りで押して行けば良いのでは無いかとノースは考える、その為にノースは利き足の左足を後ろに下げてサウスポースタイルになる。
圭吾はサウスポー選手とは対戦経験が少ないので、勝手が違くて困ってしまうところがあるが、それでもジャブで間合いを測ってからガードの合間を縫って鋭い右を喰らわした。
(凄い!? こんな閃光の様なパンチは、ロシアチャンプでも数少ない…………これが東洋の一選手だっていうのか)
今度はノースの方がダウンをして、圭吾のパンチを閃光の様なスピードで襲って来ると表現した、そして立ち上がってから試合を再開しようとするが3分が経過した。
圭吾は倉知会長のところに戻ると、頭を叩かれて蹴りを警戒していなかった事を叱られる、しかしあまりにもノースの蹴りは天下一品だと倉知会長に言うのである。
「あの男の蹴りは、確かに素晴らしいが蹴りを警戒すれば問題ないはずじゃ…………ちゃんと足を見て攻撃せい!!」
圭吾はマウスピースを入れてリングに戻って行くと、ノースの足元を警戒しているとハイキックがやって来て、今度はガードで防いだが反対側に右フックがやって来て喰らう。
この時点でノースは全て圭吾の上に行っている、その為に圭吾の後手に回ってもノースは問題なく防げる、圭吾とは同い年のノースは良い練習相手だと感じている。
(どこまで行っても逃げられないって事だな…………それなら相手が反応できない様に打てば良いんだ!!)
圭吾はノースに近寄って行くと相打ち覚悟で、ハイキックを打ち込んで両者は蹴られた方向に身体が流れる、ノースは身体を捻って圭吾に左のフックを打つ為に身体を捻る。
しかし既に圭吾は腕を振り抜く寸前だった、ノースは体重が乗っている為に体を止める事も出来ずに、勢いが付いたまま圭吾の右ストレートを喰らって吹き飛んでいく。
(こんな素晴らしいパンチを打てるなんて…………世界ってのは広いもんだな)
圭吾は走り込みによって下半身が仕上がっており、ストップからの動きに磨きがかかっていたのである、そしてノースは起き上がれずにスパーリングが終了する。




