057:諦めるには、まだ早い
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―東京都・倉知ジム―
圭吾と建が同じメニューを始めてから、1週間が経ったくらいで建が圭吾の練習量の異常さに気がつき始めて、加藤と深澤のところに行って圭吾の話を聞くのである。
「あんな練習量で、東先輩は倒れないんですか? 確実にオーバーワークですよ…………全くついていけません」
「あいつは特殊だからなぁ。アイツは、準備するのに何時間もかけるタチだよ」
「準備ってのは、いくらしてもし過ぎって事は無いわけだからなぁ…………アイツなりの向き合い方だよ」
圭吾の性格を知っている2人は、圭吾のやり方も1つの選択肢でもあると建に教えてあげた、建も覚悟を決めて圭吾の練習メニューについていくが途中でリタイアしてしまう。
圭吾は心配をするが自分の目先の試合もあって、休憩しておいてと言って練習を再開した、倉知会長がミットを持ってミット打ちをしていると倉知会長は違和感を感じた。
「いつも以上に、パワーが入っておるのぉ」
「はい。街で対戦相手の灰谷と会いまして…………アイツは格闘技を喧嘩だと言いました」
「ほぉ。それが小僧を怒らせたってわけじゃな…………良いじゃろう。とことん着いてってやるわい!!」
「はい!! よろしくお願いします!!」
圭吾の心の内を知った倉知会長は、最後の最後まで着いてってやると言ってミットを構える、そして圭吾も倉知会長のミットを目掛けて打ち込んでいくのである。
―6月・東京都・後楽園ホール―
6月に金光の再起戦が行われたのであるが、第3ラウンドまで均衡していたが第4ラウンドで、まぐれに当たった攻撃によって金光はテイクダウンを取られてTKO負けした。
「お、おい!! 左目がおかしくないか!!」
「左目から血を流してるぞ!!」
金光は左目を対戦相手に、引っ掻かれた事によって出血しており病院に運ばれる事になった、そして診断をしてもらった結果は〈結膜下出血〉と〈網膜剥離〉だった。
トレーナーたちは、その事実を聞いて驚き拳を強く握って悔しがっている、2つの病は外傷から受けるモノで格闘家が避けなければいけないモノだったのである。
「これは、どうやって彼に伝えますかね…………」
「そんなの素直に言うしかないだろ!! それでも奴が傷つくのは、目にみれているかもしれないが…………」
網膜剥離は失明の可能性があって、引退を考えなければいけない怪我とも言える、その為にトレーナーたちは金光に言う事を嫌がって困ってしまっているのである。
病室の前で2人が困っていたので、病室から金光が出て来て検査の結果を聞こうとしたが、2人の暗い顔を見て自分の検査結果が話したくないモノなんだと理解した。
「そんなに、俺の検査結果は悪かったんですか? 目を見たら分かります…………言ってくださいよ」
「分かったよ。お前は〈網膜剥離〉だ…………だが、手術をすれば問題なく目は見えるらしい!!」
「そうですか。それなら格闘技は引退しますかね…………」
「そんな簡単に!!」
金光に押されてトレーナーが網膜剥離だと伝える、それを聞いた金光は作り笑いをしながら引退しようかと口した、それを聞いたトレーナーは簡単に決めるなと声を荒げた。
「こんくらいの試練が何だって言うんですか。2回も網膜剥離になりながらも格闘家を続けた人もいます…………少しくらいは抗ったって、神様はケチをつけないと思います」
「本当に、お前の精神力には脱帽だ…………お前の事を、我々が全力でバックアップする!!」
金光は顔を掻きながら少しくらいは抗ってみようかというと、トレーナーたちは涙を拭ってから自分たちが後ろから支え続けるから戦ってやろうと3人は握手した。
―倉知ジム―
金光が網膜剥離で戦線を離脱して、治療に専念してから復帰する事を圭吾は知らされた、それなら心配は要らないと言ってトレーニングを続けているとポスターが貼られた。
「このポスターって、もしかして…………和馬さんのタイトルマッチのですか!? それに、セミファイナルに敦也の2階級制覇をかけた試合があるのか…………」
「これは、大々的なポスターですねぇ。そりゃあ、ベルトをかけてメインとセミは兄弟だからか…………先輩と和馬選手の試合は、本当に燃えるモノがありましたよ!!」
「俺も、あの試合は特別だったな…………俺も早く日本チャンピオンになって、世界に出てやるからな!!」
倉知ジムに貼られたポスターは和馬の世界タイトルマッチで、セミファイナルには敦也の2階級制覇をかけた試合があると書かれていて圭吾も気合いが入る。
「小僧。相手には気をつけるんじゃぞ…………相手の3敗は反則行為での敗北じゃ!!」
「そんなに汚い人間なんですか…………本当にお灸を据えないと分からないみたいですね!!」
灰谷は敗北した試合の全てで、反則負けを喰らっている事を知って圭吾は格闘技を教えてやろうと心に決める。
圭吾の調子は鰻登りになっており、周りの人間たちは圭吾の調子が上がっている事を肌に感じている。




