056:気分の悪い相手
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―東京都・倉知ジム―
圭吾と建はスパーリングを行なっている、圭吾がアウトボクサースタイルになると、建は少し前までの圭吾とは違って別人と試合をしているみたいだと感じていた。
(この人に勝つ為には、対応力が無ければ勝てない!!)
スパーリングを行なっている上で建は、圭吾の人が変わったようなファイティングスタイルに、自分自身が臨機応変にならなきゃダメだと考えて、圭吾との間合いを詰めていく。
圭吾は距離を詰めてくる建に対して、軽いフットワークで圭吾独特の〈ヒット&アウェイ〉を行なっていく、建は逃げていく圭吾をジリジリと追いかけていくが捉えきれない。
(ダメだ!? ここまで、東先輩を捉えきれないのか………もっと足を動かさなきゃダメだ!!)
建は足を動かしてから懐に飛び込み、フックを喰らわせようとするが圭吾のカウンターが降って来て、それをまともに額に喰らってしまい尻餅をついてしまうのである。
「ここまでじゃな。今のままでは、小僧をダウンさせる事も無理じゃろう…………もっと経験を積んでいけ」
「はい!! 東先輩も、これからお願いします!!」
「自分でよければ、いくらでも付き合うよ!!」
圭吾は良い練習が出来たと思いながら、ジムを後にすると駅前に向かって歩いていく、駅で待っていたのは穂花だ。
穂花はスマホを触っていたが圭吾の気配を察知して、周りをキョロキョロして圭吾を発見した、圭吾は全力で両手を振っている穂花に向かって走っていくのである。
「この前に穂花さんが言ってた、ゲームセンターに行こうと思うけど良いかな? 俺も久しぶりなんだよね」
「良いの!? 人生で初めてのゲームセンターが、圭吾くんと行けるの嬉しいな!!」
圭吾は穂花が興味があったという、地元のゲームセンターに行ってみないと誘うとキラキラした目で頷く、それをみて圭吾は誘って良かったと笑うのである。
2人はゲームセンターに着くと、まずはUFOキャッチャーに行って圭吾は穂花の為に〈ウサギの人形〉を取ってプレゼントだと言って渡した、穂花は大事そうに抱える。
「こんなところで、女を連れているなんて余裕があって良いんじゃないか?」
「ん? 誰だよ。こんなところで、イチャモンをつけるんじゃねぇよ…………誰だ、テメェは?」
「対戦相手の顔を覚えちゃいねぇのか? テメェと8月に試合を組んである………《灰谷 馨》様だよ!!」
「灰谷だと!? そうか。お前が、次の対戦相手の人間だったのか…………それに、お前の顔を見てピンと来たぜ」
圭吾に対してイチャモンをつける人間が現れた、その人間は圭吾と次戦試合をする〈灰谷 馨〉だった、圭吾は灰谷を警戒してファイティングポーズを取っているのである。
圭吾は灰谷を見てみると見覚えがあった、それとは3年前まで〈狂犬〉の異名を持っていた不良だった、灰谷は突然として消えてしまって格闘技を始めていたのである。
「お前も不良の成り上がりだと聞いた時には、運命すらも感じたよ…………テメェをブチ殺せば、俺の方が上に立てる」
「そんなに、俺を倒したいか? そんな風な人間には、俺を倒すのは無理だ…………格闘技を喧嘩だと思ってんのか?」
「ほとんど喧嘩と同じだ!! 俺らの様なクズは、拳で成り上がるしかねぇんだ…………これはスポーツじゃねぇ!!」
「そんな心持ちならば、俺に勝てるのは無理だ…………俺はクズなんかじゃねぇからな!!」
圭吾に対して灰谷はクズの自分たちは、喧嘩以外で成り上がるには格闘技をするしかないんだという、それに対して圭吾は喧嘩と格闘技を一緒にするなと顔を歪ませる。
灰谷はケラケラッと笑って圭吾の肩を叩いて、ゲームセンターを後にするのであるが、圭吾と穂花の間には微妙な雰囲気が流れてしまった為に灰谷の嫌い度が上がった。
「気分も悪くなったし、カフェにでも行かない?」
「そうだね。落ち着いたところで、コーヒーでも飲みながら話でもしようか…………」
圭吾たちはカフェに移動して、ゆっくりしてから6時過ぎに解散して圭吾は気分が悪かったと灰谷を思い出している、家に着くと婆ちゃんに帰った事を報告してから食卓に着く。
「お前も殴り合いなんて、よくも続くねぇ…………婆ちゃんなんて、人が殴り合ってるのを見てられないよぉ〜」
「別に殴り合ってるのを、ピックアップしなくても…………俺たちは互いの強さを誇示して、互いに世界に向けて競い合ってるんだよ」
「そんなもんかねぇ。お前の両親の時も、何を熱中してるんだいって思ってたよ…………やるのは良いけど、絶対に途中で投げ出すんじゃないよ!!」
婆ちゃんは圭吾に対して、両親と同じ様に熱中する事は大切だけど上手くいかないくらいで、その始めている事を投げ出すんじゃないよと注意して応援する事を遠回しに言う。




