050:チャンプの大きさ
こちらのTwitterの、フォローもよろしくお願いします。
↓
https://mobile.twitter.com/yusaki_noa
―大阪城ホール―
圭吾が見守る中で大阪城ホールにて、敦也とOPCライト級のチャンピオンのアンドレイと試合をしていた。
アンドレイは最初こそ煽る様な事をしていたが、敦也の実力をして怒り心頭になり本気になるのである。
「なんか、あの人強そうに見えるけど…………西郷さんは、ちゃんと勝てるのかな?」
「問題ないんじゃ無いかな。アイツは落ち着き放ってるんだが、相手の方は我を忘れそうになってる…………この時点では明らかに、敦也の方がチャンスだろうな」
穂花は圭吾に敦也は勝てるのかと聞くのである、圭吾は落ち着いている敦也の方がチャンスあると言うのである。
その見解は正しくて向かって来る攻撃を受け流すと、ローキックからのワンツーのカウンターを入れていく。
(この野郎が!! 虫みたいに、ちょこまかと動き回りやがって…………調子に乗るのも良い加減にしろよ!!)
敦也の小さい攻撃に対して、アンドレイは被弾を気にせずに前に突進して行き、敦也をコーナーに吹き飛ばすとラッシュをかける様にパンチの応酬を行なうのである。
敦也はピンチなのかと思っていると、しゃがみ込んでからアンドレイの懐に入って持ち上げるのである、その光景に観客たちは驚きでシーンッとしてしまう。
「わ、私は詳しく無いからなんだけど…………人って、あんなに簡単に持ち上がるもんなのかな?」
「いや、あんなに簡単には持ち上がらないだろうな…………それだけ敦也の仕上がりが良いんだろうな」
敦也はアンドレイを持ち上げると、コーナーに置いて自分との立ち位置を入れ替えて、逆に敦也がラッシュを入れる。
カウンター使いではあるが、もちろんながら普通のパンチが弱いわけがなく、アンドレイは確実にダメージが入る。
「ストップ、ストップだ!! ゴングが鳴ってるから、両者ともコーナーに戻るんだ!!」
敦也はゴングには気が付かずにラッシュをかけていると、レフェリーがやって来て敦也を止めてラウンドが終わる。
「思ったよりも、こっちが押しているぞ!! アンドレイよりも仕上がりは良いと思っていたが…………ここまで、本当に差が出るなんてあり得ないぞ!!」
「相手が挑発して来ますけど、それに対してはイライラしないんですよね…………こっちの調子も悪く無いし」
敦也のトレーナーは完全に押しているムードに、タイトルを取れるかも知れないとワクワクした顔になっている。
逆にアンドレイの方は、タイトルを失う危機にあるので緊張感とアンドレイのイライラが募っているのである。
「次のラウンドでは、アイツをブチ殺してやる…………こんなにコケにされたのは初めてだ!!」
「落ち着け!! このままだったら、お前はチャンピオンから引き摺り落とされるぞ!!」
「そんな事はあり得ない!! 俺は、この階級ではOPC最強なんだよ…………こんなところで、負けられるか!!」
アンドレイはイライラしたまま、マウスピースをしてから自分の掌を殴ってリングの中央に向かっていくのである。
敦也は軽い足取りでアンドレイの目の前に行き、ゴングと同時にアンドレイは淳也を攻め立てる、しかし華麗なステップで避けながらローキックを入れて離れる。
(クソが!! ここまでコケにしやがって、まだまだ殴りたりねぇぞ…………なに!? 足が動きずらいだと!?)
敦也の華麗なステップを見て煽っているのだと感じて、完全に堪忍袋の尾が切れて突撃しようとするが、アンドレイは踏み出そうにも踏み出せずに足を見て驚愕するのである。
アンドレイの足は血を流して腫れ上がっていた、敦也の積み重ねていたローキックが効果を表し始めて来て、動こうにも足が邪魔をして動けずに居るのである。
(なんで、足が動きねぇんだよ!! 泥の中に足が嵌まった様な感覚だ…………こんなんで試合にならねぇぞ!!)
(お? やっとローキックの効き目が出たか…………責め立てるのは、このタイミングで間違いない!!)
アンドレイの足の状態を見て、敦也は攻め立てるチャンスだと思ってパンチを当てると範囲外に出て防御を行う。
そしてアンドレイに対してローキックを行うと、崩れ落ちる様に地面に倒れて立ち上がれずにいる、それに対して敦也はテイクダウンを取らずに足を狙って攻撃をする。
「ダメだ!! もう立てないなら無理だ!!」
敦也が足を蹴る度に、アンドレイは苦悶の顔をして立ち上がれない為にレフェリーが入って、敦也の〈TKO〉にて勝利して〈OPCライト級チャンピオン〉になったのである。
「相手はフィリピンの鬼神って呼ばれてるくらいの人間だからな…………それを大したダメージを受けずに勝つとは」
「凄い試合だったね!! 西郷くんのところに、挨拶でも行って来たら良いんじゃ無い?」
圭吾は敦也がタイトルマッチにて勝利し、OPCライト級のベルトを腰に回して観客にアピールするのを見て寂しそうな顔をしているのである。
それを見た穂花は敦也に挨拶してくればと、背中を押して圭吾を敦也の控え室に向かわせるのである。




