047:成長と変化
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―名古屋海浜公園アリーナ―
圭吾たちが東京で試合をしている間に、南野は名古屋に移動して〈ウェルター級〉で3位と1位の入れ替え戦を執り行う事になっていたが、SJLの仕上がりでは無い。
「南野を見たか? あの身体だったら、今の東にでも勝てるんじゃないのか?」
「それなら勝てるって!! あの時は、東のビギナーズラックがあったのも正直なところじゃないか?」
「まぁ。もう階級が違うから、対戦をするところを見るのは無理って事だけどな…………」
観客たちが南野に肩入れするレベルで、南野の身体は引き締まって引き締まった体には鬼神が宿っているのである。
「今日の試合に勝てば、GJFに挑戦できるぞ…………必ず勝って、観客たちに答えてやるんだぞ!!」
「何の問題もないっすよ。今の自分なら世界タイトルマッチでも出来そうです…………それくらいに調子が良い」
南野は試合が早く始まって欲しいと控え室で、壁を殴りながら待っているとスタッフがやって来て入場が始まる。
『青コーナー!! 体重《134ポンド》戦績《11戦10勝1敗》…………共栄ジム所属。《南野 蓮夜》!!』
『赤コーナー!! 体重《133ポンド》戦績《24戦20勝4敗》…………西野ジム所属。《大谷 清隆》!!』
両者はGJFを目指すレベルの高いファイターだが、南野の方が状態は明らかに良いのである。
そしてゴングが鳴るとベテランの大谷は、南野の様子を見ながらローキックを打って間合いを保とうとする、しかし南野はローキックに顔面を狙ったカウンターを打った。
(こんなパンチが成立するわ…………何なんだ!?)
「どうしたんだ? こんなパンチで、足がフラフラになってんじゃねぇか…………しっかりしろよ」
南野のパンチは成立しないはずだったが、的確に脳を揺らしたせいで少し遅れて大谷は足元がフラフラになる。
大谷は膝を殴って震えを止めると、ファイティングポーズを取ってから南野に向かっていく、右ジャブを打ってから左のストレートを打とうとするが、さっきのが脳裏を過ぎる。
「どうした、どうした!! こんなもんで終わりだなんて、言うじゃないだろうな…………1位ってのは軽いのか?」
「舐めんじゃねぇぞ!!」
大谷は煽られた事によって完全に我を忘れる、それによって南野の作戦通りカウンターからの一方的な暴力が起きた。
レフェリーは少し様子を見てから立った状態でも危険だと判断して、割って入り両手をクロスさせて試合を止めた。
「おいおい!! こんなウェルター級の試合を見るのは久しぶりだぞ…………この世代は強すぎる!!」
「これからドンドン、世界に出ていくぞ!!」
南野は涼しい顔をしながら退場していき、次の入れ替え戦に向けてトレーニングを積むとトレーナーに言うのである。
―倉知ジム―
圭吾は試合から1週間が経つとジムにやって来た、まだ顎と上腕の骨が折れているにも関わらずに、練習をやろうとストレッチを開始しているのである。
「ちょっと待つんじゃ!! 小僧は骨が治っておらんじゃないか…………馬鹿なのか?」
「そんな事を言われましても、ジッとしてられる程に我慢強くなくて…………暇で仕方ないんですよ!!」
「それなら小僧は、3年になったなら勉強せい!!」
圭吾が練習する事に対して倉知会長は、止める様に言ってから学生なら勉強しろと言って追い返すのである。
圭吾は納得できないまま家に帰ろうとすると、家の近くの河川敷に穂花が制服のまま待っていたのである。
「倉知さんから、圭吾くんを見張る様に言われまして!!」
「そこで繋がって居たとわ…………それじゃあ、暇だから映画でも見に行きますか?」
「はい!! 是非とも行きたいです!!」
圭吾は穂花にも監視の眼を広げているのかと驚きながらも仕方ないと思って、圭吾は穂花を映画に誘うのである。
圭吾は自分が格闘家でなければ、普通に働いて穂花と静かに暮らすのも良いなと思いながらも穂花の顔を見る。
「結構面白かったんじゃない? 穂花さんも静かに泣いてたしね」
「見てたんですか!? 恥ずかしいですよぉ…………圭吾くんの横顔は、とてもカッコよかったです!!」
「こんな腫れた顔で、カッコをつけてもねぇ…………まぁ。穂花さんが言ってくれる以外に嬉しい言葉は無いね」
圭吾は穂花の綺麗になく顔を見て、自分と人並みに幸せになって来たと感じる様になっていたのである。
圭吾は完治するまでの間は、右手を使わない様にしながら軽いランニングと左ジャブの練習をひたすらに行う。
「圭吾さん。こんなに早く完治するなんて、我々からしても驚きですよ…………完全に完治していますよ」
「そうなんですか!? 2ヶ月のところを、1ヶ月で治るなんて…………トレーニングしても良いですよね!!」
「あぁ。しかし痛みを感じたら、止める様にしなさい!!」
圭吾の怪我は1ヶ月で完治した、そしてこの日から再起戦に向けてのトレーニングが始まるのである。




