044:底力
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―さいたまスーパーアリーナ―
圭吾と和馬のタイトルマッチが始まって、圭吾は作戦通りに動き回っているのであるが、和馬のチャンピオンとしてのオーラを出して貫禄を感じる場面が多々見える。
(小僧!! 小僧の方が劣勢なのは分かっておる…………しかし、貴様から恐れぬ気持ちを取ったらダメじゃろ!!)
圭吾はヒット&アウェイに拍車をかけるような作戦を使ってジャブを上手く当てていくのであるが、パンチに力を入れているわけじゃ無いので顔面に喰らっても痛みは少ない。
(確かに3ヶ月で、このレベルまで持って来たのは素晴らしいけど…………俺が求めてるのは、スパーリングの時に放った威力の攻撃なんだ!!)
和馬は圭吾に求めるパンチを喰らっていないので、もっとくれと言う意味も込めて前に出ていくのである。
前に出ていくと動いてはいるが、さすがにジャブなどが当たり始めてガードが破壊されて、圭吾の顎を狙って右ストレートを打ち込むが、顔の向きを変えて頬に当てさせた。
「うわ!? アレは流石に効いたんじゃないのか…………2回級くらい上の人間でも倒れるんじゃねぇのか?」
「お前たちなら喰らった時点でタオルを投げられるな」
圭吾はフラフラになって倒れ込むと、和馬は圭吾に馬乗りになってグラウンドパンチを放っていく、圭吾はギリギリで顔だけは守って致命傷だけは避けるのである。
そして上手く身体を滑らせて、和馬の股からテイクダウンを解除させて、反対のコーナーでファイティングポーズを取って危なかったと息が上がっているのである。
(確かに素晴らしい動きだったが、あの威力の攻撃をしない限り…………このラウンドで決着が着くな!!)
和馬も立ち上がると首の骨を鳴らして、リズムを取り直しながら圭吾に近寄っていく、そしてジャブを打ち込んでリズムを作ると右ストレートを圭吾に打ち込むのである。
圭吾はタイミングを合わせてカウンターを打ち込もうとするのであるが、顔ギリギリのところで避けられ、それどころか和馬は左フックを圭吾のボディに入れるのである。
(ぐは!? 嘘だろ、カウンターを避けてからボディにパンチを入れれんのかよ…………)
圭吾の身体が前のめりに折れて、さらに和馬のアッパーが圭吾の顔面に喰らってKO寸前のところで、ゴングが鳴って圭吾は何とか命拾いしたのである。
「よくぞ、耐えているぞい!! しかし、こっちからも強攻撃をしないと、明らかに不利になっておるわい!!」
「そうですよね。それでも大きな攻撃をすれば、カウンターが飛んで来るんじゃないかと不安なんですよ…………」
「その不安に勝つためのトレーニングじゃろ!! 小僧は、今の今まで何をして来たっていうんじゃ!!」
圭吾は本物の強者である、和馬からのカウンターを恐れて強い攻撃を入れられていない状況だった、しかしそんな恐怖に勝つ為のトレーニングをして来ただろと倉知会長はいう。
それを聞いた圭吾は、3ヶ月間のトレーニングを思い出して自分もやれると確信してマウスピースをもらう、そして中間の第2ラウンドに向かうのである。
(俺のやれる事は限られてんだ…………ただひたすらに、相手よりも前に出ていくんだ!!)
圭吾はステップを踏みながら身体を揺らして、左のジャブを的確に当てて間合いを測ってから、普通の人間ならばガードの上からでもクラッと来る様なハイキックを打った。
さすがの和馬もクラッと蹌踉めく、それを見逃さない圭吾は近寄ってワンツーの連打を打ち込み、和馬がプロに転校してから初めて圭吾がテイクダウンを取るのである。
「圭吾がテイクダウンを取りやがった!?」
「今の攻撃は明らかに、いつものとは違った…………アイツの中で最高のコンビネーションが出来たんだろうな」
黒羽たちも圭吾がテイクダウンをとった事を驚く、そして最前席で見ていた穂花も顔を上げて喜びを表している。
当人の圭吾はテイクダウンを取ると狙いを定めて、顔を狙ってパンチを打ち込むのであるが、寝ているにも関わらずに攻撃を避けてから、圭吾に向けてアッパーを入れた。
(こんなところから、こんなパンチを打てるのかよ!?)
(危なかった…………このパンチだよ。俺が求めていた、俺を強くしてくれる攻撃だ!!)
圭吾はアッパーを顎に喰らって蹌踉めき後ろに尻餅をついてテイクダウンは終わってしまう、圭吾は倒れながらも生きたパンチを打てるのかと驚いている。
圭吾が立ち上がるのを見ると、和馬はニヤッと笑って圭吾に向かっていきパンチの連打を打ち込む、圭吾の顔は歪んでパンチをコーナーから逃げられずに完全に捕まってしまう。
(これはまずいぞい!? このまま捕まったままならば、確実に第2ラウンドで捕まってしまうぞ…………)
和馬は完全に自分は進化したと感じて、圭吾をKOさせる為にパンチをしていて、圭吾の顔は見る見るうちに腫れる。




