043:進化系の形
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―3月・埼玉県・さいたまスーパーアリーナ―
圭吾は自分の試合において、メインの試合になるのは初めてなので、緊張しながらアップを行っているのである。
「小僧からすれば、初めてのメインじゃろうな…………今日は、小僧を見る為に多くの客が来ている。その人たちの為にも、最高の試合をして返してやるんじゃぞ!!」
「分かっています!! 今日ほどに、ワクワクしている試合はありませんよ…………まさしく、タイトルマッチに相応しい緊張感だと自分でも分かりますよ!!」
「力んでいるわけでは無さそうじゃな…………とにかく、ジャブを避けて攻撃を当てていくんじゃ!!」
圭吾の様子を見て、今までの試合の中では最高と言っても良い程の仕上がりだと倉知会長は感じているのである。
一方で会場では最高に盛り上がっている、最強の新人と最強のチャンピオンの一戦だからである。
『これより〈GJFライト級タイトルマッチ〉を執り行いたいと思います…………選手入場!!』
『青コーナー!! 体重〈134ポンド〉身長〈5.76フィート〉…………倉知ジム所属。《東 圭吾》!!』
『赤コーナー!! 体重〈135ポンド〉身長〈5.81フィート〉…………帝王ジム所属。《西郷 和馬》!!』
圭吾たちが入場すると2人は、人気がある為に歓声をあげて〈さいたまスーパーアリーナ〉が揺れているのである。
和馬の方も圭吾との試合が楽しみで、滅多に笑わないにも関わらずにニヤッと笑っている、両者はレフェリーに呼ばれてタイトルマッチにあたっての諸注意を聞かされる。
「良いか!! 確実にジャブを避けてから、自分のパンチを当てにいけ…………そして身体を動かし続けるんじゃ!!」
「やってきた事をやり切ります!!」
圭吾は最終確認すると和馬に向かって睨みを効かせる、そして待望のタイトルマッチのゴングが鳴らされるのである。
圭吾は作戦通りに頭と身体を振って、リズミカルに和馬の周りをグルッと回って様子を見ている、その間に和馬は左のジャブを打ち込むが圭吾には当たらなかった。
「ど、どうなってんだ!? 確かに練習はしてたけど、和馬はライト級史上最強の男なんだろ?」
「そうだよ!! そんな男の左ジャブがなんで、1発も当たらないで避けられるんだよ…………」
「お前らは、何を見てきたってんだよ…………アイツのリズムは、初見なら世界チャンプにも通用するレベルだぞ」
加藤たちは圭吾に、なんで大振りのストレートパンチじゃ無いのに当たらないのかと驚愕している、それに対して黒羽は初見ならば世界チャンプでも当たらないという。
このスタイルこそがカンガルースタイルを改良した、新しい必殺技〈カンガルースタイル亜種〉である。
(当たれば確かに、怖いパンチだけど…………当たらないなら怖く無いパンチだ!!)
圭吾は新しいスタイルで避けながら様子を見た上で、一瞬の隙を見つけて圭吾は左ジャブを和馬に放ったのである。
この試合のファーストタッチは、全員が予想もしていなかった圭吾の方だった、それによって観客たちは〈もしかしたら〉と考えが頭の中をよぎってきている。
(嘘だろ!? 和馬の攻撃が当たらないだって…………いいや。まだ始まったばっかりだ!!)
トレーナーは和馬の攻撃が当たらない事に驚いてはいるのであるが、チャンピオンに対戦を求めてくるような人間だから強いのは当たり前だと考えを改めるのである。
その上で和馬がリズムに慣れてジャブを当てる様になるのを早くしてくれっと祈っているのである。
(さすがは最強のチャレンジャーだ…………お前との試合を組んで良かったと実感しているよ)
(うお!? まさか、俺の動きに慣れたっていうのか………良いや、まだ慣れちゃいないんだ!!)
和馬は動いている圭吾の頭の真横を狙って左右に、2発のパンチを打ち込むと圭吾は驚いて後ろにステップする。
それを見た和馬は前に強く踏み込んで、右のストレートパンチを圭吾のガードの上から打っていく、圭吾のガードは最も簡単に壊されて敬語の顔面を拳が貫く。
「マジか!? あの一瞬の後退を見逃さねぇのか…………」
「アレは完全に、圭吾のミスだ…………攻撃にビビッて体重移動が後ろに回ったところを狙われたんだよ」
圭吾が和馬の攻撃に対して驚いてしまって、体重移動が後ろになってガードのパワーが減ってしまったのである。
圭吾はコーナーまで吹き飛ばされたのであるが、意識は途切れずに済んで向かってくる和馬を見て、直ぐに身体を振り直して的を絞らせない作戦を続けるのである。
(こんなもんで、ビビッて下がっちゃダメだ…………相手は下がるのを待ってたんだな!!)
圭吾はビビッて後ろに下がれば見逃さずに、和馬が襲ってきて直ぐにKOされてしまうと考えずとも分かった。




