039:本気の相手
こちらのTwitterの、フォローもよろしくお願いします。
↓
https://mobile.twitter.com/yusaki_noa
―後楽園ホール―
圭吾と鶴田の試合は、第1ラウンドこそ取られてしまったが第2ラウンドは足を使って翻弄した圭吾が取った。
第3ラウンドが始まると鶴田は前に出て来た、ノーガード戦法なので圭吾も腕を振って殴ろうとするが、ヒュルリッと避けられてからカウンターのパンチが顔面に入る。
(これがGJFの世界だって言うのか? これには、このステージは早いって言うのか…………)
(ここで終わりなんだよ!! テメェみたいなガキは、俺の後ろを歩いてれば良いんだよ!!)
圭吾はサンドバッグの様に鶴田に殴られ続ける、レフェリーも真剣に止める準備を始める始末なのである。
鶴田はトドメだと言わんばかりに、圭吾に対してラッシュを打ちまくってノックダウンさせようとする。
(お前には、このステージは早過ぎるんだよ!! ここから先は、怪物が居座る世界なんだよ!!)
(本当に俺は、このステージで戦えないのか…………そんなわけがねぇだろ!! 俺には拳しか残ってねぇんだ!!)
殴られ続けていた敬語の目の色が変わって、蜘蛛の手の様なラッシュを体を振って避けまくっていく、そして拳を開けば鶴田のボディに当たるところまで侵入した。
鶴田は焦って距離を取ろうと後ろに下がろうとするが、圭吾は下がっている鶴田のボディに対して、一瞬にして2発のパンチを繰り出して後転させて転ばせる。
「ふざけるなぁああああ!!!!!」
鶴田は雄叫びを上げながら立ち上がって圭吾に向かって行こうとするのであるが、ゴングが鳴って第3ラウンドが終了するが、鶴田は圭吾に殴りかかろうとする。
しかしトレーナーたちによって止められると、顔だけを伸ばして圭吾にガンを飛ばしているのである、それに対して圭吾は冷めた目をして鶴田の目を見ている。
「アンタのレベルは、ここまでだって言うのか? 俺を追い詰めといて、ピンチ程度に負けるのか…………それなら、お前こそステージに似合わないんじゃねぇのか?」
「抜かしてんじゃねぇぞ!! テメェなんかは、本気を出せば1発でマットに沈めてやれるんだぞ!!」
「やってみろよ!! こっちは墓に入る準備は出来てんだ、テメェを恐れる理由はなくなったぞ!!」
圭吾の方から鶴田を煽る様な事を言って、両者はレフェリーから注意を受けてしまうのであるが、圭吾は何も気にしない感じで倉知会長のところまで戻っていく。
「良くぞ、あそこから戻って来よったわい!! 第4ラウンドも作戦は続行…………足を使っていけ!!」
「あっちも焦ってるみたいですね…………第5ラウンドまで長引かせるつもりはありませんよ!!」
「そのいきじゃ!! 決して気を抜くなよ、パンチ自体は生きておるからな…………しかし、小僧の方が強いわい!!」
圭吾は疲れているどころか、目が覚めて来たと言って目の色が試合が始まる前とは比較にならない程であり、第5ラウンドで決着をつけてやると言ってマウスピースを嵌める。
そしてリングに向かうと圭吾は驚くのである、それは鶴田が両腕を上げてボクシングスタイルになっていた、圭吾は動揺をしたがカンガルースタイルで前に出て行く。
(ここに来て両腕を上げるスタイルに変えるのか…………どんな風になるのかは、お楽しみって事だな!!)
圭吾は警戒しながらカンガルースタイルで、ヒット&アウェイで様子を見るのであるが、鶴田の両腕を上げたスタイルは前のラウンドが比較にならない速度になった。
左のジャブを引き戻す前に、右のストレートが飛んで来て圭吾のペースを完全に狂わせていく、圭吾は顔を左右に振って頭を叩き集中力を高めようとしているのである。
(コイツは、俺の速度にはついて来れない…………本気の俺にはついて来れないんだよ!!)
圭吾が速度について行けていないのを見て、完全に自分の本気には手も足も出ないのだろうとニヤッと笑った。
そして左のジャブは多用して圭吾を近寄らせない、それどころかコーナーにまで追い詰めていくのである。
「どうした、どうした!! さっきまでの威勢は、どこに消えちまったんだ?」
「これが、お前の本気なのか? それなら、ほとほと愛想が尽きちまうよ…………このレベルで本気ならな!!」
圭吾は殴ってくる鶴田の両腕を脇に抱えると、ガラ空きの懐にドロップキックをして後ろに吹き飛ばすのである。
そして圭吾は走って鶴田のところに行くと、鶴田の左手を普通に掴んでから股で首と右手を固めるのである、これによって完全に鶴田を締め上げる事に成功した。
「クソが!? 離せ、離せよ!!」
(ダメだ。アイツの腕は長いせいで、腕をとられるのが弱点になってるんだ…………あの高校生は、それに気がついた)
鶴田の長所は長い手足ではあるが、逆に弱点として腕や手足を固められてしまったら、動きが止まるくらいの弱点である事を圭吾は一瞬にして見抜いていたのである。




