037:世界チャンプまでの道
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―12月・アメリカ・ラスベガスガーデンアリーナ―
黒羽の世界前哨戦は、かなり順調に行っており第2ラウンドもフェリオ陣営の作戦を逆手にとって圧倒する。
フェリオの左目は完全に腫れて塞がってしまった、それに対してクリーンヒットはされていない黒羽の顔は、とても綺麗な状態で仕留め切れれば直ぐに終わるレベルである。
「ここまで耐えられるとは思っていなかったわい…………さすがは世界レベルと言うべきか」
「次のラウンドで、必ず沈める…………こんなところで、苦戦するなんてのはあり得ないからな」
黒羽は第3ラウンドで蹴りをつけると言って立ち上がる、その背中は倉知会長から見ても世界レベルだと感じた。
その期待感を背負ってリングに向かいゴングと同時に、フェリオに対して突進して行きラッシュをかける、その攻撃は無慈悲にもフェリオの急所を何発も撃ち抜いている。
(ここまで立っていられるのが奇跡だ…………これが東洋なんかにいるのか…………)
フェリオのトレーナーは倒れない事を褒めるのであるが、既に気力だけで立っている状態で危険だと判断する。
選手には申し訳はないがとトレーナーが、タオルを投げ込んでレフェリーが黒羽の動きを止めて試合を終了させる。
「こんなにも呆気ないとは、アイツには世界を踏ませる資格はなかったか…………」
「マルクさん、それでも楽しみがあるんじゃないっすか?」
「確かにな。奴が、この階級に居てくれるのは嬉しい事なのかもしれない…………」
同じジムで世界チャンプのマルクは、フェリオの戦いぶりを見て世界に出させるには早かったと残念がっている。
その反対で黒羽が同じ階級にいる事を喜び、いつか試合を組める事を望んでいると言うのである。
「インタビューを宜しいでしょうか? この一戦を終えてみての展望などはあるでしょうか?」
「俺は世界王者になるだけでは納得できない…………俺はミドル級からヘビー級までの5階級を制覇王者になる事だ」
『うぉおおおお!!!!!』
黒羽は5階級を制覇すると発言した、観客たちは興奮して大歓声を上げて、ここに見に来ていたチャンピオンやランカーたちはピリピリした雰囲気が出ているのである。
―東京都・倉知ジム―
圭吾は倉知ジムの控え室にて加藤たちと見ている、そして勝ってからのインタビューを聞いて興奮するのである。
「俺たちも、いつかは言ってみたいっすね…………」
「いつかとは言わずに、次の試合に勝ったら言えば良いんじゃないのか…………」
圭吾たちがスパーリングをしながら、黒羽の話をしているとジムに意外な人物がやって来たのである。
その人物とは〈GJFライト級チャンピオン〉の《西郷 和馬》だった、圭吾は和馬の登場に驚いているのである。
「どうして、こんなところに来たんですか? もしかして、黒羽さんの試合の影響ですか?」
「確かに、それもあるのかもしれないが…………お前に良い提案をしにやって来たんだ」
「良い提案ですか? それって、もしかしてスパーリングの相手をするとかですかね?」
「次の試合で、もしもGJFに上がれば…………俺とのタイトルマッチを組んでやる」
和馬は圭吾に対して、次の試合に対する報酬を出すと言い出した、その報酬とは入れ替え戦に勝って〈GJF〉に上がった場合は自分とのタイトルマッチを用意すると言う。
「日本タイトルマッチですか!? まさか、そんな事を約束してくれるんですか…………」
「こっちのトレーナーとは話している…………お前の方のトレーナーとの取引になるが、問題がなければタイトルマッチを行えるだろうな」
和馬は圭吾との試合を楽しみにしていると言う、その話をして直ぐに和馬は倉知ジムを後にするのである。
圭吾の試合が2日後に迫って来ており、明日には計量にて対戦相手の〈鶴田 隆弘〉と初お目見えになるのである。
―東京都・後楽園ホール―
後楽園ホールの計量場に圭吾と付き添いの加藤たちがやって来て、鶴田よりも先に計量をパスするのである。
鶴田がやって来たのであるが圭吾は驚く、鶴田は手足が異様に長く雰囲気も重たい様な雰囲気を醸し出す、この手足を活かしてノーガード戦法を使ってくるのである。
「これが、俺の対戦相手なのか? こんなに小さくて相手になるってのか…………舐められてんじゃねぇのか?」
「言ってくれるじゃないっすか…………そこまで言ってくれて、明日の試合は楽しみになるじゃねぇか」
「今始めても良いんだぜ? お前みたいなガキを潰すのに時間はいらねぇ…………身体が疼いてんだよ」
鶴田は圭吾に対して睨みを効かせながら近寄って、圭吾の事をガキだと罵り罵倒しているのである。
そんな鶴田に対して圭吾は真っ向から反論して、一触即発の状態になるが周りが止めて解散した。




