035:かつてのライバル
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―東京都・倉知ジム―
黒羽たちはラスベガスでの試合なので、会長たちを連れてアメリカに向かっているのである。
圭吾と加藤と深澤は居残り組でトレーニングをしている、圭吾はミット打ちが出来ないのでサンドバッグを叩く。
「圭吾!! そういえば、今日の夜に金光の試合があるらしいけど、見に行かないのか?」
「見に行ってやったら、どうなんだ? 同じ新人王トーナメントを戦った中なんだからな」
「そうなんですか!? 確かに自分の試合も迫ってもいますし、勉強と息抜きを兼ねて見に行きますかね…………お2人は、一緒に見に行かないんですか?」
「俺たちが行くと思うのか? そこまで面識がある人間じゃないしな…………俺たちは試合を見るよりもトレーニングを積んだ方が、自分の為になるっての」
圭吾のところにやって来た、2人は金光の試合が夜からあるから見に行って来いと言って来たのである。
圭吾も試合が近く息抜きも穂花とする以外は、休まずにトレーニングをしていたので息抜きにもなると思って、今夜は試合を見に行く事にしたのである。
―東京都・新宿住友ビル三角広場―
今日の金光の試合は13位と9位の交換試合で、圭吾に負けるわけにはいかないと言う気持ちで試合を行う。
「今日の試合を、圭吾くんが見に来るって言っていたぞ」
「それなら尚更に負けるわけには行かないな…………直ぐに13位から9位になってリベンジをしてやる!!」
「油断をしないで頑張って来い…………8位とは言えど、10戦10勝の強者だからな…………油断は出来ないぞ」
「もう油断をする事なんてありませんよ!! 俺はチャンピオンになって世界に出るんですから…………」
かなりの調子の良さを見せていくのであるが、少し気合が入り過ぎていて競馬で言う入れ込み過ぎと言うのがある。
そこを除けば完璧な仕上がりで、GJFの選手だと言われても見間違う程の仕上がりになっているのである。
『青コーナー!! 体重〈132ポンド〉身長〈5.77フィート〉…………八島ジム所属《金光 慶》!!』
『赤コーナー!! 体重〈132ポンド〉身長〈5.85フィート〉…………横浜ジム所属《鳥谷 秀蔵》!!』
鳥谷は前試合を負けてイライラしていた、その為に試合は荒れてしまうと観客たちは考えていたのである。
試合のゴングが鳴ると飛び出したのは金光の方で、ワンツーからの中段蹴りなどを繰り出して攻め込んでいく、それに対して鳥谷は防御からカウンターを狙っていた。
(こいつは典型的なインファイターだ…………少しでも隙を見せれば、カウンターを入れ込んでやる!!)
金光は反対の手をガードに回せて隙を見せない、その為に鳥谷が打ち込まれている様にしか見えないのである。
そこで鳥谷は作戦を変えて前に出る事になる、それによって第1ラウンドから殴打の応酬になっている。
(カウンターから作戦を変えて来たんだな…………それなら逆に、こっちも作戦を変えてやろうか)
(なに!? 今になって作戦を変えるだと…………アウトファイターにチェンジしたのか…………そんなのが、プロの世界で通用するなんて思わせてたまるかよ!!)
金光は作戦をインファイターからアウトファイターに変えて距離を取るのであるが、鳥谷はプロを舐めるなと言う気持ちで前に出ていくがカウンターを上手く合わせられる。
そして鳥谷の顔が腫れ上がって来たタイミングで、ゴングが鳴って鳥谷はリュートラルコーナーに戻っていく。
「なんなんだよ!! インファイターかと思えば、アウトファイターになったり…………全く分かんねぇよ!!」
「落ち着け!! 相手は簡単な作戦を取って来てるんだ。近寄れば離れて、離れれば近寄る…………それだけだ!!」
「そんな簡単な話じゃないっすよ!! アイツは本当に新人なんですか…………」
鳥谷は本当に新人なのかとトレーナーに聞く、目に見えて焦っているのが分かって、金光の強さが窺えるのである。
動揺が拭い切れないまで第2ラウンドが始まる、金光は左右に揺れながらリズムを刻んでいる、それに対して完全に動揺している鳥谷はリズムが刻めていない。
(こいつの攻撃は、単調で捌くのは難しくない…………そのはずなのに、アイツが大きく見えるぞ!?)
鳥谷は心の中では落ち着こうとしているが、目の前にいる金光が異様に大きく感じで動揺が大きくなるのである。
そんな鳥谷を見兼ねた金光は、動き始めてヒット&アウェイを行って完全に実力差を証明する、そんな鳥谷を見ていられないセコンドがタオルを入れて棄権した。
「うおっしゃぁああああ!!!!! これで、9位に上がったぞ!!」
完全に試合の流れを掴んで格上と言われていた、鳥谷に対して第1ラウンドで心を追ってしまぅたのである。
その結果を見た圭吾は、自分とやった時よりも自分のファイトスタイルを見つけていると唾を飲むのである。




