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WFC〜チャンピオンへの道〜  作者: 湯崎 noa
第4章・SJL時代
32/82

032:経験の差だけ

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―東京都・代々木競技場―


 代々木競技場に圭吾の試合を見に来る観客は多くいる、新人王が初戦で〈SJL〉の1位と試合をするからである。

 この試合はセミセミファイナルでの試合となるが、圭吾の試合を見たいと言う事で開幕から人が入っている。


「良いか。相手は小僧の事を、調整代わりのスパーリングだとしか思っておらんじゃろ…………だからこそ、この試合を受けて立ったと言うわけじゃ!!」


「舐められているって事ですか? そっちの方が、相手を驚かせて良いですね…………楽しみです!!」


 圭吾は控え室で倉知会長から相手に舐められている事を聞かされると、やる気になると言って笑っているのである。

 そんな話をしているとスタッフがやって来て、呼ばれるから準備をする様にと言われて袖に向かうのである。


『これより〈SJL入れ替え戦〉を行いたいと思います!! 選手入場です…………』


『青コーナー!! 体重〈132ポンド〉…………倉知ジム所属。《東 圭吾》!!』


『赤コーナー!! 体重〈135ポンド〉…………江戸川ジム所属。《小関 雅紀〉!!』


 両者は入場すると圭吾の方は新人の期待の歓声で、小関の方はGJFに上がる事への期待感が歓声を呼ぶのである。

 両者はリングに上がると目を離す事なく、睨み合いながらレフェリーからの諸注意を受けて下がっていく、明らかに仕上がりでは圭吾の方が良いが油断は出来ない。


「相手も相当の使い手ではある…………油断しているとは言えど、潰しには来るからのぉ!!」


「なんの問題も無いですよ!! 今の俺は、最高に集中して試合がしたくてたまりません…………ゴングが待ち遠しい」


 圭吾は不気味な笑みで会長すらも震えると、やってくれるかもしれないと言ってリングに向かわせるのである。

 そして待望のゴングがなった、両者は相手を見たまま左側に回りながら距離を近づけていく、圭吾はカンガルースタイルからワンツーを打ちローキックを繰り出した。


(んー。思ったよりもパンチ力とキック力があるな…………さすがは新人王と言うべきか!!)


 それをワンツーからの前蹴りで返すのである、前蹴りを圭吾は受け止めると反対の足の膝を思い切り蹴って転ばす。

 そこからパウンドを取って上から叩きつけるが、顔のところを上手くガードされて八方塞がりになって、圭吾は立ち上がって小関が立ち上がるのを待つのである。


(う!? 膝を怪我してるのを知っているのか…………)


 圭吾がたまたま左膝を蹴ったのであるが、小関はトレーニング中に左膝を怪我していて激痛が走ってしまう。

 足を引き摺りながら圭吾と距離を取るのである、圭吾は足を引きずっているのを見て足を怪我していると見抜く、その為に足に蹴りを入れるフリをして顔面にパンチを入れ込む。


(まずい!? ペースが掴めなくなってるぞ…………何が新人だから問題ないだ!! こんなのランキング上位者とやるのと大差ないじゃ無いか!!)


 圭吾の質良さに小関は驚いているのである、そして圭吾の事を下に見ていた事を心の底から後悔している。

 それでも1位の人間が引くわけにはいかないと思って、左足を庇いながら圭吾と渡り合っている、しかしボロが出始めてラウンド終了直前に2度目のテイクダウンを取られる。


「第1ラウンド終了だ!! 両者は各コーナーに戻って」


 圭吾の猛攻を何とか経験の差で耐え切った、しかし体力も左足のダメージも、かなり来てしまっているのである。


「ヤバいっすよ!! 思っていた以上に、強くて左足のダメージにも気が付いてます…………」


「落ち着けよ!! このままなら確かに、次のラウンドでやられかねないからな…………とにかく、間合いを詰めさせない様にして、ヒット数を増やすんだ!!」


 足のダメージの事も考えると、真っ向から戦ってしまうと次のラウンドで負ける可能性が高い、その為に距離をとって細かいのを当てて回復に当たるのだと作戦を立てる。

 そして第2ラウンドが始まると、作戦通りに経験の差を活かして近づけない様なリング捌きをして、さらに細かいパンチを圭吾に当てると目の上をカットして血を流させる。


「す、ストップだ!! ドクターチェックだ!!」


 出血を確認して多いと思いレフェリーは、ドクターを呼んで確認をさせるのであるが判断が難しいところである。

 しかし圭吾はやり切りたいので、ドクターに止めたら殴り飛ばすと睨みを効かせて良い判断をさせようとする。


「今の段階では止める程の事は無さそうです…………もう少し出血をしたら、試合を止める事にしましょう」


 ドクターは出血量が増えれば止めれば良いと判断した、それによって圭吾はクルッと身体をリングに戻して、両手を顔の前に固めてガードをしているのである。


「あ、アレは!? ここで使うんじゃの…………チャンピオンにも通用した、新スタイル!!」


 圭吾は和也にも通用した〈エレファントスタイル〉を使い始めた、小関からすれば怪我を恐れて固めているだけだと思って逆にチャンスだと勘違いしているのである。

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― 新着の感想 ―
[良い点] さすが圭吾だけあって、攻撃のバリエーションも多くて有利ですね。 ここからどう畳みかけるのか、今後の展望に影響しそうな一戦ですね。
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