031:空を舞うタオル
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―フィリピン・セブ島スタジアム―
セブ島スタジアムでランキングをかけた、敦也とジェイスの試合が開催されていて、ジェイスの顎に敦也の拳がクリーンヒットしてパウンドパンチを喰らうのである。
(コイツのパンチは、異様に重いな!? それでもパウンドの取り方はなっちゃいないな!!)
敦也がパウンドを取っていたのであるが、少し不慣れではあるのでジェイスが身体を捻って馬乗りを回避する。
ジェイスは立ち上がると顔の汗を手で拭ってから、左右に揺れながらリズムを作って、敦也にラッシュをかけていく。
(コイツの弱点は、資料を見て分かったが…………耐久性にも何があるんだろ!!)
敦也はラッシュをかけて来るのを涼しい顔をしながら耐えて耐えていると、少しづつ癖が分かり避ける様になる。
そして一瞬の隙をついて強く前に踏み込みたがら、頭を深く潜らせてアッパーを入れる体勢になる、しかしギリギリのところでゴングが鳴って、顎の近くで拳を止めた。
「嘘だろ。日本人の体格で…………あんなパンチを出せるって言うのかよ」
「アレを喰らってたら不味かったんじゃないのか?」
観客たちも敦也のアッパーのヤバさを理解して、大歓声からザワザワッとした雰囲気に変わってしまったのである。
しかし1番驚いたのはジェイス本人だった、風圧で感じるKOされている未来が見ずとも見えてしまった。
「どうなっているんだ!! アイツは日本の新人って話じゃないのか!!」
「もちろんだ!! 対戦成績も10回は行ってない…………それに日本の大会でも負けているんだ!!」
「そんなわけが無い!! アレは〈OPCチャンピオン〉のパンチだと言っても信じるぞ…………」
「あの野人と同じだと言うのか!? そんなわけが無い。落ち着いて相手の攻撃を見て行くんだ!!」
ジェイスは動揺した様子でトレーナーに、本当に敦也は新人なのかと怯えた瞳で聞いているのである。
それを聞いたトレーナーは詳細を伝えると、ジェイスは東洋チャンピオンのパンチだと言っても信じると言う、トレーナーは野人と呼ばれるライト級の王者と同じなのかという。
「相手の様子は、どうでしたか? 最後の1発が入っていれば、問題なく勝てた試合でしたよ…………」
「癖を見抜いて上手く立ち回っているぞ!! 次も相手のパンチをうまく研究してから、フィニッシュブローを当てて気絶させてしまえ!!」
敦也はトレーナーとある程度の話し合いを終えると、待っていられない様子でジェイスを見ながらシャドーする。
それを見たジェイスは青ざめながらもマウスピースをして立ち上がり迎え撃つ、もちろん敦也の方から攻め込まないで様子を見ていると、ジェイスは恐怖で動けない。
(どうしたっていうんだ? まさか、さっきのでビビッたとかは言わないよな…………おいおい。こんなもんで、俺を怖がられちゃあ困るってんだよ!!)
カウンター戦法の敦也から滲み寄っていく、それに対してジェイスはロープまで下がって亀の様に固まってしまう。
そこにボディを有効的に打ちながら、ガードの上からでもパンチを入れ込み押し込んでいく、するとボディを嫌がってガードを少し下げてしまった、そこを狙って殴りつけた。
「ストップだ!! このままじゃあ、うちの選手が壊されてしまう…………タオルだ!!」
セコンドの方からタオルを投げ込まれて試合は終了した、これによって敦也は〈OPCミドル級〉で10位になる。
あまりの惨劇に観客たちは黙り込んでしまっている、そこで敦也がパンッと手を叩くと観客たちは歓声を上げた、ここに野人を倒しうるかもしれない人間が誕生する。
「今回の試合についてなんですが!! 10位とはいえど、アジアトップの人間に勝った気持ちは、どうでしょうか?」
「とても勉強になる人でしたよ。あの人には感謝しかありませんね…………5位への挑戦権も貰ったんですからね」
敦也は5位への挑戦権をまんま貰ったと、ジェイスに対して感謝をしてからリングを後にするのである。
―東京都・倉知ジム―
圭吾は敦也の試合を見て、自分の時とは比べ物にならないくらいに強くなっていると印象を持った。
そこに倉知会長がやって来て、スパーリングの相手を見つけたから、やって来いと更衣室にやって来たのである。
「今回のスパーリングの相手は、スーパーライト級で10位にいる人間じゃわい!!」
「上の階級の人ですか…………楽しそうですね!!」
圭吾のスパーリングの相手は、1つ上のスーパーライト級で圭吾と同じ10位の人間だったのである。
階級差を考えて長引くかと思われていたのであるが、1ラウンド目で渾身のハイキックが決まって終わってしまった、それを見ていた加藤たちは階級差は無いのかと錯覚する。
「よし!! この調子で、1位を貰うぞい!!」
「はい!!」
圭吾の調子を見て素晴らしい思った倉知会長は、この調子で1位を取りに行くと圭吾の背中を叩くのである。




