025:耐え抜いた左足
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―さいたまスーパーアリーナ―
圭吾と敦也の試合は第2ラウンドが始まる、さっきのラウンドではテイクダウンを取られた敦也が仕掛け始める。
ローキックを中心的に行い始めて、圭吾を前に出さずに的確に右のジャブを当てていくと言う戦法に変えるのである。
(さっきまでの雑さが無いな…………と言う事は、的確に俺を倒しに来たって事かよ!!)
(コイツを確実にダウンさせてやるよ…………ローキックに弱いのは、お前の試合を見ていれば分かるからな!!)
丁寧になり始めた敦也に圭吾は、気をつけないとカウンターを喰らってマットに沈むかもしれないと思っている。
圭吾は身体を揺らしながら窓を絞らせずに、頭を敦也の胸元よりも下に下げながら右腕を振り上げてパンチをしようとするのであるが、それに反応した敦也が顔面に膝を入れる。
(ぐは!? あそこから反応してカウンターを入れられるのかよ…………)
(ここから押していくか!!)
圭吾がフラついたところで、圭吾の顔面を下から殴る様にして攻撃していくと、これはレフェリーが止めてしまうのでは無いかと観客たちは興奮している。
しかし圭吾は敦也の胴体にタックルして持ち上げる、そしてマットの上に後頭部から叩きつける、圭吾は回復する為に敦也から離れて様子を見ていると、ゆっくりと敦也が立つ。
(ふぅ。こんなもんで終わる様な奴じゃないよな…………あの膝からの顔面パンチは危なかったな)
(あそこから無理矢理に持ち上げるなんて…………完全に、俺の本気スイッチを入れやがったな!!)
敦也は軽くジャンプをして首を捻ってから、圭吾に向かってジリジリと歩いて行き様子を見ているのである。
そしてローキックから右左の鋭いワンツーを入れて、圭吾がガードをしているのを見て飛び膝蹴りを行い、ガードを崩したところで顔面にワンツーを入れてテイクダウンを取る。
(クソ!! ここまで来て負けるわけにはいかねぇんだ。倉知会長にトロフィーを掲げさせるんだ!!)
圭吾は足を上手く使って、グラウンドを取らせない様にして横に転がり立ち上がるとファイティングポーズを取る。
(こんなもんで終わるとは思っちゃいないが、粘られるのは面倒な相手だな…………)
(危なかった。あのまま行ってたら、確実にグラウンドを取られて負けてたぞ…………やってやんよ!!)
圭吾は負けるわけにはいかないと思って前に出る、そして左の足を少し上げて警戒させると、一気に反対の右足で前蹴りを行い敦也の顎にクリーンヒットして後ろに倒させる。
敦也は空中で気を失ったのであるが、地面にぶつかった衝撃で意識が戻って圭吾が向かって来るのを見ると、直ぐに立ち上がって構え直し近づかせない様にする。
(はぁ……はぁ…………アイツの蹴りは注意していたと言うのに…………クソ兄貴に勝つまでは負けられないんだ!!)
(このクリーンヒットでも立ち上がると言うのか。それだけの精神があるって事か…………面白いじゃねぇか)
(ダメだな。目の前が回って来た…………このラウンドで倒し切らないと、俺の勝ち目は無いな!!)
敦也は自分のダメージ量を考えて、このラウンドで倒し切らないと負けると確信してしまっているのである。
その為にあえて前に出て勝負を仕掛けていく、綺麗なワンツーではなくて、勝ちに行くラッシュを打ち込む。
(ここは耐えるんだ!! こんなラッシュが、最後まで続くわけがない…………耐えるんだ!!)
(まだ左じゃない…………まだ、まだ…………今だ!!)
ラッシュを打つ中で圭吾の様子を見ていて、顔が上がってガードが下がった瞬間に左ストレートを打ち込む、しかし圭吾は左を打たせる為にガードを下げたのである。
敦也の渾身の左ストレートに対して、圭吾はラッシュを耐え抜いてからの左ハイキックを出した、敦也の左は鼻を掠って血を流させたが、圭吾のハイキックはまともに入る。
(ここに来てハイキックを出せるのかよ…………)
敦也は前のめりに力無くなく倒れて、圭吾から数発のグラウンドパンチをもらって試合が終了するのである。
この瞬間に圭吾の〈全日本新人王〉と〈SJL10位〉が決定する事になった、圭吾はリングの中央で大きくガッツポーズをして倉知会長がやって来るのを待つのである。
「この小僧がやりおったわい!! なんで、あそこから蹴りが出せるのか…………小僧は良くやったぞ!!」
「はい!! 本当にギリギリの試合でした…………」
圭吾は倉知会長に抱きついて喜びながら泣いている、この試合は第2ラウンドの残り1分で決着がついたのである。
その結果に南野たちも納得をして会場を後にする、圭吾の真上では眩しい光が降り注いでいて、勝者を祝福する様な温かい光が圭吾たちを寺しているのである。




