023:チャンピオンの仕上がり
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―東京都・倉知ジム―
圭吾は3ヶ月も完治にかかると思っていたのであるが、何と2ヶ月で完治すると言う偉業を成し遂げ、完全トレーニングを行なって良い事になったのである。
「黒羽さんが、怪物級だって言うのに…………もう1人怪物が現れても困るんだよなぁ…………」
「深澤の言う通りだな。アイツの回復力だけは、黒羽さんを遥かに凌駕してるだろう…………それにやる気もあるってんだから、こっちからしたらたまんないよなぁ」
「そこなんだよ!! テメェらが上にいけないのは、とっととロードワークに行ったら良いんじゃねぇのか!!」
圭吾の回復力に驚いていた加藤たちに対して、黒羽がやって来て天才と凡人の違いだと馬鹿にする様にいうのである。
それに対して口論になりそうになるのであるが、黒羽が指の骨を鳴らしているのを見て2人はロードワークに向かう。
「緊急じゃが、感覚を鈍らせない様にスパーリングの相手を準備してあるぞい…………覚悟は良いか?」
「もちろんですよ!! この為に、俺は休養して来たんですからね…………やらせて下さい!!」
圭吾の回復力に倉知会長は驚いていたが、直ぐにスパーリング相手を探して各地から集めて来たと言うのである。
そして倉知ジムにスパーリングの相手がやって来た、その人を見た圭吾は普通の選手ではないと感じた。
「今回スパーリングをして来るのは、去年の東日本新人王であり…………現SJLで2位の〈七森 剛〉くんじゃ」
「今日は、よろしく!! 君の噂は聞いているからね。俺的にも、勉強できる相手だと思っているからね」
「こちらこそ、よろしくお願いします!! 自分の為に、わざわざ来ていただきまして…………絶対に退屈させる様な試合はしないので、期待してて下さい!!」
圭吾の為にスパーリングをしに来てくれたのは、去年の東日本新人王であり、現在はSJLで2位の成績である。
2人はヘッドギアにオープンフィンガーグローブを嵌めてリングの上に上がって構える、そしてゴングを鳴らすと先に仕掛けていくのは圭吾の方だったのである。
(チャレンジャーの俺が後手に回ってたまるかよ!!)
圭吾はチャレンジャーの気持ちで押していくのである、相手の方はガードしながら攻撃を流していくが、捌ききれなくなって来て顔面に食らうなどしてテイクダウンを取られる。
そしてグラウンドパンチを行ってから、圭吾は首を捕まえてチョークスリーパーに移行するのである、それによって対戦相手はタップしてギブアップした。
―京都府・京都ジム―
敦也の専属マネージャーとして桂花が就任すると、敦也はブーブーッと文句を言う様になっているのである。
しかし自分を極端に追い詰めすぎる敦也には、桂花の様な人が必要だとトレーナーに言われて仕方なく認めた。
「今日はスパーリングをすると聞いたんですが、何処の誰と試合をするんですか?」
「今回は、そこそこの人間を連れて来たぞ…………今日の試合は〈OPCミドル級〉で、3位の人間を連れて来た」
OPCとは〈東洋太平洋チャンピオンシップ〉で、3位と言う実力を持つ人間を連れて来たと言うのである。
連れて来たのはフィリピンでは、デビューして直ぐに3位まで浮上して来た天才格闘家《リー=トゥワン》である。
(この日本人は、天才の弟だって聞くが…………何処までの実力なのかを見せてもらおうじゃないか)
リーは和馬の弟である事を聞いているので、どれほどの実力はあるのかとグルッと回りながら様子を見ている。
それに対して敦也は、リングの中央でドッシリと佇みながらリーの事を睨んでいる、そして遂にリーが動き出して殴りかかるのであるが、交わされてカウンターで顔面に入れる。
(な、なんだ!? 今の一瞬で、何が起きたんだ…………)
敦也の得意技は、相手の動きに合わせて打つカウンターでリーの動きを完全に掌握しているのである。
それに対してリーは早すぎるカウンターに、何が起きたのかと困惑しているのを見た敦也は攻撃を仕掛ける、左のジャブをボディに入れてから顔面に右ストレートを入れた。
(こんな日本人にやられるなんて…………)
敦也の渾身の右ストレートを喰らった、リーは後ろにドタドタッとなりながら倒れて、グラウンドパンチを喰らう前にトレーナーたちによって止められ敦也の勝利が宣言される。
―さいたまスーパーアリーナ・計量場―
今回の全日本新人王戦の会場は、さいたまスーパーアリーナで行われるのであるが、2人のチャンピオンは会場で向かい合うと集中している事からピリピリしている。
「2人とも握手をしてもらえますか?」
「いいや。握手は試合が終わった後にします…………そうじゃないと、今にも殴りかかってしまいそうなので」
「それなら、こっちも同じだ…………喧嘩あがりの勘違い野郎を、ボコボコにしてしまうからな」
2人は試合を待たずに殴り合ってしまう可能性があり、握手をしないで両者は帰っていくのである。




