021:東日本新人王
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―両国国技館―
ライト級の東日本新人王が〈東 圭吾〉に決まった、圭吾の優勝がコールされた瞬間に圭吾も力尽きて倒れる。
そこに歓喜している倉知会長らセコンドがやって来る、圭吾の頭を少し浮かせると優勝したのだと伝える。
「遂に優勝したんですか。ここまで来るのに、とてつもなく長い感じがしますね…………まだまだ、これからですよね」
「その通りじゃ!! ここは通過点に過ぎないが、それでも小僧は良くやった…………今日のところは誇れ!!」
敗者である南野は担架に乗せられて運ばれるが、意識のない南野に対しても観客は大きく歓声を上げる。
そして圭吾も退場していく南野に対して、頭を下げてから両手を上げて観客の声援に答えるのである。
「これから東日本新人王トーナメントの表彰式を行います」
『うぉおおおお!!!!!』
他の階級の優勝者たちがやって来て、表彰式を執り行うのであるが、圭吾はライト級東日本チャンピオンと〈東日本新人王トーナメントMVP賞〉を受賞する。
「お、俺がMVPですか!?」
MVP賞になった事は圭吾も驚きで、緊張から手が震えながらも受け取って写真撮影を行うのである。
諸々終わってから両国国技館を後にすると、黒羽たちが待っていて優勝した事を讃えて胴上げを行うのである。
「まさか、お前が優勝するなんてな!!」
「いいや。俺は優勝すると思ったね!!」
黒羽も珍しく圭吾の事を胴上げするのであるが、圭吾は数回繰り返すと身体の痛みを倉知会長に報告する。
近くの緊急病院に行って検査してみると、肋を数本折っていたのと顔も骨が折れていて全治3ヶ月だという。
「このペースならば、全日本の新人王戦は辞退した方が良いかも知れないな…………」
「新人王戦は4ヶ月後ですよね!! それなら、自分は回復力は異常なので問題ないですよ!!」
「そんな事を言っても、新人王戦に全ての力を使ったら勿体無いからのぉ…………小僧には未来があるんじゃぞ?」
「このまま辞退したら、南野さんに申し訳が立たない!! こんなところで、諦めるわけにはいかないんですよ!!」
圭吾は回復力は化け物級に高いから問題はないと言って、圭吾は倉知会長に出場を懇願するのである。
倉知会長は唸りながらも体力を落とさない様に、怪我を庇いながらトレーニングをして大会前に、完治していれば出場して無理ならば棄権するという条件を出した。
「それなら問題はありません!! 自分も格闘家になったんです…………自分の身体が資本なのは分かりますからね」
「それなら出て欲しくはないが…………小僧が出たいというのに、出さないというのはありえんからな」
圭吾の気合いを見て倉知会長は、断念しろとは言えなかったので出場を考えるという結果を出したのである。
―大阪府・176BOX―
圭吾が優勝を決めた日に、大阪でも西日本新人王トーナメントの決勝戦が行われていたのである。
『青コーナー!! 体重〈136ポンド〉身長〈5.66フィート〉…………龍王拳闘会所属。〈赤井 聖〉!!』
『赤コーナー!! 体重〈135ポンド〉身長〈5.79フィート〉…………京都ジム所属。〈西郷 敦也〉!!』
西日本新人王トーナメントの決勝戦に、〈西郷 和馬〉と同じ苗字の人間が出場しているのであるが、この敦也は和馬の実の弟で圭吾とは同い年の16歳だった。
(コイツは、例の和馬さんの弟なんだろ…………対して評判は良くねぇからな!! 出涸らしなんだろうな!!)
対戦相手の赤井は、兄の和馬の出涸らしで強くないだろうと舐めてかかっていると、右ジャブが2発連続で顔面にクリーンヒットして怯んだところをボディに蹴りを入れる。
ボディにもダメージを与えられた赤井は、両腕を振って自分から距離を取らせようとするのであるが、軽く避けてから地面に両手をついて馬の後ろ蹴りの様なキックを出した。
(ぐは!? こんな蹴りをして来るなんて…………これが、出涸らしのレベルじゃねぇぞ…………)
試合が始まって2分程度で赤井はマットに倒れると、敦也からグラウンドパンチを喰らってTKO負けになる。
「こんな奴とやっても面白くもない…………俺がやりたいのは、兄貴だけだからな」
対戦相手を見下す様にしてから、セコンドのところに戻って少しだけ出た汗を軽く拭いてから裏に下がっていく。
圭吾は表彰式に出たのであるが、敦也は表彰式に出ないでクールダウンを行なっているのである。
「そういえば…………東のチャンピオンが決まったらしいが話は聞きたいか?」
「どうせ。あっちの試合は、南野が勝ったんだろ…………アイツは銀メダルを取ってるからな」
「いいや。それが、南野に勝った奴がいるんだよ…………そいつの名前は〈東 圭吾〉って言うらしいぞ」
敦也は西の新人王は南野だと予想をしたが、勝ったのが聞いた事もない圭吾であると聞いてガッカリしたのである。




