002:チャンピオンの実力
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―東京都・亀有・倉知ジム―
喧嘩自慢の圭吾は、日本総合格闘技のトップ〈GJF〉のミドル級チャンピオン〈黒羽 幸秀〉とスパーをやる事になったのであるが、チャンピオンだと知って少し緊張する。
「チャンピオンとやるなんてのは、中々できん事だからな」
「俺らしくやって良いんだよな? それなら、チャンピオンだと言えど勝てるぞ…………」
「その気合いがあるなら十分じゃな。自由にやっても良いがルールは守るんじゃぞ…………噛みつき、眼球や急所への攻撃は禁止じゃぞ」
「総合格闘技のルールくらいは知ってるわ!! やってやろうじゃねぇか…………勝ってやるよ!!」
圭吾はルール説明を受けてからオープンフィンガーグローブを手につけてからマウスピースをする。
そしてチャンピオンはヘッドギアを付けていないが、圭吾は大怪我を避ける為にヘッドギアを付けるのである。
「ジジイが連れて来たって事は、それなりに才能があるらしいけどよぉ…………喧嘩小僧が、チャンピオンに勝てると思うんじゃねぇぞ?」
「それは、こっちのセリフですよ。チャンピオンだとは言えど、俺が負けるわけないっすよ…………」
「その自信を折ってやるよ」
圭吾は黒羽とグローブタッチをしてから、倉知の合図と共に2人の試合がスタートしたのである。
黒羽はチャンピオンとしての風格があるので、無理に距離を詰めずにリングの上をグルリと回って様子を見る。
(チャンピオンってのは、こんなにも風格があるのか)
「どうした、どうした!! テメェは自分に自信があるんじゃねぇのか? ドンドンかかって来いや!!」
「やってやるよ!!」
圭吾はゆっくりと近づきながらジャブを行う、そして距離が近づいたところで右足でハイキックを行おうとした。
しかし黒羽は圭吾の脚を掴むと、プロレスのスクリュードライバーの様にクルッと回って圭吾を転ばした。
「痛!?」
「これだけじゃ終わらねぇそ!!」
黒羽は圭吾が倒れたタイミングで、飛び肘を顔面に入れようと飛んで来たのである、圭吾は急いで横に転がって黒羽の攻撃を避けて立ち上がり立て直そうとする。
(ふぅ。マジで強いな…………俺流のやり方でやるか)
圭吾は自分のやり方を貫いてやると心に決めると、ゆっくりと再度近寄っていきジャブとローキックで距離を詰める。
そして圭吾は頭を下に下げて、顔面に攻撃を与えるとフェイントを行ったのである、それに引っかかった黒羽は顔面にガードをするとボディにストレートが命中した。
「うぉ!? 意外と良いパンチを盛ってんじゃんか…………これが顔面に喰らうと思うと、俺以外ならKOだな」
「嘘だろ!? これでも地面に膝をつけないのか…………威力がある上に、ガード力もあるのかよ!?」
「さてと、それじゃあ攻撃をしようじゃねぇか!!」
圭吾のパンチ力を知った黒羽は、自分も実力を見せてやろうと本気のファイティングポーズを決めるのである。
その雰囲気は明らかに鬼の様な雰囲気を感じる、それのせいで圭吾はジリジリと後ろに下がってロープにぶつかる。
(な!? まさかロープまで下がってるなんて…………)
圭吾はロープから目線を戻したら、黒羽の拳が目の前に来ており圭吾の顔面に命中したのである。
圭吾は顔面に拳を喰らうと、鼻から血が出て来たのと圭吾は地面に倒れてしまったのである。
「これで完全に決まったな…………ジジイ。アイツは良い拳は持ってるけど、ガードはなっちゃ居ないな」
「そうか? それはどうかな…………後ろを見てみろ」
「なに? なんだと…………あれだけ綺麗に入ったのに、まだ立ってられるってのかよ」
黒羽は倉知に強いけどディフェンスが悪いと報告をした、すると倉知は黒羽の後ろを指差して見てみろと言う。
後ろを見てみると足がガクガクと震えながらも、圭吾が立ち上がって膝の震えを止めようとしていた。
「面白いじゃねぇかよ。とことんやってやるよ…………さっさと再開しようじゃねぇかよ!!」
黒羽はトドメを刺してやろうとラッシュをかける、それに対して圭吾はガードを必死にして防ぐのである。
ラッシュをかけて圭吾の膝が落ち始める、しかし黒羽が疲れて少しスピードが落ち込んだ瞬間にパンチを避けて、背後に回ると黒羽の顔が振り返った時に渾身のパンチを入れた。
(なんちゅう。パンチを入れおるんじゃ…………アレがダウンを取られた人間の拳なのか!?)
黒羽は倒れそうになったがロープに手を絡めて、なんとかダウンをしない様にした、圭吾の方は完全に力を使い果たしてしまってマットに倒れ込み〈KO〉となった。
「ジジイ!! アイツは中々にやるから、離しちまったら勿体ない事になるぞ…………」
「離すつもりはないわい!! お主と、コヤツで世界を取ってみせるわい…………」
「取るのは俺たちだけどな」
倉知は黒羽と圭吾の2人で世界のベルトを取ってやると笑みを我慢しながらリングに上がって、圭吾の心配をする。