016:託されたバトン
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―大田区総合体育館―
準決勝で勝利したのは圭吾であり、敗戦した金光は脚を引き摺りながら歩み寄って来て、圭吾に握手を求める。
「君の事を舐めていたよ…………こんなにも強いとは思っていなかった、必ず南野を倒してチャンピオンになってくれ」
「ありがとうございました!! 必ず優勝して、実力を証明してやりますよ!!」
「それくらいの勢いがないとダメなんだろうな…………本当に南野は強いから気をつけろよ」
圭吾に対して感謝していると耳元で喋ると、圭吾も敬語で挨拶を返して感謝をする、そして決勝戦の南野には気をつけろと言ってリングから立ち去っていくのである。
圭吾もリングから降りるのであるが、観客たちからは惜しみない拍手と声援が降り注ぎ、次の黒羽の試合を忘れているかの様にテンションが尽きそうになっているのである。
「お前!! ショボい試合をしやがって!!」
「良いじゃないっすか!! 試合はTKOで勝ったんですから!!」
「仕方ねぇな。俺が本当の格闘技って奴を、お前に見せてやるからな…………」
圭吾が控え室に帰ってくると着替えを終えていた、黒羽がグチグチと言って悪態をつけにやって来たのである。
そして入れ違いに倉知会長が、メインのセコンドで黒羽を連れてスモークを炊いた大々的な入場を行う。
『これより、〈GJFミドル級タイトルマッチ〉を行いたいと思います…………選手入場!!』
『青コーナー!! 体重〈157ポンド〉身長〈6.06フィート〉…………有吉拳闘会所属。《青葉 圭三》!!』
『赤コーナー!! 体重〈155ポンド〉身長〈6.19フィート〉…………倉知ジム所属。《黒羽 幸秀》!!』
黒羽の対戦相手も身体が仕上がっていて、強そうであるが黒羽は余裕そうな雰囲気を醸し出しているのである。
ゴングと同時に青葉は突進していき、連打を行っていくのであるが黒羽は動く事なく身体だけを揺らして避ける。
(な、舐めやがってよ!! ボディを狙えば良いんだ!!)
対戦相手はボディを狙って攻撃をしようとすると、黒羽は綺麗なワンツーを顔面に叩き込み、完全にガードが下がったところに回し蹴りを入れて気絶させてKO勝ちする。
「どうじゃあ!! これが格闘技じゃ!!」
黒羽はガッツポーズをして観客にアピールすると、簡単に防衛をしたので観客たちは喜んでいるのである。
インタビュアーがやって来て今日の試合と、これからの方針についてのインタビューをする。
「俺は、この防衛戦を最後にベルトを返上する!!」
「という事は…………世界挑戦ですか!?」
「うむ!! これからは、俺の主戦場をアメリカに移そうと思っている!!」
黒羽は日本ベルトを返上してアメリカ〈WFC〉に挑戦すると大々的に発言すると、圭吾たちも合わせて会場にいた人間たちは驚きで歓声を上げて祝福するのである。
「この18戦18勝18KOの無敗天才〈黒羽 幸秀〉は、この日本に海外ベルトを持ち帰ってやる!!」
『うぉおおおお!!!!!』
黒羽は無敗の日本チャンピオンであり、観客に向けて海外のベルトを持ち帰ると約束をして退場するのである。
圭吾は控え室に帰って来た、黒羽に対して凄い発言をしましたねと言って興奮気味に話しているのである。
「お前も日本チャンピオンになれば、この快感ってのが分かる様になるさ…………これからだな」
「俺も頑張りますよ!!」
圭吾も黒羽の様に世界に挑戦したいというと、倉知会長は日本チャンピオンになって風格が出れば考えるという。
―翌日・倉知ジム―
圭吾は翌日に服部からのインタビューを受けるべく、倉知ジムにやってくると黒羽のインタビューも行っていた。
「服部さん、こんちわっす!! やっぱり、世界戦を控えてる人ってのは、記事になるんですかね?」
「そうだな。大口を叩く割に、結構な結果を残してるから人気があるんだろうな…………次は圭吾くんのインタビューをさせてもらおうかな」
黒羽はインタビューを終えると、大したダメージは無いのでトレーニングに戻っていく、服部は圭吾が隣に座ると身体に触れて筋肉量などを肌身に感じているのである。
「これがツワモノを負かして来てる身体か…………次の試合は、完全にアウェイだと思うけど、どう思ってる?」
「そうですね。南野には、個人的に負けたくないんで………どんな事があっても、負けるつもりはありません!!」
「その意気込みがあるのは素晴らしい!! しかし現実的には、どうやって勝つのかな…………相手は、オリンピックで銀メダル持ってる高校生なんだよ?」
「自分のやる事は、とにかくやれる事を精一杯やりながら、必殺技を鍛える事ですかね…………」
圭吾が試合終わったにも関わらずに、殺気を纏っているので面白い試合になるだろうと服部はニヤッと笑うのである。




