013:積み重なる思い
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―足立区・倉知ジム―
圭吾はジム内にあるベンチプレスを、死ぬ気で上げてトレーニングを行っていた、そんな姿を見た加藤と深澤はやる気になっているのを見て誉めていると黒羽が来た。
「…………って事があったんだよ!! だから、アイツは躍起になってトレーニングをやってるわけよ」
「アイツにも好きな女とかいたんすねぇ…………しかも失恋をするかもって事っすか?」
「振られても、俺らだけはチームメイトになっててやろうじゃねぇか…………面白いんだけどな」
圭吾の事を知った加藤たちは、ニヤニヤしながら圭吾の周りを回って煽る様にしていると、圭吾はロードワークに向かって外に出ていくのである。
「ありゃ? インタビューしに来たんだけど…………圭吾くんは、ロードワークに行っちゃった?」
「アイツは失恋で傷ついてるんだよ…………今回の記事は、〈男黒羽〉の特集で良いんじゃないのか?」
「それなら、明日改めてくるとしようかな…………次の試合は、黒羽くんの前座だよね?」
「お? そうだけどよぉ〜。アイツに前座が務まると思ってんのかなぁ…………冷めさせなきゃ良いけどな」
記者の服部は圭吾を目的にやって来たのであるが、ロードワークに出かけたので改めてくると言う。
ジムを出る前に服部は、次の準決勝は黒羽の防衛戦の前座である事を確認してから、倉知ジムを後にするのである。
―千葉県・東洋ジム―
東洋ジムには圭吾の準決勝の対戦相手である、キックボクシングの高校生チャンピオン《金光 慶》が在籍しているジムなのである。
「良いぞ!! そこからワンツーのパンチを入れてから、キックに移行して連打だ!!」
「うっす!! こっから連打!!」
金光の調子は悪そうには見えずに、良い調子でスパー相手をボコボコにして〈TKO〉の勝利をするのである。
ヘッドギアとオープンウィンガーを取って、裏口にある蛇口から水を出して頭を冷やしている。
「最近の調子は、どうなんだ? 膝の調子も悪そうには見えないが…………次の対戦相手は強いからな」
「喧嘩上がりなんだろ? そんな奴に負けるほど、格闘技は浅はかじゃないよ…………まぁ。油断はしないけどね」
「その通りだ!! お前は決勝を見据えてやれ…………南野をボコボコにしてこそ、実力を証明できる!!」
「分かってるよ。俺は新人王になって、直ぐにでも世界に進出してあげるよ…………絶対にだ!!」
金光は身体から蒸気が見えるほどに、圭吾との試合や南野との試合を想定してやる気になっているのである。
この根性のままに、金光はロードワークに出ていき、数キロ離れた目的地の墓地に到着するのである。
「母さん。上にも届く様なベルトをとって、必ず母さんに見せてあげるからね…………俺は負けないよ!!」
ここの墓地は金光の母さんが入っているところで、手を合わせてベルトを取る事を約束してからロードワークに戻る。
―葛飾区・土手―
圭吾と倉知会長は土手にやって来て、100メートルダッシュを8本と、1500メートルを4本を行うのである。
そして圭吾は倒れる様に土手で寝ていると、倉知会長が水をぶっかけて練習の続きのミット打ちを行う。
「小僧には期待しておるんだからな!! 高校生チャンピオンであろうが、銀メダリストであろうが関係ないぞ!!」
「はい!! どんな相手であろうが、手を抜かずに全力を尽くして、自分の方が上だと証明します!!」
圭吾と倉知会長の気持ちは、一致しておりミットの音も地鳴りが鳴っているのかと言うほどに鳴り響いている。
―大田区総合体育館・計量場―
圭吾たちが少し遅れて会場に入ると、記者たちがザワザワしているのが聞こえて来る、何かと見てみると金光の身体が想像以上に完成されていて騒がしかった。
「これって、もしかして〈1ラウンド〉で決まるんじゃないのか…………金光選手の仕上がりが良すぎるよ」
「確かに、アレは高校生チャンピオンになった時よりも良い身体をしているな…………本当に高校3年生か?」
圭吾は自分の身体を見せつける様に服を脱ぐが、記者たちに比べられて溜息混じりの声が漏れるのである。
記者たちの中では〈8対2〉で金光が勝つと予想をする、その中で服部だけは〈6対4〉で圭吾だと予想する。
「よろしくお願いします…………良い試合にしましょう」
「良い試合にしようだって? 最後にマットに沈んでいるのは、君の方だと思うけどね…………」
『うぉおおおお!!!!!』
圭吾は握手を求めるのであるが、金光は圭吾を煽る様な発言をしてから握手をしないで会場を後にするのである。
圭吾は出した手を上に上げてから引いて、怒るどころかニヤニヤしながら倉知会長の方に戻っていくのである。
「小僧よ。笑っているのに気がついているか?」
「えぇ。あんだけ状態が良いのは、素晴らしいです…………全力を尽くせますよ!!」
圭吾は全力で殴り合えると思って、楽しみだと言う意味から微笑みが溢れていたのである。




