未来へ
ブックマーク等ありがとうございました。
日間異世界ランキング43位ありがとうございます!
私が今見ているのはどうやら卒業パーティーの少し前のことのようだ。
私が王妃教育や学園に通う間も、お父様は仕事をしていた。
「最近不穏な動きがあるようです」
執事が静かにそう告げた。
「どういうことだ?」
なんでも、第1王子がビアンカを妻にするために私との婚約を破棄しようと目論んでいるとのことだった。
(最初から仕組まれていたことだったのね)
それを知ったお父様はすぐさま王宮に出向き、阻止しようと頑張ってくれたけど、結局覆ることはなかった。
(お父様、ありがとうございます。その気持ちだけで十分ですわ)
そして私が死んだ直後に視点は変わった。
するとあの冷たい牢にお父様が駆けつけた。
(どういうこと?そこに入れって言ったのはお父様でしょう?どうして今更……)
『フロリアーヌ、フロリアーヌ。
今すぐこんなところから出してやる』
『フロリアーヌ、目を開けてくれ。お願いだ。
下手な芝居をするのでない。
だからどうか。どうか』
『あああああああぁぁぁぁぁ』
こんなに取り乱すお父様は初めて見た。
(いつも冷たい表情で私を見てくるのに)
私は自分の目を疑った。
(これは真実なの?)
そしてお父様が私の体をお母様と同じところに眠らせてくれたようだ。
その後はお父様は食欲不振のせいか変わり果てた姿で田舎の領地に引きこもった。
一通り見た後、私にお父様の感情が一気に入ってきた。
意図せずに相手をにらむような表情になってしまっていること。
私への接し方が分からなかったこと。
私を褒めたいとずっと思っていたこと。
そして、
私を愛していたこと。
(……)
言葉が出なかった。不器用にも程があるとか、それでも何か言ってほしかったとか、私のことを愛していてくれたことが嬉しいとか、
私の中で感情がごちゃ混ぜになってそれぞれが存在していた。
でもやっぱり、
「何か一言欲しかったなあ」
次に目を開けると、精霊様とハウンドさんがいる世界に戻ってきたのが分かった。
「テレーサちゃん大丈夫?これで涙拭いて」
心配そうなハウンドさんから差し出されたハンカチで私は今やっと自分が泣いていることに気がついた。
「相当辛い記憶だったようだね。でも君はそれを乗り越えられた。君はもう大丈夫だよ」
精霊様が言う。いくら精霊の気まぐれといったって急すぎる。今度からは遠慮したいと本気で思った。
「もう君は過去に捕らわれることは無くなった。好きなところに行ける、もう自由だよ!」
すると何か決心したようなハウンドさんが口を開いた。
「テレーサちゃん。これから僕の故郷の村に行かないか。結構ここから離れたところにあるんだけど、魔法を使える人が何人かひっそりと住んでいるところで、戻るよりも安全に過ごせると思うんだ」
私はハウンドさんの提案に同意した。
「なかなか良いね。よし、君たちが出発する前に一つ加護を授けよう」
精霊様がそう言うと、精霊様の手から光が飛び出し、私の体を包んだ。
「君の光魔法が検知出来なくするものだよ。これでまた追っ手が来たとしても、まず見つかることは無いはずだよ」
「精霊様のご厚意に感謝いたします。私は何があっても精霊様のご恩は忘れません」
「ふふ、君は僕の愛し子なんだ。遠慮する必要はないよ」
けらけら笑って去っていく精霊様に私は最敬礼をとった。
(本当に何から何までありがとうございました)
「じゃあ、行こうか」
ハウンドさんの温かい手を握った。
私はこの人との道を選ぶ。
2人でいる幸せな未来を。
私といたしましても結末としては、内容が少々弱いかなと感じましたが、ここで完結とすることにいたしました。
ここまで拙い私の作品を読んでくださった皆様、応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
最後に宜しければ評価の方をお願いいたします。