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1・いつもとは違う始まり

初投稿です。

つたない文章と内容ですみません。

 

 その日はいつもと違った。

 正確には数日前から、何か屋敷全体で落ち着かなさのようなものを感じていたが、家族や家の出来事はシスティーアには関わりのないことがほとんどだった為、気に留めていなかった。

 しかし、いつもより朝早くに起こされ、着替えを急かされた。

 システィーアの身支度を手伝ってくれる者はいなかったので、いつも通り自分で着替え、髪を結う。

 新しい服はもう何年も作ってもらえていないが、去年貰った薄緑のワンピースがかわいくてお気に入りなので、今日もそれに袖を通す。

 おそらく妹のフローナの為に作られたが、フローナが気に入らなかったのだろうそれは、痩せて女性らしい凹凸の少ないシスティーアには少し大きかったが、最近流行りの裾の広がるスカートや胸元を飾る白いレースの花が可愛らしくて、着るだけで少し幸せな気持ちになる。


 階下に降りると執事のレナルドが待ち構えていて、そのまま馬車に押し込まれた。

 馬車は2台停められていた。

 1台は侯爵家の紋章のついた豪奢なもの。

 システィーアがのせられたのは飾り気のない使用人などが使用するものだった。

 中には侍女が2人と従僕が1人。

 従僕の隣が空いていたので、遠慮するように小さくなって座る。

 システィーアが座るか座らないかのうちに馬車は走り出し、思わず転げそうになるのを、壁に手をついて何とかしのいだ。

 侍女も従僕もそんなシスティーアに目すら向けない。

 まるでいないように扱われるが、それもいつものことなので気にもならない。

 ただ、家族が乗っていると思われる馬車を追うように走るこの馬車がどこへ向かうのかが気になった。

 家族と一緒に外出など、ここ数年の記憶にも無いほど珍しい。

 誰かに尋ねたかったが、おそらくまともに答えをくれる人はいないだろう。

 どうせ時間がたてば馬車は目的地に到着し、行先も、そこで行われることも分かるはずだ。

 システィーアは諦めて、窓の外を流れる景色を見やった。



 システィア・ゴールドンはゴールドン侯爵家の長女として生まれた。


 ゴールドン家の歴史は古く、ウィントラス王国の創生にかかわる名門だ。

 ウィントラス王国はレドナ大陸の中央に位置し、温暖な気候と豊富な資源を有した巨大な王国で、歴史は1000年に遡る。

 豊な食料と水場を求め、豊かなレスティア湖に人々が集まったのか起源と言われている。

 しかし当時は、多くの人間と亜人、そして獰猛な魔獣がひしめき合い、争いが絶えなかった。

 ある日、湖から光輝く女神が誕生する。

 美しい女神は、ある人間の部族のリーダーだった青年と恋に落ち、結ばれた。

 それがウィントラス王国の始まりであり、王家の起源だと言われている。

 女神は3人の子を生した。

 長男は賢王となり、人々をまとめ、国を作った。

 次男は英雄となり、魔獣を退け、平和を作った。

 最後に生まれた長女は、人々の傷を癒し、心を癒し、聖女となった。

 聖女を慕い集った者たちが作ったのが現在の聖レスティア教と言われ、現在も国教として勢力を振るっている。

 そしてその聖女が恋に落ち、嫁いだ先がゴールドン家とされている。


 以来、ゴールドン家にはたびたび聖女が誕生した。

 聖女の誕生こそがゴールドン家の繁栄に直結するが、王国創生から1000年、血が薄まった為か、平和な今の時代に聖女が不要なのか、聖女の出現率が徐々に低下していた。

 聖女が生まれなければゴールドン家の存在意義さえ問われかねない。

 そんなゴールドン家に50年ぶりに誕生した聖女がシスティーア・ゴールドンだった。

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