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35話 レイサムを閉じ込めるコン

 “グオォォォォッ!”


 「ぐっ……くそっ!。やっぱり相手のこの大気を操る魔法は凄く厄介だ……。普通に風を起こして攻撃する魔法と威力が比べ物にならない上にその衝撃が体の奥までずっしりと伝わってくる……」


 グリーミーへのサラの反撃が始まった頃屋敷の外では依然としてコンがレイサムの大気アトモスフィアの魔法に苦戦を強いられていた。


 厳密には通常の風自体も大気の流れのことをいうのだが、この世界ではその地面に対して水平に吹く風の流れに加えて様々な大気の振動を引き起こすことを大気アトモスフィアの魔法と呼んでいるようだ。


 体感としてはまるで風がしなる鞭のように上下に波を描いて襲ってくる感じだろうが、その上下の波の振動によってより衝撃が体の奥にまで伝わってくるのだろう。


 そのレイサムの大気アトモスフィアの魔法を受ける度にコンの体は風に吹き飛ばされるだけでなく、まるで地震でも起きたかのように体を揺れ動かす衝撃に襲われていたのだろう。


 程度にもよるが地震に遭遇した際ほとんどの人は頭がグラグラと揺れ視界も定まらず、体の平衡感覚も崩れまるで身動きが取れなくなってしまう。


 今のコンもちょうどそれと同じ感覚で脳まで伝わった衝撃により思考すらままならない状況に陥ってしまっていた。


 このままでは相手に対処する為の判断すらまともにできなくなってしまうが……。


 「くっ……こうなったらなるべく使いたくなかったけど光属性の魔法で……。目眩まし程度のものなら僕もレイサムさんも大丈夫なはずだ。……光の目眩ましフラッシュ・ダズラーっ!」


 “……っ!、グッ……グオォォォォッ!”


 レイサムの大気アトモスフィアの魔法の猛撃に耐え兼ねたコンは敵の動きを封じるべく、ただ相手の目を眩ますだけの眩い光を発生させる光の目眩ましフラッシュ・ダズラーの魔法を発動させた。


 しかしほぼダメージはないはずのその魔法を受けたレイサムは光に目が眩んだだけでなく激しい雄叫びを上げて苦しんでいる様子だった。


 どうやら光属性の魔法にもグナーデの聖属性の魔法には及ばないが悪霊などの負の霊力を持った存在に強い影響を及ぼす力を持っているようだ。


 その為コンもレイサムに向けて使うのを少し躊躇っていたのだが、自身で放ったものであるにも関わらず光属性の魔法は死霊レイズデッドである自身の体にも影響があったようで……。


 「ぐっ……やっぱり教会で無限の閃光インフィニット・レイを使った時もそうだったけど光属性の魔力を発生させると体が焼けるように熱く感じる……。この程度なら全然我慢できるけど死霊レイズデッドの体への影響を考えるとあんまり使用しない方がいいな……。でもおかげでレイサムの動きを上手く止めることができた。今の内に完全に動きを封じてしまえば……鉄の正方体アイアン・キューブっ!」


 「……っ!」


 「よしっ!。あの中に閉じ込められば流石にレイサムもそう簡単に出てくることはできないはず……」


 レイサムが苦しんでいる隙にコンは土属性の鉄の正方体アイアン・キューブという魔法を発動させレイサムを鉄でできた正方体の中へと閉じ込めた。


 勿論中は空洞になっており、鉄の中に詰め込んでしまったわけではなくレイサムも無事生きているだろうが、その分厚い鉄の板に閉じ込められては如何にレイサムの大気アトモスフィアの魔法を持ってしても打ち破ることはできないはずだ。


 そう自信を持ってコンは考えていたのだが……。


 “グオォォォォッ!”


 「……っ!。もう鉄の正方体アイアン・キューブにヒビが……。鉄の強度を持ってしても大気の振動の衝撃を防ぐことはできないのか……」


 “グオォォォォッ!”


 「こ……このままじゃあレイサムを閉じ込めておけるのも時間の問題だ……。早く皆を操ってるあの死霊術師ネクロマンサーを倒して……サラさん」


 やはりレイサムの大気アトモスフィアの魔法の威力は凄まじく内側から敵の雄叫びが響き渡ってくると共にコンの鉄の正方体アイアン・キューブの入ったヒビが少しずつ大きくなっていった……。


 このままでは破られるのも時間の問題……。


 レイサムの悍ましい雄叫びが早くサラがグリーミーに勝利してくることをコンは強く願っていた。


 

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