変な子
一人で本を読んでいたら、一人の男の子が見えた。
おどおどして、今にも泣きそうな表情をしている。
迷子か、面倒だな。
我ながら冷めていると思う。
この私を冷めさせたのはこの世界なのだから仕方ない。
「あの、一緒に遊ぼう…?」
「結構です」
「ガーンlll」
「・・・・・」
泣かないでよ、私が泣かせたみたいじゃない。
(実質泣かせてます)
「…少しだけですよ、だから泣き止んで。」
「!」
そう言うとすぐ泣き止んだ、単純。
「僕は満!よろしくね!」
「え、あ…私は黄泉です。」
「よみ…綺麗な名前だね!」
綺麗、か。
「一つ聞きますが、ご両親…お父さんとお母さんは?」
「家で休んでるよ!よみは?」
「ああ、私は…遠いところにいますよ。」
「そっか!よみのお母さんとお父さん…きっと綺麗でカッコいい人なんだろうなぁ」
「え?」
「だって、よみ嬉しそうだったもん!」
純粋な瞳に見つめられて、思わずゴクリと唾を飲み込む。
「……そう、ですか?」
「うん、僕はそう思う!」
自分より幾らか小さい彼を見下ろすと、キラキラと輝く瞳と視線が重なった。
「…赤」
赤い瞳、黒い髪。
私とは、対になる色だ。
「ちょっと怖いでしょ?他の子も怖がって僕と遊んでくれないの…」
その瞳は、私の今まで見てきたどの芸術品よりも美しくて、吸い込まれるような気さえした。
「素敵だと思います。太陽みたいな、明るく照らす紅。」
「ほんとに、そう思う?」
「私は、嘘を吐きませんよ。」
「ありがとう!」
彼の笑顔が眩しくて、でも、ずっと見つめていたいと思った。
「何して、遊びましょうか。」
こんなに綺麗な子もいるのだと、私は始めて知った。
彼がまだ、何も知らない無垢な子供だからかもしれないけれど
それでもいい。
今は、この純粋な彼と醜い世界を忘れたい。
東満
黄泉と同い年
純粋無垢な性格
黒髪に紅い瞳を持つ。
整った容姿ではあるが人並みに、と言ったところ。