表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夏ヨゾラ 恋に恋する49日

作者: グミさん。

「ほら、綺麗だよ。夏ヨゾラ」

この言葉は僕が5歳の時、夏祭りがあった時、神社で転んだ時に中学生ぐらいの子に言われた言葉です。

約16年前ぐらいのことでもハッキリと覚えています。

あの綺麗な夏ヨゾラと、時雨という名の男の子を_____

ある夏の日、彼女は現れた。

簡単に死んだ、簡単に存在が忘れられた、この俺の前に。

天使みたいな彼女が現れた。

生きたくても生きれなかった。そんな悲しい、夏の物語。

[プロローグ]

「チッ…こんだけしかねぇのかよ」

「もう母さんの財布から10万も取ってるんだ…もうやめてよ…」

「1万、2万、3、4、5、6、7万か〜まぁ辞めるわけにはいかないねぇ」

「いいから、明日10万!10万取ってこれたら許してやるって」

まだいるのかよ。今月で20万はあげた。はぁ…ふざけんなよ…

家に帰ろう。今はここから離れたい。

「時雨、どこ行っていたの!早く勉強しなさい!」

パァン!と言う痛々しい音と同時に母さんの手が俺を叩く。いわゆる虐待。

「チッ…」

俺は小さく舌打ちして自室に入る。

もう…疲れた。このまま辛く、楽しくない人生を歩むなら、いっそのこと死んでしまおう。

遺書…そんなん適当でいい。

『虐待、イジメを行った母さん、達也、隆盛、陶冶。許さないからな。この気持ちを来世に引き継ぎます。さようなら。』

こんなもんでいいだろ。俺はベランダに立って手すりに登る。

制服でこの時を終わるのか。じゃあもうちょっといい服着とけばよかったな。

でも俺は着替えない。今ここで辞めたらもう飛べない気がした。

俺は手すりから手を離す。あぁ、割と落ちるのって遅いんだな。ドンっと言う鈍い音。

痛いと思う間も無く、俺の意識は途絶えた。

[第1章 49日]

ここはどこだ…?辺り一面真っ白で…?って

「うわぁぁぁぁぁ!」

この女誰だよ!やばい、このままだとキスの体制に…でも女の子だから突きとばせない…

「なぁーんだ、起きちゃった。」

「だれだよ、お前」

「ん〜?名前はないから好きに呼んで」

なんなんだよコイツ

「ここはどこだ。」

「天界」

天界って…そんなサラッと言える場所か?

「えっと?東堂 時雨。16歳、高校1年生、彼女はいなく、友達もゼロ。死因は自宅のベランダから転落。理由は、イジメと虐待に対するストレスを抱えて、自殺。ザックリだけどあってる?」

なんなんだよコイツ、全部あってんじゃねぇか。

「あぁ……あってる。」

「ていうか、泣いていなくてよかった!私、子供が泣いてんの止めるの苦手だからさ!」

「そりゃそうだろ。むしろ今の俺は元気だぞ。死ねたんだからな。」

目の前の女はどこか、可愛そうな目でこちらをしている。なんか腹たつな。

「で、俺はこれから何をするんだ。」

「49日間だけ、現世に戻ってもらう」

「は!?」

やっと死ねたのに………

「大丈夫、意識だけだから。」

「それって幽霊ってことか?」

女は無言で頷く。よかった……

「その49日間で時雨君には天国に行くか、地獄に行くか。決めてもらう。」

女の顔は真剣そのものだった。

「とりあえずは、理解した。で、お前の名前は?」

「ん〜じゃあ、リンでいいよ。名前ないから今決めたやつだけど。じゃあ、いってらっしゃい!」

「は?」



ここは……俺の葬式やってんのか?

「時雨……」

会場には祖母、祖父、父さん、妹しかいない。

「お母さんなら逮捕されたよっ」

「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!マジでビビるからやめろ!」

そこにはリンがいた。

「たまにこうやって現れるから〜」

はぁ…心臓に悪い。

「セイナ、親父を呼んできてくれ。」

「えぇー!やだよ!面倒くさい!やりたくないね」

妹のセイナはわかりやすく言うとギャル。小学六年生なのに髪は染める、マニキュアは派手。おまけにこの歳で彼氏までいる。調子乗ってんだろ。

「いいから呼んできなさい!お父さんも本当はこんなことやりたくないんだよ!」

父さんが怒鳴る。

ははっ……そうだよな。仕事でろくに会えなかった息子なんてどうでもいいよな。

わからない。ただ急に涙が出た。止まらない。止められない。

俺はすぐに葬式場から出た。何キロも何キロも走った。幽霊だから辛さなんて感じない。

そうだ…学校に行こう。



「ていうか、時雨が死んだのって、絶対に隆盛たちのせいっしょー!」

「そうだよ!人殺し!」

「人殺し!人殺し!人殺し!」

人殺しコールは止まらない。だれも止めようとしない。

「うるせぇよ!」

陶冶が言っても止まらない。人殺しコールは担任がきてようやく止まった。



放課後。何事もなく授業が終わる。担任も俺の名前を一切出さずに楽しそうにみんなして笑ってる。

まぁ、ぼっちが1人減ったところで何も変化ないよな。

帰り道、校門の前でボーッとしてると、

「東堂君」

名前を呼ばれる。は?誰だよ。

「……っ!」

羽衣 天安……

「え?」「東堂君?」「もう死んだはずじゃ…」

みんながざわつく。そりゃそうだ。学校1の美少女が死人を呼ぶなんてありえないことだ。

「てんなっち〜!」

天安は友達というか……取り巻きの金沢マミに呼ばれ離れていった。

[第2章 出会い]

「ねぇねぇおかーさん!このブランコあったかいよ?」

「え?どうしたの?ともくん。」

「僕以外の誰か乗ってるみたい!」

この子がこいでいるブランコには俺が座ってるからな。子供は霊に敏感なのか?

「東堂君」

また……天安だ……

「ねぇ、東堂君?」

「何」

「なんでここにいるの?」

どうだっていいだろ

「おかーさん!あの人、一人で喋ってる!」

「しっ!見ちゃダメ!」

天安が気まずそうな笑みを子供に見せる。

「はぁ…いちゃ悪いかよ」

「ううん。別に。」

天安は隣のブランコに座る。

「東堂君」

「なんだよ」

「夏祭り」

「は?」

「だから、夏祭り。一緒に行こう。」

「なんで俺?」

「今ここに居るから」

意味わからねぇ……

「ね?いいでしょう。」

「まぁ…いいけど…」

「じゃあ、決まり」

そう天安は元気に言う。

「じゃあ、ついてきて」

まぁ、どうせやることないし、いいか。

俺は無言で天安についていく。



「おい!いつまで歩くんだよ!どこに行くんだよ!」

「うるさいなぁ…私の家だよ。もうちょっと先。」

先に言えよ…

「で?天使かなんかに天国か地獄か選べとか言われたんでしょう?」

「なんでわかるんだよ。」

「霊感あるから、向こうから寄ってくる霊に相談されるんだよ。東堂君はどっちに行くの?」

俺は……

「天国」

「ふーん。やっぱり愛想ないね。」

「うるせぇ」

そう言うとクスッと笑って部屋から出て行った。

戻ってきた天安はお風呂に入った後だった。髪は乾いていたけど、なんとなくわかった。

「じゃあ、寝よう。」

「俺はどこに寝りゃいいんだよ。」

「ここ。」

って、学校1の美少女とベットで2人きりって、生きてた俺には一生体験できない話だな。

「天安は好きな人とか居るのか?」

何気なく聞いた。

「あいにく、生きてる人間には興味ないもんで」

生きてる人間には興味ない、か……



気づいたら朝か……

「行ってきます。」

天安はだれもいない家に向かって言う。

「おはよ!」「おはよう!」「うい〜」

いろんな挨拶が聞こえる。

その日は何事もなく学校は終わった。



俺は学校に残っていた。なんとなく、まだ処理されていない俺の机に座る。

勢いよくドアが開く。

「おーい!達也!なんだよいねぇのかよ。」

陶冶か…陶冶は俺の机を見る。

「ごめんな、東堂。達也には逆らえないんだ。本当に…ごめん。」

涙目になりながら陶冶は呟く。

「全然いいよ。」

気づいたらそう言っていた。

「陶冶君。東堂君もう許してるよ」

「羽衣さん?なんでわかるんだよ…」

「だってここにいるもん」

「え?」

「全然いいよって言ってるよ」

「そうか…良かった…」

陶冶は泣いた。声を押し殺して、ただひたすらに泣いた。

「おーい、達也!いねぇのかよ…」

今度は隆盛か

「なんできたの?」

「あ、羽衣さん。達也に呼ばれて…おい、達也?」

そう言って隆盛は電話を始める。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!助けてくれぇぇぇぇぇぇぇ!」

離れていてもハッキリと聞こえる。達也が危ない……

「おい!どこにいるんだよ!」

「屋上……」

と、達也は言い残して通話を切る。

「行ってくる!」

気づいたら俺はそう言って、廊下を走っていた。

「東堂君!」

天安が叫ぶ。

「この学校、霊が、地縛霊がいる!」

は?地縛霊?

「それって悪いヤツ?」

「うん、東堂君が取り憑かれて操られてもおかしくないよ!」

マジか……

「オイ………マテェ………」

わぁお、地縛霊のお出ましってか。いや、ふざけんなよ。

「東堂君!」

「あいにく俺は霊力は強い方でね!」

俺の爺ちゃんは霊媒師だ。霊力は遺伝かもな。俺も幽霊だからか、俺の渾身のタックルは幽霊に当たった。

「やりっ!」

「コッチモ……イル……」

「え、ちょ」

く、暗いな……モヤモヤする……ウッ……頭痛ぇ……

「どうしよう……東堂君!やめて!」

「やめてくれ……東……堂……」

なんで、陶冶が苦しんでるんだ?意味わからねぇよ……

「ア……」

取り憑かれてないか?俺。あーヤバっ。じゃねぇわ。

「天安……俺今……どうなってる……?」

「東堂君!東堂君の首から手を離して!」

やべぇ、自分でコントロールできねぇ!

「やめろ、地縛霊!俺はもう達也たちは許しているんだ!陶冶も隆盛も、達也に逆らえなかったんだ!もう、恨んでないんだよ……だからっ…離して…くれよ…!」

俺は泣いた。ただひたすらに泣いた。そんな俺の叫び声も、地縛霊の鳴き声でかき消された。

泣いてる……?

「ねぇ、地縛霊さん。あなたもいじめられていたの?そうでしょう?」

天安?この地縛霊が、いじめられていた?

「もう自分みたいに死者をだしたくない。だから、いじめっ子に復讐した。違う?」

「ア……フク…シュウ……ワルイ……コト……?」

「えぇ、そうよ。だから、もうやめましょう?」

天安の声は震えていた。天安だって怖いんだ。

「ワカった…達也モ……もどす……」

だんだんと地縛霊がちゃんと喋れるようになっている。

「ありがとう。」

その時の天安の笑みは天使そのものだった。

涙が出て、感動する。そんなもんじゃない。『癒し』そういえばいいのか?

「ごめんなさい。」

澄みきった声で地縛霊は誤り、金の星になって消えていく。

天安は腰が抜け、達也たちは

「ごめん、時雨ごめんなぁ……」

と、謝りながら学校を出て行く。

「天安!」

俺は気づいたら天安を抱きしめていた。

好きとか、そう言うのじゃない。ただ、彼女を抱きしめて、安心させたかった。

「東堂君……」

そんな暑い夏の夜。2人は声を押し殺して泣いたのだった。



[第3章 ネット症候群K.M]

「あぁ〜〜あつ〜い!」

俺が死んで23日経った。

「で?決めたの?東堂君は」

「は?何を?」

「何をって……天国か地獄か。どっちにするの?」

「……まだ決めてない」

「え、それ大丈夫?」

知るかよ。

「ほーい!ヤッホー」

「うわぁぁぁぁぁあ!びびったぁぁぁぁぁあ!」

「相変わらず面白いね、君。」

「うるせぇよリン。」

「早く決めなよ」

急にリンが真顔になる。普段は可愛らしい顔で愛嬌振りまいてんのに……なんか氷みたいで……

「女とイチャついてる場合じゃないよ?しかも、こんな女のどこがいいんだか……」

やれやれ……って言いながら呆れるリン。バカにしてんのか。

「別にイチャついてねぇし」

「早く決めなよ。あと22日、そう長くはないからね」

「お、おう……」

「東堂君、誰と話してるの?」

「いや、なんでもない」

「教えてくれたっていいじゃん!」

「やだね」

むー……そう言いながらわざと顔をしかめる天安。

「まぁ、いいやっ」

そう言ってスマホを取った天安の表情は一気に青くなっていく。

「おい、どうした?顔色悪いぞ」

「い、いや。別になんでもないよ」

「教えてくれたっていいじゃねぇか!」

「やだね。これでどっちもどっちでしょ?」

むー……今度はこっちが唸る番だ……

こんな謎だらけの平和な会話をするだけで、俺は日に日に元気になっていった_____




「ちょっとマミのところに行ってくるね」

「わかった。いってらっしゃい。」

そんなそっけない会話をするのも、死ぬ前に何もできなかった俺にとってはある意味夢なのかもしれない。

パソコンに目がいく。もともとインターネットかんけいは好きで、パソコンはよくいじっていた。

「羽衣天安は腹黒い!」

は?なんだよコレ。

「羽衣天安はぶりっこ!」

「計算高い羽衣天安!」

「羽衣天安、夜の蝶⁉︎」

誰が書いたんだよ……。俺宛じゃなくてもイラつく……。

既読……天安はこの書き込みの存在を知っているのか……

「ネット症候群K.M……?」



「おはよ」

「おう、おはよ。なぁ天安……」

天安の表情には正直言って驚いた。

「なんで……泣いてるんだよ……」

「ないてないよ…」

「何があった。説明しろ。」

「わかってるくせに……」

「ネット症候群K.Mか?」

「マミ、金沢マミだよ」

「は?」

なんで、どうして?マミと天安は仲が良い。幼稚園から一緒なのに……

ネット症候群……嫌な予感がする。



「おはよう」

「おっはよー!てんなっち!」

「う、うん」

ぎこちなく挨拶する天安。

「あの、マミっ!」

「なにー?」

「ネット症候群……いや、なんでもないよ」

「そう?あ、ちょっと職員室寄ってから行くから!」

「う、うん」

俺は自然にマミについて行っていた。

「はぁーーー!マジ、天安調子乗ってるよねー」

は?

「マジそれな!ちょっとモテるからってさ!」

「ほんとノリ悪いし!ノリ悪子ちゃん!なんちゃって!」

「「「アハハハハハハ!」」」

その声は、天安の取り巻きそのものだった。

「ていうか、マミは天安のこと好きじゃないの?」

「んなわけないじゃん。昔から嫌いだったのよね〜」

「あはっ。なのになんで天安に馴れ馴れしくしてんの?」

「だってあいつ、いっつも男に絡まれるじゃん?一緒にいたら私も声かけられるんだよね〜〜ほんと得するわ〜」

そう言ってケラケラ笑う。

「あ、そうそう!私、ネットの掲示板で『ネット症候群K.M』って名前で天安の悪口書いてるし!」

天安の想像は確信に変わった。



「天安ー!放課後、裏庭きてー!」

「わかったー!」

放課後になるのが怖い。普段はわからなくても、今だけは天安の気持ちが読めた。



「天安、私たちから離れてよ。」

「え…」

「あんたさ、ウザイんだよね」

「いっつもチヤホヤされてさ、自分可愛いアピール?」

「アンタのこのスマホケース、壊しちゃおっか。」

「や、やめて……おばあちゃんの形見なの……それだけは……」

「10万」

「え。」

「だから、10万用意しろって言ってんだよ。」

「そ、そんなお金……」

「アンタ、わかってんでしょ?マミがネット症候群K.Mだってこと!」

助けたい。でも今の俺じゃ無理だ。そうか、見たのに見てないふりをして助けなかった奴はこんな気持ちだったのか……

「先生!こっちです!」

結局、このイジメは先生に見つかって停学になった。



[第4章 最後の日の恋心]

「ねぇ」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!びびったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「マジ面白いね。ねぇ最終日、今日だよ」

あ……忘れてタァァァァァぁぁぁぁぁあ!

ヤベェヤベェどうしよう!

「リン!……っていねぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

今日祭りじゃん!

「東堂君?まだーーー?」

「あぁ、ごめん!」



川沿いを歩く。神社に着いた俺らは夜遅くまで遊びまわった。



俺の体が薄い。怖い。

「東堂君……体……」

「あ……ごめん。今日だったんだ。」

「そっか……」

しばらく続く沈黙。

「どっち」

「え?」

「どっちにしたの?天国か地獄。」

俺は…

「地獄にいこうと思う」

「え……?」

天安の顔が青ざめる。

「なんで!?どうして!?教えてよ!?なんでよ……」

こんなにも俺を心配してくれる人に、俺は出会ったことがあるだろうか。

「東堂君の……家族もっ……東堂君のこと……嫌ってないんだよ……」

そんなわけ……

「そりゃ、実の子供の葬式なんて……誰でもやりたくないよ……」

そうか、俺は勘違いをしていたのか……

自然に涙が溢れる。天安と過ごしてから泣いてばっかだなぁ……

笑って、泣いて。でも……

「天安。自分から命を絶つことはな?どんな罪よりも重いんだ。色んな人を悲しませて、こんな人間が天国に行ったって居心地が悪いだけさ。」

「東堂君……」

「せめてっ……最後のお別れだけはさっ……」

泣きすぎてうまく言えないや……

「笑顔でっ……さよならしようぜ……」

「東堂君……は……死ぬほど辛い思いをしたの……だから天国に行ってよ……」

「ふふっ」

あまりの優しさに笑ってしま。

「考えとくよ」

「考えとくって……」



体がオレンジに光る。

「お別れの時間だ。」

「そんな……もっと、一緒にいたいよ……東堂君…」

「天安。これだけ聞いてくれるか?」

「何……?」

「天安。好きだよ」

とても自然に言えた。一回も恋をしたことないのに、死んだのに天安を愛しすぎて恋に恋をした俺にとっては、少女漫画で出てくるような、長い告白は似合わない。ストレートに好きって言った方がいいきがしたんだ。

「まさか、幽霊に告られるなんて、思いもしなかったよ」

「だよな…」

そりゃそうだよなぁ……

「勘違いしないで」

え?

「東堂君が生きてたら…きっと、ううん。必ず彼氏にしてたよ」

「天安……」

たまらない。こんな気持ち初めてだ。思わず天安を抱きしめる。

「東堂君……いや、時雨…」

「天安…」

「行かないでよ……1人にしないでよ…」

「大丈夫だ。俺を信じろ。」

抱きしめる手に力が入る。

「痛いよ……時雨……」

天安の唇が俺に触れる。温もりを感じる。なんでだろう。死んだはずなのに……

こんなん、余計行きづらくなるじゃないか……

「じゃあね。」

「おう、じゃあな!」

笑顔で……別れられたな……

俺はもうすぐ消える。

「時雨!」

天安?

「次は……自殺しないで!生き変わったら……生き変わっても私は時雨を愛すから!」

「おう!俺もだ!」

『愛を……永遠に…』



[最終章 来世]

「あーあ……時雨行っちゃったよ……」

私は我慢していた涙が一気に溢れる。

「時雨ぇ……」



「先生ぇーー!羽衣先生!」

「あっ、はい!」

12年後…私はイジメカウンセラーになった。

時雨みたいな人をもう、出さないように……

「時雨ぇーーーーーーーーーーーー!!!」

屋上で叫ぶ。

今、時雨はどうしてるんだろうな……

「わっ……すいません。俺、前見てなくて…」

「あ、大丈夫ですよ」

時雨に似てるな……カッコよくて爽やかで……何か隠してる感じ……

「お名前は?」

自然に聞いていた。なぜか、気になった。

「え?名前ですか……?」

「そうよ」

「聖堂……『聖堂時雨』です…」

「聖堂……時雨……」

「はい?」

「自殺なんか……しちゃダメよ」

「え?あぁ、はい……?」

「愛を……永遠に。この言葉、聖堂君が大人になったら、先生に言ってほしいな」

「愛を……永遠に?」

「そうよ。」

そう。愛を……

「約束よ……」








夏ヨゾラ 恋に恋する49日間を読んでいただきありがとうございます。

今回は本当にあった僕の実話にそって書いたものです。と言っても名前だけですが。

前書きで書いた時雨くん。この男の子は後から知ったのですが、僕の家の隣に住んでいる男の子で会いたい時はいつでも会えるはずだったのです。ですが、お礼を言いに行こうとしたら、家は無く僕の家の隣は空き地になっていたのです。「昨日まではあったのに……」と言う不思議な気持ちになりました(笑)

さて、今回の小説は「あなたが自殺して、喜ぶ人はいないよ」と言うメッセージをイジメられている人、自殺したいと思っている自殺願望者に伝えたいと思い、書いたものです。もちろん、自殺したくない、死にたくないと思っている人もいると思います。

その方々には「決して自ら命を絶ってはいけない。そして、人を死なせるような酷いことをしてはいけない」と言うメッセージが、少しでも伝わればいいと思います。

第3章ぐらいから、少し雑になってしまいましたね。すいません(失笑)

そして、他の小説でも使われている言葉もあると思いますが気にしないでもらいたいです。

改めて、この小説を読んでもらい、ありがとうございます!

これからも他の小説を出していこうと考えているので何卒、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ